「上様」の意味とは?
領収書で使われている「上様」の意味としては、説がいくつかあります。
この一つの説が、「上様」の起源に中国での呼称がなったというものです。
日本は、漢字を言語として取り入れたため、実際には古代の中国の影響を漢字の意味などについては大きく受けています。
この古代の中国においては、「上様」と皇帝が呼ばれていたため、日本においても「上様」と将軍や天皇を呼ぶようになって、やがてこれが商人にとって立場が上になるお客さんに対して敬意を表す意味において、「上様」と領収書に書くようになったそうです。
別の説としては、お得様のことを現在でも「上客」「上得意」と呼ぶときがありますが、「上様」という言葉がこのようなことの略称として生まれて、領収書で使われるようなったというものもあります。
そのため、この由来に従ったときは、「上様」の読み方としては正しくは「じょうさま」で「うえさま」ではないというような指摘もあります。
なお、この読み方と説は、国語辞典の一部などでも「うえさま」と一緒に紹介されています。
「上様」でも領収書の宛名は問題ない
領収書の宛名は、会計するときにお店で書いてもらうときもあったり、ネットショップの通信販売においてすでに書かれている領収書をもらうときもあったりします。
では、基本的にどうして領収書の宛名は必要なのでしょうか?
というのは、お金を誰が使ったかをはっきりさせるためです。
当然ですが、非常にこのことは大切です。
確定申告するときは、自分のビジネスに使用したものが経費になります。
他の人の名前が記載された他人名義の領収書でも、自分が最終的に負担して、自分のビジネスに使用したものであれば経費になります。
企業の大手などのときは、社内の規則として宛名が自社になっている領収書だけが経費になると決めているところがあります。
そのため、個人宛や「上様」の領収書は駄目になります。
しかし、基本的にこれは社内的な規則です。
自分や社員が使用した経費の精算のときには、事業主によって宛名を重要視するかは違っています。
法人税の申告や所得税の確定申告をするときに、企業名や個人事業主の名前に領収書の宛名がなっていなければ経費にならないという規則は法的に決まっているということではありません。
他人名義でも「上様」でも、税金を申告するときは、自分のビジネスのために使用したものであれば経費にしても問題ありません。
税金を申告するときは、宛名を書いてもらう必要があるという規則は必ずしもありません。
しかし、経費にする領収書と経費にしない領収書を区別する意味では、宛名を書くようにするのもいいでしょう。
「上様」と領収書の宛名に書いても経費に税務署で認めてくれるか?
では、「上様」と領収書に書いていたときは、どのように税務署では取り扱われるのでしょうか?
まず、領収書に書く必要がある事項としては、次のようなものがあります。
- 宛名
- 日付
- 金額
- 領収した人
このようなことから、きちんとした宛名が領収書には必要になります。
「上様」という宛名は、誰かを指しているものでなく、漠然としたものであるため、このときは経費として会社に申請してもわからないようになります。
消費税法第30条及び施行令49条によれば、次のように決まっています。
「書類の交付を受ける当該事業者の氏名または名称は、その記載金額が3万円未満である場合や、小売業・飲食店業・写真業および旅行業などの特定の業種では3万円以上でも宛名の記載がなくても良い。」
そのため、このときに限って、効力が「上様」でもあるとされています。
しかし、このような扱いがあっても、会社に税務署より前に提出するときは、金額に関係なく「上様」の宛名の領収書のときは、ほとんどの会社は経費として認めてくれないようです。
なお、参考としてですが、領収書と同じ扱いがレシートも受けられます。
レシートにも、消費税が導入されてからは金額・日付・買ったもの・飲食店のときは人数などが記載されています。
しかし、宛名を書く欄がレシートにはないため、経費として会社によっては認めてくれないようなところもあります。
そのため、レシートの経費については、担当者に確認する必要があります。
「上様」は使用されなくなっている
誰に対して誰が支払いしたかという証明書が領収書になります。
現在では、「上様」という便利に使用されていた宛名の漠然としたものはほとんど使用されなくなっているようです。
しかし、名前をいっても聞き取りにくいときや、難しいときがあるでしょう。
このようなときは、書いてもらったり、名刺を見せてもらったり、別のメモに宛名を書いてもらったりするなどの気配りをすれば、領収書がスムーズに発行されるのではないでしょうか。
「上様」を使うときに注意することとは?
ここでは、「上様」を使うときに注意することについてご紹介します。
「上様」を領収書の宛名に使うのは止める方がいい
「領収書はどのような宛名にしますか?」と聞かれたときに、「上様」と答えるような人がいます。
しかし、結論をいうと、「上様」と領収書に書いてもらうのは止めるべきです。
宛名が正しく書かれていない領収書は、経費として税務調査のときに落とせないことがあります。
領収書というのは、基本的にその金額を払ったということを証明するためのものです。
宛名が「上様」になっているときは、誰が払ったかはっきりしていないため、税務署が経費として認めてくれないことがあり得ます。
領収書の宛名は社名がおすすめである
「上様」が駄目ということであれば、宛名は空欄でもいいのではないかと思うかもしれません。
しかし、領収書の宛名が空欄のものもおすすめではありません。
というのは、「上様」と同じように、払った人がはっきりしないような領収書は経費として認めてくれないときがあるためです。
宛名がない領収書でも、実際には例外的に小売業、飲食業、鉄道・バスなどの旅客運送業、駐車場業などの事業の一部は認められています。
また、領収書の宛名がないときでも、ビジネスについての支出の証明があると経費として認められますが、税務調査上はやはり確認の対象になるときがあります。
そのため、面倒でも領収書には正式な社名を書いてもらいましょう。
「上様」と書いている領収書を訂正する方法
「上様」と書いている領収書を使えるようにするには、発行したところに頼んで再度発行してもらうのが最もおすすめです。
簡単な間違いのときは、二重線を上に引いて、正しく書いて訂正印を押すような方法もありますが、未然にトラブルを防止するためには再度発行してもらう方がいいでしょう。