「予定調和」の意味とは?
「予定調和」は、物事が予想したように進んで、予想通りの結果になるという意味です。
「予定」は前もって行動・行事などについて決定することで、「調和」は具合よく全体が整って釣り合っていることです。
「予定」と「調和」を組み合わせた「予定調和」の意味は、「物事が予定されていたように整っている様子」です。
つまり、「予定調和」は、前もって結果は誰が見ても明らかであり、結果が予想通りに実際になることを表現するときに使われます。
ライプニッツの「モナド論」から「予定調和」は派生した
もともと「予定調和」は、ライプニッツという哲学者・神学者・数学者として有名なドイツの学者が17世紀~18世紀に提唱した学説から派生しました。
「予定調和」の意味は、この世の中を形而上学的に捉えて、「神によって異なる世界の調和が取られていること」です。
「異なる世界」とは「単子」という「モナド」ですが、この世界を作っているものを突き詰めれば要素の「作用」や「力」などが実体化した、わけることがこれ以上はできないものになります。
この全ての空間は、「モナド」が集まって作られたと言い換えられます。
さらに、この空間は、モナドが独立したそれぞれの世界があるにも関わらず、交互作用がまるであるように見えます。
ライプニッツは、この理由として、異なるモナドがお互いに調和するように神が決めているためであると説明しています。
独立したモナドが影響をお互いに及ぼしているように見えながら調和が取れているのは、神が予定したことでもあります。
「予定調和」は、神が決めた結果として調和が取れたことを表現したものです。
なお、世界を「モナド」を使って説明する方法を、「単子論」あるいは「モナド論(モナドロジー)」といいます。:
これが転じて、現在では、「予定調和」は「物事が予想したように進んで、予想通りの結果であること」を表現する言葉としてよく使われるようになりました。
ライプニッツとは?
ライプニッツというのは、ドイツの数学者であり、哲学者でもあります。
数学や哲学以外にも、功績を人文科学や自然科学全般に及ぶものも残している万能の学者であると同時に、政治家でもありました。
ライプニッツは、ライプツィヒというドイツのザクセン地方で生まれ、ライプツィヒ大学に入った後に公共的活動を行いました。
生涯を通してライプニッツは政治や宗教、哲学、科学を探求して、これらがお互いに関係する活動を行いました。
ライプニッツは、自分の使命は政治と宗教の問題を解決するための基礎を作ることであるとして、活動を積極的に行いました。
ライプニッツは全てのヨーロッパの地域の君侯や有名な学者と交流し、往復書簡を千人以上の人と交わしていたことは有名です。
「予定調和」の使い方とは?
漫画や小説などでは、「このような状況になれば、このようなことが次は起きる」というストーリーのタイプが多くあるので、ある状況になれば次に起きることがそれなりに予想できます。
「予定調和」という言葉は、物事が予想した通りに進んだときや結果であったときに使います。
例えば、映画で街を怪物が壊すシーンがあったとしましょう。
どうなるだろうかと考えながらも、「映画であるため救世主がそのうちに登場して平和になるだろう」と心の中では予想するでしょう。
そして、終わってみれば街はやはり壊されないで平和になります。
そのため、やはりと思って安心するでしょう。
一方、救世主が登場しないで街が壊されてしまえば、映画を見ている人も動転してしまって、良くない感じが残るでしょう。
このように、「予定調和」とは、予想通りの決まった展開になったことをいいます。
「予定調和」の例文としては、次のようなものがあります。
「この小説の結末は予定調和であった。」
「予定調和のドラマのような世界は、普段の生活ではない。」
「全ての出来事は予定調和であった。」
「非常にドラマは楽しみにしていたが、予定調和であったので面白くなかった。」
「展開は予定調和的なもので、物事はこうなるだろうと考えた通りに進む。」
「政治家が議論しているが、最終的には法案が予定調和に成立する。」
「予想していないことなどはなく、平和な予定調和な暮らしが続いていく。」
「この企画はびっくりするようなものであったが、回を重ねるにつれて非常に予定調和で面白くなくなった。」
「予定調和のうちに打ち合わせは進んだ。」
「予定調和」の類義語とは?
「予定調和」を「物事は予定通りに進むこと」という意味で考えるのであれば、次のような類義語があります。
「順調に進む」
意味は「物事が調子よくはかどること」「物事が調子よくすらすらと進むこと」です。
例文としては次のようなものがあります。
「売上が順調に伸びている」
「進捗する」
意味は「物事がはかどって進むこと」です。
例文としては次のようなものがあります。
「会議の進捗具合を確認する」
「はかどる」
意味は「物事が順調に仕上がって進むこと」です。
例文としては次のようなものがあります。
「学習がはかどる」
「予定調和」の対義語とは?
「予定調和」の対義語としては、次のようなものがあります。
「予定外」
意味は「前もって決めた行動や行事とは違ったことが起きること」です。
例文としては次のようなものがあります。
「現場は予定外のことが発生して非常に慌てている」
「想定外」
意味は「考えていた一定の条件や状況とは異なることが起きること」です。
例文としては次のようなものがあります。
「株式の動きは想定外である」
「予想外」
意味は「予想していた結果や動きとは異なることが起きること」です。
例文としては次のようなものがあります。
「予想外のことが起きて、対応が急がれる」
「突然」
意味は「急に予期しないことが起きること」です。
例文としては次のようなものがあります。
「突然の雪で非常に寒い」
「唐突」
意味は「不意過ぎる様子」です。
例文としては次のようなものがあります。
「唐突の訪問で非常に慌てた」
「予定調和」の英語表現とは?
「予定調和」が哲学用語のときの英語表現は、「pre-established harmony」になります。
「pre-established」の意味は「前もって決定された」ということで、「harmony」の意味は「調和」ということです。
しかし、基本的にこれは哲学用語であるため、ほとんど普段の会話では使われません。
普段の会話では、「expect」(エクスペクト)を使って、「予想する」や「予期する」という意味を表します。
「expect」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「The meeting is proceeding as if we expected.」(予定調和のうちにその打ち合わせは進んでいる。)