「残滓」の意味とは?
「残滓」の本来の読み方としては、「ざんし」になります。
しかし、読み方の慣用的なものとしては「ざんさい」もあります。
読み方の慣用的なものというのは、習慣的に使われる慣用音といわれているもので、もともとは誤った読み方ですが、誤って読む人が多くなったので、この読み方も正しいものとして認められています。
誤った読み方として指摘されることがあるため、「ざんさい」と「残滓」を読むのは誤りではありませんが、不安にもし思うのであれば「ざんし」と「残滓」は読む方がいいでしょう。
「残滓」は、「あとに残ったもの」という意味で、あとに残った「食べ残し」や「残りかす」のことをいいます。
この「あとに残ったもの」ということからわかれて、比喩的に「価値がなく残ったもの」というような意味もあります。
「残滓」の「残」の意味は、「そのまま失われないで保存されている」ということです。
「滓」の訓読みは「かす」であり、「液体をろ過した残り」という意味です。
「残り」という意味が「滓」のみでも含まれているので、「残滓」としては「残されたもの」というニュアンスが強くなります。
「残滓」の使い方とは?
「残滓」は、意味が2つあり、使い方もそれぞれ違っています。
ここでは、「残滓」の2つの使い方についてご紹介します。
「容器の底などに残ったかす」
主として物質について使われています。
例えば、中身を出すために逆にペットボトルなどをしても液体がちょっとだけ中に残ることもあるのではないでしょう。
「残滓」というのはこのようなものをいいます。
飲んでいるときに残っているものでなく、「かす」であるため、「つまらなくて取るに足らないくらいもの」です。
「何かを除去した後に残ったもの」
この意味も物質的なもので使われます。
例えば、フルーツを摂るときに、摂らないで残った種や皮などが「残滓」になります。
また、このときは、比喩的に観念的・社会的な意味合いでよく使われます。
このときは、「名残」に似たものがあり、特に記事や文学などに多く使われる表現です。
政治でいうと、革新されないものや代々古くから伝わっている政策のことを「政策の以前からの残滓」などと使います。
また、使い方としては、「記憶の残滓」「時の残滓」などというようなものがあります。
例えば、「時の残滓がこの柱にはある」と文章の中で表現すれば、「柱に今までの名残や過去の思い出がある」といういような意味になり、「古い傷が柱にあるのではないか」「シミなどの跡が柱にあるのではないか」と想像できます。
このときはマイナスの「残ったかす」というようなイメージでなく、意味としては「かすのように小さい」というようなものになり、「わずかに残ったもの」という意味になります。
「残滓」と「残渣」の違いとは?
ここでは、「残滓」と「残渣」の違いについてご紹介します。
比喩な表現を「残渣」はしない
「残渣」は、よく「残滓」と間違われる言葉です。
「残渣」の意味としては、残りかす、ろ過、溶解などで後に残った必要ないものがあります。
意味として「残りかす」というものがあるため、「残滓」と同じような意味があります。
しかし、「残渣」の意味としては比喩的な「残滓」のようなものがなく、基本的に「ろ過、溶解などであとに残った必要ないもの」という意味で使われます。
そのため、「残渣」を使うときは、いかに「残りかす」という意味のときでも、化学的なろ過、溶解などの意味合いがあるときだけ使うようにしましょう。
「残渣」を使った例文としては、次のようなものがあります。
「口臭は、食物残渣のタンパク質や歯周ポケットからの浸出液を分解して発生する。」
「残滓」の類義語とは?
ここでは、「残滓」の類義語についてご紹介します。
「零れ物」
「残滓」の類義語としては、「零れ物」があります。
「零れ物」の意味は、「残ったもの」「こぼれたもの」ということがあります。
水分や液体で使われるときも多くあります。
なお、「おこぼれ」になれば、残り物や他の人の余ったものという意味になります。
「おこぼれをいただく」の意味は、他の人が残したものをもらうになります。
「余りもの」
「残滓」の類義語としては、「余りもの」があります。
意味としては、必要なくなったものや残ったものになります。
「残滓」の意味は単に残ったものということですが、余りもののときは、マイナスのすでにいらなくなったものというイメージが強くなります。
これ以外の意味としては、食べ残したものということもあります。
「取り残し」
「残滓」の類義語としては、「取り残し」があります。
意味としては、何かを取った後に残ったことやものになります。
意味としては、全て取らないで一部を残すということもあります。
基本的に、取り残したときは何かを取る必要があります。
「一人のみが取り残される」「取り残した荷物が気掛かりである」などのように使います。
「残滓が残る」の使い方は間違っている
「残滓が残る」という表現は違和感があるでしょう。
「残滓」というのは、基本的に取り除いて残った物や考え方などをいいます。
そのため、「残滓が残る」の使い方は二重表現になるため駄目です。
二重表現とは、意味が同じような言葉を使うことです。
例えば、「永久に不滅である」「頭痛が痛い」などがあります。
「残滓がある」という表現の方がいいでしょう。
例えば、二重表現としては、「必要ない書類を処分して、残滓の書類のみが残ったため整理できた」もあります。
「必要ない書類を処分して、残滓の書類だけになった」という表現であれば問題ないでしょう。
「残滓」の英語表現とは?
ここでは、「残滓」の英語表現についてご紹介します。
「residue」
「residue」の意味としては、残りものや残留物などになります。
物体が残ったときは、「residue」が該当します。
食品を加工した残りも意味が同じ英語表現になるため、残滓以外に残渣の意味もあります。
「vestige」
「vestige」の意味としては、痕跡や面影、跡や名残というようなものになります。
思い出や記憶というような、印象的であったり、感傷的であったりするなど、残っているもので心が動かされるようなときに使います。
これ以外も、古いマナーや昔のしきたりなどが残っているときも、名残や痕跡が見られるため、「vestige」を使います。
「dregs」
「dregs」の意味としては、クズやカス、つまらないものになります。
意味合いとしては、飲み物のジュースやコーヒーなどの残りものということで使われるときも多くあります。
また、役に立たない社会や人間のクズなどという意味合いでも使われます。