時候の挨拶というのは、頭語の「拝啓」などに続く季節感を表す書き出しの言葉です。
時候の挨拶としては、学校関係で出す文書やビジネス文書、目上の方向けのお礼状の「漢語調」と、個人的な知人や親しい友達向けのカジュアルな「口語調」があります。
ここでは、3月の上旬、中旬、下旬にわけて、時候の挨拶の例文や結びの文、健康やコロナについての挨拶文、季節の話題についてご紹介します。
3月の時期
日本では現在新暦が使われていますが、季節の挨拶としては、二十四節気や旧暦が使われることがあります。
ここでは、どの二十四節気が3月なるか、旧暦のいつが3月になるかについてご紹介します。
どの二十四節気が3月なるかは、次のようになります。
啓蟄(けいちつ)は、3月6日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
この頃になると、地面から冬眠していた虫がはい出して来るとされています。
春分(しゅんぶん)は、3月21日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
現在のこの日は、お彼岸の中日でもあり、ほとんど昼と夜の長さが同じであるとされています。
旧暦のいつが3月になるかは、次のようになります。
- 旧暦の1月29日頃が新暦の2022年の3月1日
- 旧暦の3月1日が新暦の2022年の4月1日
- 旧暦の2月10日頃が新暦の2023年の3月1日
- 旧暦の3月1日が新暦の2023年の4月20日
- 旧暦の1月21日頃が新暦の2024年の3月1日
- 旧暦の3月1日が新暦の2024年の4月09日
書類、手紙、お礼状、メールで使う挨拶文の書き方、構成
学校関係で出す文書やビジネス文書、お礼状、個人的な手紙などを書くときは、基本的に前文、主文、末文、後付で構成します。
このような基本をベースにして、細かい要素を必要によって変えながら仕上げましょう。
前文は、頭語の「拝啓」など、時候の挨拶、相手の健康や安否を気遣う言葉、自分の近況やお礼などの順番に書きます。
主文は、本文になります。
末文は、結びの挨拶で、相手の繁栄や健康を祈る言葉、結語の「敬具」などの順番に書きます。
後付は、日付、署名、宛名の順番に書きます。
時候の挨拶の「漢語調」「口語調」は相手、シーンによって選ぶ
その時々の季節感を表した言葉が、時候の挨拶になります。
時候の挨拶としては、短く簡潔に表した「萌芽の候」のような「漢語調」と、話し言葉で柔らかな「草木の新芽が萌え出ずる頃になりました」のような表現の「口語調」があります。
相手やシーンによって、「漢語調」と「口語調」は使いわけます。
一般的に、学校関係の文書やビジネス文書などでは、「漢語調」のかしこまった表現が使われることが多く、文書の格がアップします。
一方、より身近な「口語調」を使う方が、個人的な文書では多くあります。
また、ビジネスシーンでも、「口語調」を使って柔らかくすることもあります。
いずれにしても、おすすめはポジティブなものです。
ビジネスシーンの「漢語調」の3月の時候の挨拶
一般的に、かしこまった「漢語調」の時候の挨拶をビジネスシーンでは使います。
ここでは、目上の方へのメールや手紙でも使えるビジネスシーンの「漢語調」の3月の時候の挨拶についてご紹介します。
季節感が時候の挨拶は大切であるため、目安の時期ごとにご紹介します。
しかし、少しその年によってずれるときがあるため、季節感を実際に優先しながら選びましょう。
また、「○○の候」は、使うときに「○○のみぎり」「○○の折」に置き換えることもできます。
「萌芽(ほうが)の候」「弥生(やよい)の候」は3月全般で使える
- 「萌芽の候」の意味は、草木の新芽が萌え出ずる頃になりましたがということです。
- 「弥生の候」の意味は、弥生・3月になりましたがということです。
「萌芽の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「萌芽の候、ますます貴社ご繁栄のこととお慶び申し上げます。」
「浅春(せんしゅん)の候」「早春(そうしゅん)の候」「解氷(かいひょう)の候」は3月上旬に使える
- 「浅春の候」の意味は、まだ春浅い時期ですがということです。
- 「早春の候」の意味は、早春の時期を迎えましたがということです。
- 「解氷の候」の意味は、暖かくなり氷が解ける頃になりましたがということです。
「浅春の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「浅春の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」
「仲春(ちゅうしゅん)の候」「啓蟄(けいちつ)の候」「春情(しゅんじょう)の候」「軽暖(けいだん)の候」は3月上旬~中旬に使える
「仲春の候」の意味は、春もなかばになりましたがということです。
「仲春」は、二十四節気の啓蟄と春分の期間です。
「啓蟄の候」の意味は、冬ごもりしていた生き物が温かくなり目覚める頃になりましたがということです。
「啓蟄」は、3月6日~3月21日頃で、二十四節気の一つです。
- 「春情の候」の意味は、だんだん春めいてまいりましたがということです。
- 「軽暖の候」の意味は、だんだん暖かくなり春らしさが感じられる頃になりましたがということです。
「仲春の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「仲春の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
「麗日(れいじつ)の候」「春分(しゅんぶん)の候」「春光(しゅんこう)の候」「春色(しゅんしょく/はるいろ)の候」「春風(しゅんぷう)の候」「桜花(おうか)の候」は3月下旬に使える
- 「麗日の候」の意味は、春の麗らかな陽気が続く頃になりましたがということです。
- 「春分の候」の意味は、春分の時期を迎えましたがということです。
「春分」は、3月21日頃~4月4日頃で、二十四節気の一つです。
- 「春光の候」の意味は、春の日差しがきらめく頃になりましたがということです。
- 「春色の候」の意味は、雰囲気が春らしくなりましたがということです。
- 「春陽の候」の意味は、春の暖かい日差しを感じる頃になりましたがということです。
- 「春風の候」の意味は、心地いい春風の頃になりましたがということです。
- 「桜花の候」の意味は、桜の花が咲く頃になりましたがということです。
「麗日の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「麗日の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
ビジネスシーンの「口語調」の3月の結びの挨拶
趣旨や相手によって、結びの挨拶は変わります。
ここでは、ビジネスシーンの「口語調」の3月の結びの挨拶についてご紹介します。
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 「今後についても相変わらずご厚誼(こうぎ)を賜りますようお願い申し上げます。」
- 「ご高配を引き続き賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「変わらぬご支援ご鞭撻をこれからも賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「ますますの貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。」
- 「末筆ながら、衷心より一層のご隆盛をお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご多祥をお祈り申し上げます。」
3月特有の結びの挨拶
3月特有の結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「寒暖定まらない時期ですので、十分にご自愛お願い申し上げます。」
- 「年度末でご多用かと存じますので、体調を悪くされませんようにご留意ください。」
- 「天地も躍動する春、さらなる今後のご活躍をお祈り申し上げます。」
- 「新年度に向け、十分に健康にはご留意なされ、さらにご活躍されますことをお祈り申し上げます。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
- 「落ち着かない毎日がコロナもあり続いております。十分にご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
- 「コロナ禍中、まだ春寒の日もございますが、お体にくれぐれもご留意なされ、ご活躍されますことをお祈り申し上げます。」
個人的な「口語調」の3月の時候の挨拶
個人的な時候の挨拶のときは、書き出しはカジュアルな「口語調」の表現が好まれます。
ここでは、個人的な「口語調」の3月の時候の挨拶についてご紹介します。
「漢語調」の「○○の候」の言葉
「漢語調」の「○○の候」の言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「草木の新芽が萌え出ずる頃になりましたが」
- 「だんだん暖かくなり春らしさが感じられる頃になりましたが」
- 「まだ春浅い時期ですが」
- 「春の日差しがきらめく頃になりましたが」
- 「春の暖かい日差しを感じる頃になりましたが」
- 「桜の花が咲く頃になりましたが」
- 「心地いい春風の時期になりましたが」
相手の健康や安否を気遣う言葉
相手の健康や安否を気遣う言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「なお春は浅く、まだまだ朝夕は冷え込む昨今ですが、お変わりありませんか。」
- 「春寒も緩みはじめ、過ごしやすい気候にようやくなってまいりました。お元気でお過ごしのことと存じます。」
- 「啓蟄を暦の上では過ぎ、冬ごもりの虫たちも出てくる季節になりました。お元気でお過ごしのことと存じます。」
- 「今日この頃は、ひと雨ごとに暖かくなり、春の訪れを感じます。お元気でいらっしゃいますか。」
- 「小鳥のさえずりが聞こえる季節になりました。その後お変わりございませんか。」
- 「窓外に霞たなびく春の山を眺めながら、お便りしております。皆様お元気ですか。」
- 「だんだん春らしくなってきましたが、お元気ですか。」
- 「春も日を追うごとに深まり、心華やぐ季節になりました。皆様ご健勝のことと存じます。」
- 「春の到来を、沈丁花の芳しい香りに感じる頃になりましたが、お元気ですか。」
個人的な「口語調」の3月の結びの挨拶
カジュアルな表現が、個人的に使う結びの挨拶も好まれます。
挨拶の内容は相手によって考えてみましょう。
ここでは、個人的な「口語調」の3月の結びの挨拶についてご紹介します。
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「春風とともに、幸せがたくさん訪れますように。」
- 「プロ野球のシーズンがいよいよ始まります。元気で私たちも応援しましょう。」
- 「今から、恒例のお花見を楽しみにしています。」
- 「旅立ちの春、さらなる今後のご活躍をお祈りしております。」
- 「新しい4月からの生活、元気で頑張ってください。」
- 「卒業式ももうすぐですね。新しい世界に向けて前進してください。」
- 「この時期は花粉が舞うためにつらいものです。どうかご自愛ください。」
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「寒暖定まらない時期ですので、十分にご自愛くださいませ。」
- 「木々が芽吹くときは体調が悪くなる方が多いようですので、お身体をおいといくださいませ。」
- 「思いがけない春寒にお風邪など召されませんように。」
- 「天候が花時は不順になりがちです、お体にはくれぐれもご留意ください。」
- 「春の日差しのもと、毎日お健やかにお過ごしください。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
コロナ関係のときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「時節柄、お目にかかることがなかなかできませんが、皆様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。」
- 「コロナ禍中、影響がお仕事にもあるかと存じます。残寒の候、お体に十分に気をつけてご活躍ください。」
- 「運動不足にテレワークでならないよう、お互いに注意しましょう。」
- 「年度末にくわえてコロナもございますので、十分にご自愛くださいませ。」
3月に使える季節の話題
ここでは、3月に使える季節の話題についてご紹介します。
季節の話題を使ってみると、季節感が出るでしょう。
3月の風物詩
3月の風物詩としては、雛祭り、入園・入学の準備、ひなまつり、卒業・入学祝いの準備、卒業式、ひな人形、桃の節句、白酒、お墓参り、花粉症、春休み、ぼた餅、山菜採り、菱餅、ひなあられなどがあります。
旬の野菜
旬の野菜としては、水菜(みずな)、独活 (うど)、たけのこ、菜の花などがあります。
旬の果物
旬の果物としては、いちご、伊予柑、レモンなどがあります。
旬の海産物
旬の海産物としては、鮟鱇(あんこう)、蛤(はまぐり)、鰆(さわら)などがあります。