「会社都合退職」の意味とは?
「会社都合退職」ということを聞いたことがあるのではないでしょうか。
しかし、実際には「会社都合退職」の意味が正しくわからないという人もいるでしょう。
ここでは、「会社都合退職」の意味についてご紹介します。
「会社都合退職」というのは、雇用保険上の「特定受給資格者」に退職する人が該当するときの退職です。
なお、「特定受給資格者」は、次のような人のことです。
- 会社側の倒産やリストラなどによってやむを得なく退職した人
- 重大な自己の責めに帰すべき理由以外で解雇になった人
「特定受給資格者」は、そうでない人と比べて失業保険をよりいい条件で受給できます。
また、次のようなときは、「特定受給資格者」(会社都合退職)に該当します。
- リストラ、倒産によって離職した
- 重大な自己の責めに帰すべき理由以外の解雇によって離職した
- 労働契約を結ぶときに示された勤務するところ、勤務する時間、職種、賃金などが著しく異なっていたため離職した
- 大幅に賃金が少なくなった、あるいは未払いが継続したことによって離職した
- 職場の同僚や上長などから嫌がらせやいじめを受けたことによって離職した
- 退職するように会社から促されたことによって離職した
なお、このときは早期退職優遇制度などによって離職したときは除外されます。
- 期間が決まっている労働契約が更新になって引き続き3年以上雇用されたとき、あるいは期間が決まっている労働契約を結んだときに労働契約の更新が示されたときに、労働契約が更新されないために離職した
「会社都合退職」のメリットとは?
「自己都合退職」に比較して失業給付金の受給が優遇されることが、「会社都合退職」のメリットとして挙げられます。
特に、早く失業給付金が受給できることが大きなメリットです。
「自己都合退職」のときは、離職票をハローワークに提出した後、7日間プラス3ヶ月間の待機期間が終わるまで失業給付金を受給することができません。
しかし、「会社都合退職」のときは、7日間プラス約1ヶ月間の待機期間が終わった後に第1回目の失業給付金を受給することができます。
また、「会社都合退職」のメリットは、長い受給日数であることが挙げられます。
年齢や雇用保険の被保険者期間によっても違っていますが、「会社都合退職」の受給日数は「自己都合退職」の90日~150日の受給日数に比較して長い90日~330日になっています。
さらに、「解雇予告手当」を「会社都合退職」のときは受給できるときもあります。
「自己都合退職」のときは、退職するまで仕事をした分の賃金や退職金の他には支払われません。
しかし、「会社都合退職」のときは、労働者に対して会社側は解雇を離職する30日以上前に予告する必要があり、この予告がなかったときは、会社から社員は解雇予告手当として平均賃金の30日分以上を受給することができます。
例えば、予告が全くなくて解雇を即日するといわれたときは30日分以上の賃金が受給でき、解雇を10日後にすることを予告されたときは10日分を賃金を差し引きした20日分以上の賃金が受給できます。
「自己都合退職」とは?
一方、退職するときは、「会社都合退職」だけでなく「自己都合退職」もあります。
「自己都合退職」というのは、雇用保険上の「特定受給資格者」に退職する人が該当しないときの退職です。
具体的には、自分の都合による引越しや転職などによって退職するものです。
自分の都合による転職などで退職するときやトラブルを会社で起こして懲戒解雇になったときなどは「会社都合退職」に該当しなく、失業保険を低い条件で受給するようになり、便宜上、「自己都合退職」とこのことをいうときがあります。
しかし、一見すれば「自己都合退職」になるときでも、特定の理由になるときは、失業保険を「特定受給資格者」と同じような条件で受給することができます。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いとは?
失業保険を受給できる条件が、「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いです。
失業保険は、一定期間雇用保険に入っていた人が、ハローワークから1日あたり上限6000円~から8000円くらいの直近6ヶ月間の給料の50%~80%の給付金が受給できるものです。
退職した後に受給できる失業保険の期間や金額は、「会社都合退職」か「自己都合退職」かによって違ってきます。
「自己都合退職」のときは、「勝手に退職したため保障を手厚くする必要はない」と思われてしまいます。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いとしては、次のようになっています。
最短の受給開始日
「自己都合退職」が7日間プラス3ヶ月間後、「会社都合退職」が7日間後です。
受給日数
「自己都合退職」が90日間~150日間、「会社都合退職」が90日間~330日間です。
最大受給額
「自己都合退職」が約118万円、「会社都合退職」が約260万円です。
国民健康保険
「自己都合退職」が通常納付、「会社都合退職」が最大2年間軽減です。
「自己都合退職」と「会社都合退職」の違いとしては、受給日数や最大受給額もありますが、大きく最短の受給開始日が違っています。
「自己都合退職」のときは、次の転職先が決定していないときは、収入無しで3ヶ月間は生活する必要があります。
これが、「自己都合退職」と「会社都合退職」の最大の違いでしょう。
また、退職金の支給額は会社によって違っており、「会社都合退職」のときより「自己都合退職」は少なくなるときがあります。
詳しいことについては、勤めている会社の退職金規程や就業規則をチェックしてみましょう。
「会社都合退職」を「自己都合退職」扱いにされそうなときの対応とは?
「会社都合退職」をする人がいると、会社はそれまで厚生労働省からもらっていた助成金がもらえなくなることがあるので、「自己都合退職」扱いにするように促すときがあります。
では、「会社都合退職」を「自己都合退職」扱いにされそうなときは、どのように対応すればいいのでしょうか?
ここでは、「会社都合退職」を「自己都合退職」扱いにされそうなときの対応についてご紹介します。
「自己都合退職」を会社から促されたときは、退職する考えがないことをまずいうことが大切です。
納得できる説明や思い当たる節がなく、不当であると思うときは、上長に理由を直接聞きましょう。
また、「自己都合退職」として不当に会社からいわれていても、失業保険の手続きをハローワークで行うときに証拠になる資料を離職票と一緒に提出することによって、「会社都合退職」を認めてくれるときがあります。
このときは、離職票をハローワークに提出した7日後に失業保険を受給することができます。