クラウドファンディングサービス「Kanatta」で、女性の社会進出を支援する!【株式会社AIR COO / 井口恵さん】

井口恵




今回のインタビューは、クラウドファンディングサービス「Kanatta」を運営している株式会社AIRのCOO、井口恵さんです。クラウドファンディングを通して女性の社会進出を支援するために、どんな工夫をしているのか、何を目指しているのかなど、貴重なお話を聞かせていただきました。

「ジェンダー平等」の時代の流れと共に

弊社はジェンダー平等の実現に貢献し、女性の社会進出を支援すると共に、女性が活躍できるフィールドを増やしていくことを理念にしています。最初は、男性が9割を占めるドローン業界の中で、女性パイロットを育成する「ドローンジョプラス」から始めました。

立ち上げて1年で、様々なメディアで取り上げてもらうなど実績を積んでいく中で、2017年2月、女性の社会進出を応援するクラウドファンディングサービス「Kanatta」をスタートしました。私はもともと会計士だったんですが、何かチャレンジしたい時に足がかりになるのは資金調達なんですよね。そこで、やりたいことや目標があるけど一歩を踏み出せない、という女性を後押しするサービスとしてオープンしました。

オープンさせる時、最低でも5件はプロジェクトが掲載されている状態にしようと動いていたんですけど、前日まで4件だったんです。世の中的にもまだクラウドファンディングの認知度が低かったので大変でしたね。

認知度の低さがわかったので、最初はクラウドファンディングについての説明会を毎月やっていました。最初はたった1人でしたが、東京都との合同セミナーが実現するなど、だんだんと広がっていきました。社会的にジェンダー平等の流れが来ていたことも大きかったです。

目標額の達成は、ゴールではなくスタート!

最初は説明会だけをやっていたんですけど、その中で、ミーティングみたいな形でやった方がいいんじゃないという意見が出て、意見交換をしたり相談しながらやっていく形へと変化してきました。個別に聞きたい方はその場に参加しているコンシェルジュに聞いてもらっていますし、起案したい方はそのままコンシェルジュにサポートしてもらっています。

実は、無料相談に乗ってくれるコンシェルジュの方たちは、理念に共感いただいた方たちでほとんどボランティアでやって下さっているんです。多くが経営者の方たちで、飲食店のオーナーもいれば、薬局をされている方もいます。なので、起案者が実現したいプロジェクトの内容にマッチしたコンシェルジュをご紹介することができています。

クラウドファンディングは支援金が目標額を達成すればゴールと思われがちですが、あくまでスタートなんです。達成した後に実際に夢を叶えたり、起業したなら事業を継続したりするのが本当のゴールです。そこへの道のりを、コンシェルジュの方たちがサポートしてくれています。

クラウドファンディングのリアルイベントを開催

ミーティングのほかにも、リアルクラウドファンディングというイベントを開催しています。最初は少額のプロジェクト起案からスタートして、何回か成功体験を重ねた方たちが、今度はリアルの場で支援者を集められる場です。

私たちは、起案者から直接話を聞いているので、起案者のいろいろな思いも知っているんですが、サイトのページだけでは全部は伝わらないんですよね。そこで、支援者に直接支援をお願いしたり、やっていることをアピールすることでファンが増えるといいなと思い、リアルイベントを開催することにしました。

イベント中は、出演者に対し来場者が自身の判断で支援したいとなった際に、Kanattaのクラウドファンディングサービスを通じて500円✕投票数を獲得することが可能となります。来場者や主催者は、500円✕投票数の支援金を提供することが可能となります。

クラウドファンディング=信用をお金に変えるプロセス

クラウドファンディングで支援することに抵抗を感じている人は、少なくないかもしれません。確かに海外では、クラウドファンディングで支援したのに、約束されていたはずのリターンがされないことも3、4割程度あります。でも日本人は約束を守る方が多いので、ほぼ100%リターンされている実績があります!

私は、クラウドファンディングでお金を集めることは、信用をお金に変えるプロセスだと思っています。なので、いつも起案者の方たちにも「見ず知らずの人に支援をしてもらうのはそんなに簡単じゃないよ」とはっきり伝えています。支援を頂けるかどうかは、自分のページを通して、支援者との間にどれだけ信頼関係を築けるかが大切だよ、と。

そうは言っても、初めて支援者になって支援するという一歩は、なかなか踏み出せない人もいるかもしれないですね。なので、リアルイベントのチケット料金に支援金が含まれるようにするなど、支援者のハードルを下げるためにイベントで工夫をしています。これからも、支援者のハードルも起案者のハードルも下げる工夫をどんどんしていきたいと思っています。

20万円しか借りない女性と、100万円借りる男性

今後、女性の社会進出をもっと進めていくためには、女性のメンタリティが変わることが重要だなと思っています。1月のイベントにパネラーとして参加して頂いた方から、男女のメンタリティの違いについて話を聞きました。融資を受ける時に100万円を借りられることになったら、男性は100万円を借りるけど、女性は「20万円でいいです」とおっしゃる方が多いそうなんです。そこは、女性が変えていく必要がある部分かなと感じています。

そして男性は、女性の社会進出の重要性をもっと理解する必要があるなと思っています。私も今、人前に立たせて頂いていますが、女性が言うよりも男性が言ってくださった方が説得力があるんですよ。特に日本では、女性管理職のパーセンテージがすごく低い。男性メインの職場の中で、「女性が活躍した方がいい」と男性が思うことが大事なんじゃないかなと思います。男性の意識が変わらないと、なかなか実現しないので。

腹さえくくれば、女性は強い!

一方で、女性って腹をくくると強いと思うんです。経済産業省のデータでも、女性は腹をくくるまで時間がかかるけど、一度腹をくくって起業すると成功する。一方で男性は、起業はするけれど、何か障害が出てくると脱落しやすい、という傾向が出ているそうです。だから女性は、最初の一歩を踏み出すことがポイントです。

そのためには、イメージを描けると一歩を踏み出しやすいんじゃないかなと思います。自分と同じような状況からチャレンジして成功している方とか、自信のなさを乗り越えてチャレンジしている方にお会いしたりすると、どんどん前に進めるのではないでしょうか。ぜひ、そういう方に会いに行くなど、行動を起こしてほしいなと思います。

私たちも、クラウドファンディングで資金調達して終わりにするのではなく、その後もその方の人生のチャレンジをよりサポートさせて頂けるように取り組んでいきたいと思います。起業したい人には起業のサポートを、出版したい人には出版のサポートをしたり、エンタメ分野で活躍したい人には大きなイベントに出られるチャンスを提供したりと、すべてに対応できるように頑張っていきます。

井口恵

株式会社AIR COO。監査法人やファッション業界での経験を経て、AIRを設立。女性がなにかに依存することなく自立して活躍できるフィールドを増やしてゆくことを理念に掲げ、ドローン事業やクラウドファンディングサービス『Kanatta』を展開している。「女性の夢を応援し、女性がかつやくできるフィールドを増やし続けます」

株式会社AIR:http://air-works.jp/

Kanatta公式サイト:https://kanatta-lady.jp/




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RUN-WAY編集部

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