【徹底解説】医療事務の資格試験の内容や試験の流れ、勉強方法まで

医療事務に必要な資格




医療事務として働くために資格は必要なのか、どんな資格があるのか、資格を取得するためにどんなコツがあるのかについて紹介をしていきます。

法律で定められているわけではありませんが、医療事務として働くためには医療事務に関する資格の取得は大きなメリットとなるでしょう。現在、医療事務の資格は4種類あります。それぞれ難易度や試験方法などが違うので、それぞれの特徴を把握し、自分に合ったものを選ぶ必要があります。

医療事務に資格は必要?

結論から言えば、医療事務の仕事に就くために必須の資格はありません。

医療事務には医者や看護師のような国家資格に当たるものはなく、医療事務は資格を持っていない人でも働くことができます。実際に、医療事務は安定して働けるということで人気が高いお仕事です。しかし、通常の事務のお仕事に加えてレセプトなどの専門的な知識を求められるお仕事でもあります。そのため、たとえ求人の募集要項に資格について明記されていなくても、有資格者の応募があればその方の採用を優先する企業が多いため、知識がない人よりも実務経験があったり、資格を取って知識を持っていたりする人のほうが需要が高く採用のチャンスをよりつかみやすいと言えます。医療事務の資格は病院の受付や会計、レセプト作成の知識があることを証明するものなので、療事務で働きたいと望んでいるのであれば、取得することをおすすめします。

 

医療事務におすすめの資格試験

医療事務は療事務技能審査試験、医療事務管理士技能認定試験、診療報酬請求事務能力認定試験、医療事務認定実務者の4つの民間資格があります。それぞれ内容や難易度、試験日などが異なるので自分に合ったものを所得しましょう。

 

医療事務技能審査試験[メディカルクラーク]

医療事務技能審査試験[メディカルクラーク]はメディカルクラーク(R)とも呼ばれていて、日本医療教育財団によって運営されています。

医療機関における受付業務や診療報酬請求事務業務についての知識や技術があることを証明する資格です。

4つある医療事務の資格の中でも1番知名度があり、医療事務の資格関係では日本最大級として知られています。

45年もの実績を誇る資格です。

試験日は月に1回、年に12回あり、難易度は50~60%程度となっています。受験料は7,500円です。

 

医療事務 管理士技能認定試験

医療事務管理士技能試験は技能認定振興協会(JSMA)が運営している日本初の医療事務資格です。

患者受付、治療費の計算、診療報酬明細書の作成、カルテの管理といった知識や技術があることを証明します。

試験は会場試験とインターネット試験の2種類があり、会場試験の場合は奇数月の第四土曜日に実施され、年6回です。合格率は約48.5%で、医療事務技能試験[メディカルクラーク]よりも難易度は高いとされています。

インターネット試験の場合は受験料決済完了後から2週間以内です。

受験料は7,500円です。

 

診療報酬請求事務能力認定試験

診療報酬請求事務能力認定試験は公益財団法人日本医療保険事務協会が運営していて、医療事務資格の中で唯一厚生労働省が認定している資格です。診療報酬事務の向上のために設けられました。

医療保険各法や法律・通知などを中心に医療に関する幅広い知識があると証明する資格です。診療報酬点数は2年に1度のペースで法律改正されるため、最新の点数表の算定と処理能力が問われます。

試験日は毎年7月と12月の年2回行われます。合格率は30~40%と他の医療事務と比べてやや難関です。その分、取得していると就職のチャンスを掴みやすいでしょう。

受験料は9,000円です。

 

医療事務認定実務者

医療事務認定実務者は全国医療福祉教育協会が運営している資格です。医療機関の受付における接遇やマナーの知識やスキルの向上を目的としています。

医療機関の各種制度、業務の流れ、診療報酬、診療報酬明細書作成などのスキルがあることを証明する資格です。試験は会場だけでなく、自宅でも受験することが出ます。

試験は毎月1回、年12回の実施です。合格率は60~80%とかなり高いので医療事務資格の初心者に向いています。

受験料は5,000円です。

 

医療事務の資格試験の試験内容

各医療事務の資格試験の具体的な資格内容について紹介します。

医療事務技能審査試験[メディカルクラーク]

試験場所は在宅(日本のみ)です。

実技Ⅰ、学科、実技Ⅱの3科目があります。

試験内容 回答方法 問題数 時間
実技Ⅰ 患者接遇 筆記(記述式) 2問 50分
学科 医療事務知識 筆記(択一式) 25問 60分
実技Ⅱ 診療報酬請求事務 診療報酬明細書点検 4問 70分

医療事務 管理士技能認定試験

試験はインターネットを使って行われます。パソコンとネット環境が整っていればどこでも24時間受験可能です。このほか、全国で会場試験も行われています。

試験科目は実技試験と学科試験に分かれており、出題範囲は実技試験が診療報酬明細書作成の知識です。学科試験は放棄、医学一般、保健請求書事務についての知識となっています。

試験内容 問題数 時間
実技試験 レセプト点数問題
レセプト作成問題
1問
2問
3時間
学科試験 マークシート(択一) 10問 1時間

合格ラインは実技試験が各問題で50%以上、なおかつ3問の合計で70%以上、学科試験は70点以上です。

診療報酬請求事務能力認定試験

試験は札幌市、仙台市、さいたま市、千葉市、東京都、横浜市、新潟市、金沢市、静岡市、名古屋市、大阪府、岡山市、広島市、高松市、福岡市、熊本市、那覇市で行われます。

出題範囲は学科試験と実技試験に分かれ、出題範囲は医療保険制度、公費負担医療制度、保健医療機関等、療養担当規則等、診療報酬等、薬価基準、材料価格基準、診療報酬請求事務、医療用語、医学の基礎知識、薬学の基礎知識、医療関係法規、介護保険制度です。

試験会場に診療報酬点数表などの資料を持ち込みが認められています。

試験時間は3時間です。

医療事務認定実務者

一般受験と認定機関の通信講座受講生は在宅試験、対象の通学受講生はスクールの教室などで会場受験となります。

学科試験と実技試験があります。

試験内容 問題数 時間
学科試験 マークシート 30問 90分
実技試験 マークシート 外来1

参考資料、ノート、電卓などの持ち込みが可能です。

学科問題は接遇やマナー、医療機関の各種制度、医療事務業務、診療報酬などについての知識が問われます。実技試験はレセプト作成です。

合格基準は正答率60%以上となっています。

医療事務の資格試験の流れ

各医療事務の資格試験の申し込み時期や方法、そして目安となる勉強の期間について紹介します。

医療事務技能審査試験[メディカルクラーク]

申し込みは試験日の2か月前から3週間前までです。受験料を財団指定口座に銀行振り込みをします。それから、財団サイトの医療事務技能審査試験のページ(http://www.jme.or.jp/exam/mc/index.html)の受験申込票を印刷し、所定の記入をして振込明細書と共に発送しましょう。

試験日の10日前までに受験票が発送されます。試験日当日は宅配便で午前中指定にて試験問題が発送されるので各自試験に取り組みましょう。

試験日翌日までに同封の返信用封筒に問題と解答用紙を入れ、発送記録の残る方法で発送します。

試験結果の通知は試験日から約1か月後に郵送にて、合格証の交付は試験結果通知からさらに約1か月後に郵送です。

勉強時間の目安はまったく医療事務についての知識がない初心者は180時間程度、多少の知識がある人は90時間程度と言われています。

医療事務 管理士技能認定試験

申し込みはJSMA技能認定振興協会のサイトの医療事務管理士技能認定試験のページ(https://www.ginou.co.jp/qualifications/iryojimu.html)から申し込みを行います。

会場試験の場合は希望の受験地を入力しましょう。試験日の1週間前頃に受験票が発送されます。合否は試験日より1か月以内に郵送にて通知が来て合格者には認定合格証が交付です。

インターネット試験の場合は推奨動作環境条件を確認してから申し込んでください。インターネット試験の場合は試験料振込から約1週間後に受験票が発送されます。振込から2週間以内に受験しましょう。試験終了後画面上に結果が表記され、合格者は翌月中旬頃認定合格証が郵送で送られます。

勉強時間の目安は初心者の場合は350~450時間程度、約6か月程度とされています。既にある程度知識があるのならば175~225時間、約3か月程度でしょう。

診療報酬請求事務能力認定試験

受験の申し込みは郵送申し込みとインターネット申し込みの2種類があります。郵送申し込みの場合は協会へ願書の請求をし、送られてきた用紙に所定の記入をして受験手数料を納入したうえで願書を提出しましょう。願書の受付は試験日の3.5か月前、願書の提出は試験日の2.5か月から1.5か月前が目安となります。

インターネット申し込みの場合は協会のサイトの診療報酬請求事務能力認定試験のページ(https://www.iryojimu.or.jp/)から申し込みを行いましょう。受験手数料の納入が確認されると受験票の発行が発行されます。納入方法は郵便振替です。

合否の通知は試験月翌々月末までに郵送され、合格者は認定票が交付されます。

勉強時間の目安は初心者の場合は50~60時間程度、既にある程度知識がある人は20~30時間です。ただし、ひっかけ問題や専門用語が多いので全く知識がない人は独学で合格を狙うのは難しいとされています。

医療事務認定実務者

受験願書請求は事務教への電話(03-5925-6548)で願書を請求するかインターネットで申し込むか郵便で申し込みをしましょう。インターネットの場合は事務局のサイトの実務認定試験申し込みページ(https://v.rentalserver.jp/iryou-shikaku.jp/form/kentei/)から行えます。所定の方法で受験料も支払ってください。

試験の約10日前に受験票が郵送されます。合否は約1か月後です。結果は郵送にて送付され、合格者には合格書が同封されています。

勉強時間の目安は初心者の場合、20~40時間程度です。

 

医療事務の資格は独学で合格できる?勉強法の種類

医療事務の資格のおすすめ勉強方法について紹介します。医療事務の資格は受験資格がないので市販のテキストや過去問などをそろえて独学で資格試験に臨むことも可能です。

しかし、医療事務は専門用語や独特な計算方法も多いので、まったく医療事務の知識がない初心者は独学では難しいのが実情です。

医療事務の資格を独学、通信講座、スクール通学で勉強するメリットとデメリットについて紹介します。

医療事務を独学で勉強する場合

自分で市販のテキストや過去問などをそろえ、勉強をします。既にある程度医療事務についての知識がある人におすすめです。自分のペースで勉強をすすめられるうえ、1番安く済ませられます。テキストの相場は1冊2,000~3,000円程度です。

しかし、自分だけでペース配分を決めたりモチベーションを維持したりしなければなりません。分からないところがあっても誰にも質問できないので自分で答えを探すしかなく、効率は落ちてしまいがちです。

さらに、健康保険法や医療法など医療事務関係の制度は2年に1度程度改正されますが、独学だとこれらの情報が入ってきにくいです。特に診療報酬点数制度は最新の知識をそろえておかなければなりません。

どの医療事務資格試験であっても、レセプト作成の実技試験がありますが独学の場合は手書きで勉強していくのが基本です。しかし、試験自体もそれで問題はありませんが、実際の医療実務の現場では電子カルテやレセプトコンピューターが主流となっています。

通信講座やスクールなどであらかじめそのようなレセプト作成にも慣れておくと就職後もスムーズに実務に慣れていくことができるでしょう。

 

通信講座で勉強する場合

通信講座は通学式のスクールよりも安く勉強することができます。4か月から6か月程度、総額5万円程度が相場です。

通学の必要がないので育児中やフルタイムで働いている人などでも勉強しやすくなっています。教材選びや勉強のスケジュール調整も必要ありません。テキストやDVD、ネット講座で勉強、課題を提出、添削とアドバイスを繰り返してスキルや技術を身に着けていくスタイルです。質問もしやすくなっています。

ただし、課題を提出しなくても催促されるということはないため、モチベーションの維持は自分で行わなければなりません。

 

スクール通学で勉強をする場合

通学して勉強する場合は勉強のペースをつかみやすいです。質問も気軽にできてすぐに答えてもらうことができます。一緒に勉強をする仲間に囲まれての学習になるのでモチベーションも保ちやすいでしょう。

しかし、決まった時間の講義に出席しなければならないのでスケジュール調整をしなければなりません。学校が遠方にある場合は通学も大変です。

専門学校の場合は医療事務以外の資格が取れる学校も多くあります。また、就職のあっせんをしてくれる学校もあるので学校選びは慎重に行いましょう。

費用は短期ならば10万円以下のところもありますが、2年以上のカリキュラムのある専門学校の場合、200万円を超える場合もあります。

医療事務の資格試験の勉強のコツ

医療事務の資格試験は参考書や電卓の持ち込みが認められています。つまり、暗記の試験ではないのです。全部を覚えようとするのではなく、参考書のどこに何が記述されているのかを把握しておくようにしましょう診療報酬の点数表を使いこなせるかどうかが合否の分かれ目になります。

いつまでに合格する、合格した後どんな仕事をするなど、明確な目標を持ち勉強をしましょう。

まとめ

医療事務として働くのを望むのならば医療事務の資格の取得がおすすめです。医療事務の資格は医療事務技能審査試験、医療事務管理士、診療報酬請求事務能力認定試験、医療事務認定実務者の4種類があります。

この中で合格率が高く、初心者でも取得しやすいのは医療事務認定事務物です。一方難易度は高いですが、その分評価されやすいのは診療報酬請求実務能力認定試験となっています。

医療事務の資格試験で合否を左右しやすいのは診療報酬の計算方法やレセプト作成です。丸暗記をしようとするのではなく、点数表を使いこなせるようにしましょう。

受験資格はないので独学でも勉強できますが、医療事務について全く知識がないのであれば通信講座やスクールを利用する方が効率良く進められるのでおすすめです。




RUN-WAY編集部

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