作業療法士(OT)になるには?仕事内容や資格・年収など徹底解説!

作業療法士




作業療法士とは食事や着替え、買い物、遊びなどの「作業」を通して患者のリハビリをサポートし、「自分らしい生き方」ができるように助ける仕事です。国家資格が必要で活躍できる場所はたくさんあります。

認知度が低く資格を取得した後も勉強し続ける必要がありますが、向上心のある人や創意工夫が好きな人にとってやりがいの多い仕事ですよ。

作業療法士(OT)とは?

作業療法士とはどのような仕事なのかについて紹介します。主に心身に障がいを抱える人のリハビリを行いますが、仕事内容も活躍場所も非常に幅広いです。

 

作業療法とはなにか

作業療法士の仕事を知るためには作業療法とはなにかをまず知りましょう。

作業療法とは心身に障がいがある患者の治療のために様々な作業を用いる療法です。折り紙や手芸など細かい手作業だけでなく、食事や着替え、掃除、買い物、ゲームなど、日常生活に直接かかわる「作業」も含まれますよ。

身体的なリハビリだけでなく、精神面でも作業療法は有効です。患者が自分らしく充実した生活を送るために様々な作業で心身をサポートするのが作業療法になります。

 

作業療法士の仕事内容・役割

作業療法士は心身が不自由な人にリハビリを行い、家事などの日常生活を送るうえで必要な能力を高める訓練や指導をする仕事です。

主に①基本的動作能力、②応用的動作能力、③社会的適応能力の3つを改善、維持するのを目指しています。

①の基本的動作能力とは、運動、感覚・知覚、心肺や精神、認知機能などを指します。体操やダンスなど軽いスポーツなどが主なケアの内容です。「作業療法」と聞いてまず思い浮かぶのがこの分野という人は多いです。

②応答的動作能力とは、食事やトイレ、家事、道具の操作、コミュニケーションなど日常生活に必要な能力を指します。着替え、食事、金銭や貴重品管理などの練習、コミュニケーションの練習、退院後の住環境の調整、補助器具の作成や使用練習が主なケアの内容です。

③社会適応能力とは地域活動への参加、就業、就学、趣味活動などを指します。パソコン操作、対人技能訓練、外出活動、銀行や役所などの利用、音楽、ゲームなどが主なケアの内容です。

このほかにも本人や家族、職場の相談に応じたりライフスタイルの再設計を提案したりなど様々な面で「自分らしい生き方」を支えていきます。

 

作業療法士の働いている場所

作業療法士は①医療機関、②高齢者の入居する施設、③障がい者のための施設で働いている人が多いです。

①医療機関で働く作業療法士は理学療法士や言語聴覚士などと連携をとりながら働いている場合が多いです。理学療法士が最初に立つ・歩くなど基本的なリハビリ行い、その後に作業療法士が患者ごとに合ったリハビリを行って退院後の生活に備えます。

②と③、高齢者の入居する施設や障がい者のための施設では料理、レクリエーション、ハンドクラフトなどを行います。これらの作業を通して心と体を健やかに保つのをサポートするのが役割です。

このほか、独立して福祉施設を開設したりフリーのセラピストとして活躍したりする作業療法士もいます。

 

作業療法士の魅力

作業療法士の一番のやりがいは患者の生きがいを見つける手助けです。ある日突然事故や病気でそれまでの日常生活を送れなくなり、ふさぎ込んでしまった患者もいます。そのような患者1人1人と向き合い、心身共に支え、患者に再び生きがいを取り戻させ、再び意欲をもって生きていく手伝いができます。

また、作業療法士はオリジナリティを発揮しやすい仕事でもあります。障がいや症状が似ていても、同じリハビリで同じ効果が現れるとは限りません。

患者ごとに最適なリハビリプログラムを組み、工夫していく必要があります。柔軟な発想や臨機応変さが必要です。料理や園芸、裁縫など自分の趣味を仕事に反映させることもできます。

 

作業療法士に向いている人

どんな人が作業療法士に向いているのでしょうか?

・思いやりのある人

患者の中には今後の生活について不安を抱いていたり神経質になっていたり自暴自棄になっている人もいます。反発されたりリハビリを拒否されたりするのも珍しくありません。

作業療法士は患者の置かれた立場や弱っている心を理解し、思いやりをもって寄り添うのが求められます。

・忍耐力のある人

リハビリは数カ月、数年といった長期間に渡ります。すぐに効果の出る類ではなく、どんなに頑張ったからと言って障がいを負う前の日常生活に戻れるとも限りません。

しかし、作業療法士は粘り強く、辛抱強く患者と向き合い、試行錯誤しながらリハビリを行い続け、成果を積み上げていくのです。

・ポジティブな人、ポジティブにさせられる人

リハビリは楽しいものばかりではありません。辛かったり痛みを伴ったりするものもあります。

作業療法士は患者の心に寄り添うことが求められますが、一緒にネガティブになってしまっては意味がありません。前向きで、また患者も前向きにできるような明るい性格の人が向いています。

・コミュニケーション能力の高い人

作業療法士は患者と長期間にわたってリハビリに取り組みます。作業療法が必要な患者は発達障害を抱えた幼い子どもや気難しい高齢者など老若男女、様々です。

患者と良好な人間関係を築くことでリハビリは大きな効果を発揮します。人と接するのが好き、人と信頼関係を作るのが得意というコミュニケーション能力の高さが求められる仕事です。

・洞察力のある人

リハビリプログラムは患者に応じて臨機応変に組んだり変更したりする必要があります。最適なリハビリを行うために作業療法士は患者の動きや心理状態を観察・分析していかなければなりません。

患者にリハビリに前向きになってもらう一方、無理をさせ過ぎないのも重要な役割です。

・向上心が旺盛な人

作業療法の分野はまだまだ新しく、新しい研究結果や療法などが日々生み出されています。それらを常に勉強し、取り入れ、キャリアアップしていかなければなりません。

作業療法士はただ勤務年数を積み重ねていってもあまり収入の上がらない仕事です。キャリアアップやスキルアップのためには常に講習会や勉強会、研究会などに参加し、新しい資格を取ったり勉強したりする必要があります。

向上心が旺盛な人に向いている仕事です。

 

作業療法士に向いていない人

どんな人が作業療法士に向いていないのでしょうか?

・趣味や興味が狭い人

作業療法士は料理、掃除、園芸、ハンドクラフト、将棋、塗り絵、パソコンなど幅広い活動を通して患者のリハビリをサポートします。自分自身の趣味や興味を応用する場合も多いので、趣味が少ない人、興味の幅が狭い人などは向いていません。

・創意工夫が苦手な人

作業療法士は患者の障がい、性別、年齢、趣味などに合わせてリハビリを行っていかなければなりません。また同じ内容のリハビリが続くと患者は飽きてしまいます。

患者が興味ややる気が湧くような新鮮さや楽しさのあるリハビリを作っていく創意工夫が必要です。

ルーティーンワークが落ち着く、ルーティーンワークをこなしていきたいという人には向いていません。

 

作業療法士は大変?つらい・実際に働いている人の声

作業療法士として実際に働いている人が「大変」だと思っていることをまとめました。

・患者への説明が難しい

障がいを負って落ち込んでいる患者や高次脳機能障害、認知症などを患っている患者にリハビリを理解してもらうのが難しいです。「なんのためにこんなことしなければならないんだ!」と反発されることも少なくありません。リハビリの意図を理解して前向きに取り組んでもらうために辛抱強く繰り返し説明をしていきます。

・世間の認知度が低い

仕事内容が多岐にわたるため、理学療法士と混同されやすかったり、職場での地位が低かったり、専門性が理解されなかったりする場合が少なくありません。

老人ホームや介護施設などでは「手遊びや体操で患者と遊んでいるだけ」と認識されてしまっている場合もあります。今後はもっと理解が深まるといいですね。

 

作業療法士と理学療法士との違い

作業療法士混同されやすい理学療法士との違いについて説明をします。

 

作業療法士と理学療法士の仕事内容の違い

理学療法士の仕事内容は患者が日常生活で必要な基本動作能力を高めるリハビリを行います。筋肉や関節を動かしたり電気刺激や温熱、マッサージなどを施したりするのが主な内容です。座る、起き上がる、立つ、歩くなどのリハビリが中心になります。

作業療法士は日常の作業を通じて患者に日常生活がより豊かになるような動作ができるようにリハビリを行うのが仕事です。入浴、着替え、食事などの日常動作に加え、遊びや運動、などの作業もこなしていきます。

理学療法士が基本動作、作業療法士がその応用をサポートするので、医療の現場では患者がまずは理学療法士のリハビリを受け、その後に作業療法士のリハビリを受ける場合が多いです。

理学療法士は精神に障がいのある人のリハビリは対象ではありませんが、作業療法士は唯一、精神に障がいのある人への専門的なリハビリが行える資格となっています。精神科、デイケア、認知症関連施設などは理学療法士ではなく作業療法士の分野です。

とはいえ、作業療法士と理学療法士の仕事内容については明確な線引きがあるわけではありません。重複している部分もあり、作業療法士と理学療法士両方の資格を所持して活躍している人もいますよ。

 

将来性の違い

作業療法士、理学療法士共に国家資格です。これから高齢化社会が進むにつれてますます求められる仕事といえます。特に専門性の高い人材は引く手あまたです。

将来性は両方とも十分にあります。

 

作業療法士と理学療法士の年収の違い

作業療法士、理学療法士はほぼ同じ年収です。

平均年収は350~450万円程度になります。

資格を取得したり専門性を極めたりすることでより年収を上げることができるでしょう。

 

作業療法士の働き方・キャリアプラン

作業療法士の働きか方やよくあるキャリアプランなどについて紹介します。

 

作業療法士の雇用形態

作業療法士は医療施設や福祉施設で働くことが多いですが、正社員だけでなくパートでの雇用も多いです。扶養内、日勤だけ、土日休みなどの働き方もしやすくなっています。

女性の多い職場なので育児休暇や子育て後の復帰もしやすい環境です。医療施設の場合は託児所が充実している場合もあります。

残業も少な目で、家庭との両立が比較的しやすい仕事だと言えるでしょう。

 

作業療法士のキャリアプラン

障がい者やお年寄りと接したりボランティアで福祉施設を訪れたりして作業療法士を志す人が多いです。

結婚・出産などでいったんは現場を離れる女性は多いですが、育児に理解のある職場や福利厚生が充実している職場が多いので復帰率は低くありません。ライフスタイルに合わせて正社員ではなく、パート勤務や時短勤務を選択する人もいます。

基本給はそれほど高くありませんが、資格を取得することにより資格手当がつくので収入アップを目指す人も多いです。

キャリアアップのために症例検討会に参加したり自主勉強をしたり講習会に参加したりして研鑽を積んでいる人もたくさんいます。

 

作業療法士の年収・給料

作業療法士の年収・給料について見ていきましょう。

 

作業療法士の平均年収

厚生労働省金銀統計調査にとると作業療法士の平均年収は389~500万円です。

平均月収は約27.7万円になります。

 

男女別・年齢別、地域別の年収

以下は厚生労働省賃金構造基本統計調査をもとにした男女別の、年齢別の年収になります。

・男性作業療法士の年齢別収入

年齢 年収 月収 年間賞与
20~24歳 311.9万円 23.5万円 28.9万円
25~29歳 368.6万円 25.3万円 64.4万円
30~34歳 414.2万円 28.7万円 68.7万円
35~39歳 433.8万円 29.6万円 78.2万円
40~44歳 476.7万円 32.2万円 90万円
45~49歳 483.7万円 33.9万円 76.7万円
50~54歳 539.6万円 35.9万円 108.3万円
55~59歳 530.9万円 34.9万円 108.3万円
60~64歳 412.7万円 29.8万円 54.6万円
65~69歳 451.3万円 31.4万円 73.9万円

 

・女性作業療法士の年齢別収入

年齢 年収 月収 年間賞与
20~24歳 343万円 23.9万円 55.2万円
25~29歳 360.1万円 24.8万円 61.5万円
30~34歳 376万円 26.1万円 62.8万円
35~39歳 398.8万円 27.7万円 66万円
40~44歳 445.4万円 30.3万円 81万円
45~49歳 447.6万円 30.6万円 79.8万円
50~54歳 498.1万円 33.5万円 95.4万円
55~59歳 498.1万円 33.5万円 95.4万円
60~64歳 413.8万円 31.3万円 37.8万円
65~69歳 ―  

 

 

男女間に大きな差はありません。年齢を重なるにつれ、緩やかではありますが収入は増えていく傾向にあります。

パート勤務の場合、時給は2,000円前後が多いです。

 

・作業療法士の地域別平均年収

北海道 350万~360万円
東北 370万~390万円
関東 360万~500万円
中部 370万~420万円
近畿 370万~420万円
中国 360万~390万円
四国 330万~370万円
九州 320万~380万円

都道府県別に見た場合平均年収収入が多い県は以下になります。

1位東京都480~500万円

2位神奈川県420~430万円

3位大阪府410~420万円

規模の大きな施設程収入がいい傾向にあるので仕事探しの際には目安にしましょう。

【参考】

https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2018/index.html、https://www.ptotst-worker.com/nensyu/satei_ot.ph

https://career-picks.com/average-salary/sagyoryohoshi-nenshu/

 

作業療法士で年収700万円をめざすことは可能か?

作業療法士は年齢と共に昇給していく傾向にありますが、60代でも平均年収は400万円台です。通常の働き方で年収700万円以上になるのは難しいです。

700万円超えを目指すのならばキャリアを積み、資格を取得し、独立・企業などをして経営を軌道に乗せましょう。今、訪問リハビリや訪問介護は注目されている分野の1つです。

 

資格療法士の収入アップ方法

コミュニケーション能力が高く、患者をやる気にさせるのが得意な作業療法士は引く手あまたなのでキャリアを積んで待遇の良い職場で働きましょう。

資格手当をはじめとする各種手当や福利厚生が充実している職場が多いので、基本給以外にも注目をして職場を探すと手取りが良くなります。

部長や技師長などの役職につくと年収600万円台にも手が届きやすくなるでしょう。

 

作業療法士の将来性

作業療法士の将来性について見てみましょう。

 

現状作業療法士は安定した仕事なのか

作業療法士の資格保有者は75,000人ほどおり、今後も増えていくのが予想されます。いわゆる人余り状態一歩手前になっています。

経験やキャリア、専門性が無いと就職先を探すのが難しい場合も少なくありません。

かつて作業療法士の求人は精神科病院やクリニックなど医療関係が多かったですが、老人ホームをはじめとする介護業界、児童福祉施設や職場訓練校など福祉施設など福祉業界や教育業界からの求人も多くなっていますよ。

特に介護業界、中でも訪問リハビリはまだまだ人手不足なので狙い目です。

給与水準は特別高いわけではありませんが、福利厚生は充実している職場が多いので自分に合った職場を見つければ安定して働き続けられるでしょう。

 

今後、作業療法士は安定した食いっぱぐれのない仕事なのか

作業療法士は医療業界における人手はやや飽和状態といえますが、これから高齢化社会が進むにつれて介護業界からの注目はますます高まるのが予想されています。

作業療法はまだまだ課題も可能性も抱える新しい分野です。脳卒中による半身不随の治療を促す「川平療法」など新しい治療理論も次々と生み出されています。

作業療法士として安定して働くためには高い専門性、得意分野を持つのがおすすめです。どんな人を対象に、どんなリハビリを手掛けたいのかを明確にするといいでしょう。

キャリアを積み、起業するのもアリですよ。

 

作業療法士になるためには?

作業療法士になる方法について紹介します。

 

作業療法士になるためのルート

作業療法士は国家資格にあたる作業療法士試験に合格する必要があります。

この試験を受けるためには指定の作業療法士養成学校で3年以上学び、所定の単位を取得しなければなりません。

養成学校では座学だけでなく、臨床実習もあります。

作業療法士になるルートは以下の2つです。

  1. 高校→作業療法士専門学校、短大(3年)→作業療法士国家試験→就職
  2. 高校→大学の作業療法士養成課程(4年)→作業療法士国家試験→就職

1年目は生理学、解剖学、運動学、臨床心理学などといった基礎的な医学知識が中心になります。作業療法士だけでなく、看護師や臨床検査技師、理学療法士などを目指す学生と合同で授業を受ける場合も多いでしょう。大学の場合はこれに一般教養の授業もプラスされます。

2年目以降はリハビリテーション医学、作業療法評価学、発達障害治療学などより実践的です。他の資格を目指す人との合同授業が減り、少人数性のグループ学習やディスカッションが増えていきます。

最終年次は実践的な内容が中心です。臨床実習も入ってきます。臨床実習は質・量が非常に厳しいので覚悟して臨みましょう。現役作業療法士の指導の下で実際に実務作業を行います。並行して国家試験対策も行わなければなりません。大学の場合は卒業論文の作成も行っていきます。

 

最短ルートで作業療法士になるには

最短ルートで作業療法士を目指すのならば3年制の専門学校や短大に進学し、試験の一発合格を狙いましょう。

通信教育だけでは作業療法士の資格が取得できません。「作業療法士対策試験コース」といった通信教育もありますが、これはあくまで試験対策のためのコースです。これだけを受講しても受験資格は得られないので注意しましょう。通信教育は合格をより確実なものとするための補助として用いてください。

 

大学と専門学校の違い

大学と専門学校、どちらに通っても作業療法士になれますが、それぞれメリット・デメリットがあります。作業療法士にこだわり過ぎず幅広く学びたいのならば大学、就職を作業療法士に絞っているのならば専門学校がおすすめです。どちらも奨学金制度や教育ローン制度などが利用できます。

・大学で学ぶ

大学に進学した場合、作業療法士のための勉強だけでなく、一般教養などの授業も受けられます。

学費は公立の場合は入学費も含めて250万円から300万円程度、私立の場合は550万円から800万円程度が相場です。

4年間かけて様々なことが学べ、大学院や修士課程などに進んでから就職したり研究職に就いたりする人もいます。

作業療法士の昇進にはあまり学歴は重視されませんが、大卒の方が専門学校卒よりも初任給が1万円ほど高い傾向にあります。

・専門学校で学ぶ

専門学校の場合、作業療法士として現場で率先力になる実践的な知識が学べます。大学に比べて試験対策や就職対策はきっちりとサポートしてもらえるでしょう。

昼間コースだけでなく、夜間コースが併設されている学校もあるので、社会人が作業療法士への転職を目指すのならば専門学校で学ぶのがおすすめです。

学費は入学金も含めて350万円から800万円が相場となっています。大学と変わらないか少し高いくらいですが、学費免除制度や授業料分納制度などを取っている学校もあるので経済的に不安な人は利用しましょう。

専門学校の夜間コースはキャリアアップを目指したい社会人や介護士におすすめです。夜間コースの場合、授業は18時から21時や土日の日中に行われます。しかし、最終年次の臨床実習は昼間に行われるので1~2か月はスケジュール調整に苦労する人が多いです。

 

作業療法士になるための資格

作業療法士と名乗るためには作業療法士の資格が必要です。

しかし、この資格がなければ業務自体を行えないというわけではありません。実際に作業療法士の資格を持たない看護師や介護士などが作業療法の一部を行っている現場もあります。

そうはいっても、作業療法に携わる仕事に就きたいのならば専門性の高い知識・技術を持っている証でもある作業療法士の資格は必須です。就職においてもほぼ絶対条件になっています。

 

作業療法士の就職活動

新卒の作業療法士の就職活動は主に養成学校の最終年次に行われます。

しかし、作業療法士の試験は卒業直前の2月です。この試験に落ちてしまうとせっかく内定をもらっていても内定取り消しになってしまう場合があるので注意しましょう。

作業療法士の就職先は様々ですが、医療施設や規模の大きい施設の方がお給料はいい傾向にあります。

作業療法士のキャリアアップ、年収アップには資格の取得が欠かせません。頻繁に勉強会や講習会、研究会などに参加できるかどうかも職場選びの際の重要なポイントです。

 

作業療法士の国家試験

作業療法士になるための国家試験について詳しく見てみましょう

 

作業療法士の国家試験の詳細

・試験日

筆記試験:2月下旬(2020年は2月23日日曜日)

口述試験及び実技試験:2月下旬(2020年は2月25日火曜日)

・試験地

筆記試験:北海道、宮城県、東京都、愛知県、大阪府、香川県、福岡県、沖縄県

口述試験及び実技試験:東京都

・合格発表:3月下旬(2020年は3月23日午後2時)

詳細は厚生労働省のホームページで確認しましょう。

 

・試験科目/時間

一般試験:解剖学、生理学、運動学、病理学概論、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、作業療法

実地問題:運動学、臨床心理学、リハビリテーション医学、臨床医学大要、作業療法

実地問題とは1つの事例・症例で小問2問立て1セットの問題設計となっています。

 

試験時間:午前・午後共に100問を2時間40分で解く

問題数が多いので時間配分に気を付けましょう。五肢択一または五肢択二です。

 

作業療法士の合格基準

作業療法士の資格試験は一般試験が1問1点、実地問題が1問3点です。総得点と実地問題の両方で合格基準を満たすと合格になります。

総得点165点以上/275点(正答率60%以上)、実地問題41~43点以上/117~120点(正答率35.0~35.8%以上)が合格基準です。

 

作業療法士の合格率と難易度

作業療法士の合格率と難易度について見ていきましょう。

合格率は71%~87%となっています。年によって変動が大きく、4人に1人が落ちる年もあるのでしっかりと対策を行って挑みましょう。

作業療法士の資格試験に落ちてしまうとせっかく内定をもらっていても不採用になってしまう場合もあります。

新卒者と既卒者で分けてみると、新卒者の合格率は80~94%ですが、既卒者は21%~57%と新卒者に比べて低いです。出来るだけ現役合格を目指したいですね。

 

作業療法士と合わせて取りたい資格

スキルアップや年収アップを目指す作業療法士におすすめの資格を紹介します。作業療法士は昇給が緩やかなので資格を取得して待遇アップを目指しましょう。

作業療法士として2年以上働き、勉強会や講習会に参加すると取れる資格は格段に増えていきます。もちろん、資格ならばなんでもいいというものではありません。自分の進みたい方向性、自分の極めたい専門に関する資格を取得しましょう。

 

福祉住環境コーディネーター

高齢者や障碍者が自立して生活できる住環境を提案するアドバイザーの資格です。

【受験資格】

ありません。

詳細:https://www.kentei.org/fukushi/miryoku.html

 

3学会認定呼吸療法認定士

呼吸療法を行っている患者の呼吸器の管理ができる資格です。

【受験資格】

  1. 作業療法士としての実務経験2年以上
  2. ②認定委員会が認める学会・講習会等で12.5点以上の取得。

詳細:https://www.jaame.or.jp/koushuu/kokyu/k_index.html

 

心臓リハビリテーション指導士

心臓リハビリテーションを通じて循環器疾患の治療や再発予防をサポートします。運動による循環動態の変化に応じて安全で効果的で継続できる運動や生活指導を行えます。

【受験資格】

  1. 委員会主催の講習会を該当年度に受講
  2. 作業療法士の資格を取得

③2年以上の会員歴がある

④心臓リハビリ指導の1年以上の実績、若しくは心臓リハビリ研修制度による受験資格認定証の保持

詳細:http://www.jacr.jp/web/jacrreha/

 

認定作業療法士

作業療法士として臨床の実践、教育、研究、管理運営などの能力が一定水準以上あると証明できます。

【受験資格】

  1. 作業療法士として5年以上の実務経験
  2. 都道府県の作業療法士協会に所属している
  3. 日本作業療法士協会主催の「共通研修(3講座)」「選択研修(2講座以上)」の受講と試験合格
  4. 事例報告(3症例)

詳細:http://www.jaot.or.jp/post_education/ninteiot-list.html

 

介護支援専門員(ケアマネージャー)

介護を必要とする人やその家族と相談し、最適な介護プランの作成や自治体との調整が行えます。

【受験資格】

作業療法士や理学療法士などの国家資格に基づく実務経験が5年以上

詳細:http://www.sssc.or.jp/shien/

 

栄養サポートチーム専門士

栄養サポートチームに関わる専門職向けの資格です。低栄養状態の患者に最良の栄養管理を行い、治療や合併症の予防を行います。

【受験資格】

  1. 作業療法士として5年以上医療、福祉施設での勤務、かつ栄養サポートに関する業務に従事
  2. 学術集会、受験必須セミナーなどに参加し、所定の単位を取得
  3. 認定教育施設で40時間以上の実地訓練

詳細:https://www.jspen.or.jp/qualification/nst/protocol/

 

専門作業療法士

特定の分野で専門的な知識と技術を提供するスペシャリストである証です。作業療法士関連の資格の中では最上位と言えるでしょう。全国に100人余りしかいません。

キャリアアップや転職において非常に有利です。認定作業療法士の資格を取得したら次の目標にしてみましょう。

【受験資格】

  1. 認定作業療法士の資格を取得している
  2. 専門分野において4つの実践を終了している。(研修実践20専門単位、臨床実践20専門単位、研究実践10専門単位、教育と社会貢献の実践10専門単位)
  3. 資格認定審査の合格

詳細:http://www.jaot.or.jp/post_education/senmon-list.html

 

まとめ

作業療法士は患者1人1人に向き合い、創意工夫をしながらリハビリを行っていくやりがいのある仕事です。

専門性を身に着けると昇進や昇給、転職に有利になります。これからは高齢化社会なので、看護の分野ではますます必要とされるでしょう。




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RUN-WAY編集部

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