「○○ひとすじの仕事人生は素晴らしい」
よく、「Aさんは営業ひとすじで頑張ってきて素晴らしい」とか、「Bさんは○○の資格を活かして、その道を極めている」などの表現を見かけます。実際、ある技術をプロ並みに身につけるにはウン千、いやウン万時間かかるという話は本当でしょうし、その道ひとすじの生き方って、そう簡単にできるものではありません。でも、それだけが「理想の仕事道」かといえば、違うと思うんですよ。
先日、NHKラジオのあるトーク番組で、漫画家やイラストレーター、評論家などとして活躍するみうらじゅん氏が面白いことを言っておられました。
「イラストレーターなど」と紹介してほしい
みうらじゅん氏いわく、自分が最もしっくりくる肩書は「イラストレーターなど」だそうです。
え!?「~~など」ですか!?(それって、ちょっとユルすぎませんか?)と驚く司会者を前に、みうらじゅん氏はこう主張します。
「たとえば僕はイラストを描くけど、イラストレーターとしての依頼はほぼないので、『職業はイラストレーターです』というほどのものじゃないんですよ。漫画家といったって、漫画もほぼ描いてない。自分の連載に1コマ添えるくらいで。どの分野も、職業と言われるほどやってないんです。だから『など』でいいんですよ」
バイトをいくつも掛け持ちしている感覚
みうらじゅん氏は、彼特有のユーモアと飄々とした風情を漂わせつつ、続けます。
「こうしてラジオに出ているような仕事も含めて、僕は『~~など業』をメインでやってるんです。例えるなら、バイトをいくつも掛け持ちしているような感覚なんですよ」
司会者は、著名人のみうらじゅん氏が「バイトを掛け持ち」と自分を評したことを笑っていましたが、すごく魅力的な考え方じゃないでしょうか。
そこそこ好きなこと、できることをいくつかこなし、そのまとまりを「自分の仕事」と捉える。誰もが「専門を極めること、その道ひとすじ」に一生懸命にならなくてもいいんですよね。