「など」の部分を大切にする
もちろん、職業を聞かれて「主婦など」「事務職など」と答える人はいません。「などって何ですか?」と怪訝な顔をされるのは目に見えているし、ひとつの職を全うしていないような印象をもたれてしまう可能性だってあります。
みうらじゅん氏ですら、「など」をつけて自分を紹介してくれるメディアは、なかなかないようです。特に新聞のようなお硬いメディアでは、「イラストレーターなど、という職業は存在しないので、イラストレーターに直しておきますね」と言われてしまうそう。正確な肩書をひとつに絞って、ハッキリさせてほしいんですね。
でも、みうら氏は「僕がメインでやっているのは『など』の方なんで」と、きっぱり。
型に当てはめすぎることの功罪
みうらじゅん氏の考え方を、そっくりそのままマネすることはできないかもしれませんが、私たち一般人だって「など」の部分を大事にしてもいいんですよね。
「私は○○の社員です」「私は営業です」と決めて頑張るのも素敵だけれど、別の側面からみれば、それって自分を型にはめていることでもあります。「私はこれ」と当てはめすぎると、失敗したときに受けるダメージも大きくなってしまうし、周りにも「私はこういう人です!」ってアピールし続けないといけないし、疲れてしまう。
だったら、好きなこと、極める分野を1つに絞らず、無理しないのもありじゃないでしょうか。
分散された好きのエネルギーをゆる~くまとめた集合体が「自分」
これが、ちょっと好き。これが少しできる。これに興味関心がある。何か1つの道を極めるのではなく、分散された好きのエネルギーをゆる~くまとめた集合体が「自分なんだ」と思えるということ。それは、自分の可能性や選択肢を増やしておく、ということでもあります。
決めすぎない、当てはめすぎない。「など」で構成された自分を、ゆるく受け入れる。○○ひとすじにこだわらない生き方って、実はいちばん自己肯定ができている状態かもなあ。みうらじゅん氏のラジオを聴いていて、そんなことをぼんやり考えていました。あなたには、どんな「など」がありますか?(文・北条かや)
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北条かや
石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。
自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。
以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。
最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イーストプレス)、
他に『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、
『こじらせ女子の日常』(宝島社)。公式ブログは「コスプレで女やってますけど Powered by Ameba」(https://ameblo.jp/kaya-hojo)
ツイッターは@kaya_hojo (https://twitter.com/kaya_hojo)