「好きなこと」を仕事にするのは幸せか?【ライター/北条かや】

好きなこと

時代が変わってしまった

あの本だけが原因だとは言い切れませんが、今の私たちがどこかでこだわっている、「好きを仕事にした方が幸せ」という図式は、かなり最近できたものなんです。

90年代後半以降、IT技術の進化によって次々と新しい仕事が生まれ(そして「必要なくなる仕事」も増え)、SNSの台頭で「好きなこと」を発信しやすい世の中になったのも原因でしょう。長引く不況でリストラや転職が増え、これまで常識だった価値観=「サラリーマンになって、昇進してこそ幸せ」が崩れてきたのもあると思います。時代が大きく変化する中で、世の中全体が「新しい生き方の指針」を欲しがっていました。

「そうか、好きを仕事にしていいんだ!」

変化のめまぐるしい不安定な社会で、「好きなことを仕事にしよう」とうたった『13歳のハローワーク』は大ベストセラーになりました。多くの人が、ワクワクしたと思います。「好きなことを堂々と仕事にしていいんだ、できるんだ!」と。

今、「好きなこと」を仕事にしている人はたくさんいて、それに憧れる風潮はどんどん強くなっています。ソニー生命の調査では、中学3年生の男子が「なりたい職業」の3位に「YouTuber」がランクインしました。まさに、好きなことを仕事にしているイメージです。こうした状況を『13歳の~』は、ある意味、先読みしていたともいえます。

でも、本当にそうでしょうか。

「今の自分が最高に幸せ」と実感するのは難しい

たとえば、私は「文章書くこと」が好きでたまらなかったので「ライター」になりましたが、「今の自分が最高に幸せだ」とはなかなか実感できません。「好きなことを仕事にしたい!」と言う後輩を前に、「それ、いいね!」とはなかなか言えません。

だいたい、好きなことは「趣味」に取っておいた方が、仕事とプライベートを分けて充実させられるし、幸せじゃないでしょうか。いや、「そもそも好きってなんだろう?」みたいな、根本から考えた方がいいと思うのです。次回以降、さらに「好きを仕事にする」について考えてみたいと思います。(文・北条かや)

 

北条かや

北条かや

石川県出身。同志社大学社会学部卒業、京都大学大学院文学部研究科修士課程修了。
自らのキャバクラ勤務経験をもとにした初著書『キャバ嬢の社会学』(星海社新書)で注目される。
以後、執筆活動からTOKYO MX『モーニングCROSS』などのメディア出演まで、幅広く活躍。
最新刊は『インターネットで死ぬということ』(イーストプレス)、
他に『整形した女は幸せになっているのか』(星海社新書)、『本当は結婚したくないのだ症候群』(青春出版社)、
『こじらせ女子の日常』(宝島社)。公式ブログは「コスプレで女やってますけど Powered by Ameba」(https://ameblo.jp/kaya-hojo
ツイッターは@kaya_hojo (https://twitter.com/kaya_hojo)

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RUN-WAY編集部

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