第2楽章 Adagio
イングリッシュ・ホルンで始まる冒頭の旋律が哀愁漂い、またどこか懐かしさを感じさせる旋律です。情熱的なギターの独奏を経てオーケストラの波が押し寄せてくるところがなんともエモーショナルです。この楽章での旋律がポップスなどにも編曲されており、幅広いアレンジで演奏されています。とても有名なのがアメリカのミュージシャン、チック・コリア作曲「スペイン」では彼自身の楽曲にこの楽章の旋律を引用していることです。クラシックに疎い方でも、耳馴染みがあるでしょう。
第3楽章 Allegro gentile
可愛らしいリズムで始まり、オーケストラとの掛け合いがギターの音色を際立たせているように感じます。速度記号のgentileは《穏やかな》という意味ですが、この楽章はスペインの平和を願って作られたと言われています。
オーケストラとギターの音量問題
この楽曲に限られたことではないのですが、やはりクラシックギターはオーケストラをバックにすると生音では音色がかき消されてしまう問題があります。そのため、難しいことですがオーケストラの音量調節や、ギターの音を通すためにクラシックコンサートではなかなかない、マイクを設置して演奏することがしばしばあります。
いかがでしたか?颯爽と駆け抜けるギターの音色が心地いいですよね。次回はスペインつながりの名曲をご紹介したいと思います。お楽しみに!
月元ハルカさんの記事一覧
- 大砲を使う曲!?チャイコフスキーの序曲1812年
- スペイン風の情熱的な序奏とロンド・カプリチオーソ!
- 合唱も存在する交響詩!フィンランディア
- 冒頭は鷲の目線!シベリウスのヴァイオリン協奏曲
- その名も「ゴースト」!/ベートーヴェンのピアノ三重奏曲
- 目を見張る超絶技巧!サラサーテのツィゴイネルワイゼン
- ウィーンを代表するヨハン・シュトラウス2世のワルツ!
- シューベルト唯一の変則クインテット!《ます》
- ゲーテに触発された、シューベルトの《魔王》
- シューベルトの心境を反映、弦楽四重奏曲「死と乙女」
- 4つの学生歌を引用!ブラームスの大学祝典序曲
- 雨の降る日に聴きたくなる、ブラームスのヴァイオリン・ソナタ1番
- 旧友への追悼の曲、チャイコフスキーの《偉大な芸術家の思い出》
- イタリア様式のカプリチオ!チャイコフスキーのイタリア奇想曲
- チャイコフスキーの繊細さ際立つ、ロココの主題と変奏曲!
- ドヴォルザークが感じたアメリカ、弦楽四重奏曲第12番!
- 故郷への想いが詰まったドヴォルザークの交響曲「新世界より」
- ピアノの詩人、ショパンの三大ポロネーズ!
- ショパンの自信作、自身の飛翔を体現するピアノ協奏曲1番!
- 月元ハルカさんの記事一覧
<プロフィール>
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。