「アドホック」の意味とは?
「アドホック」の意味は、「臨時的な」「その場限りの」ということです。
「アドホック」は、医療やITなどの幅広いジャンルで使われています。
例えば、「アドホック委員会を設けた」という例文の意味は、「臨時で特定のトラブルを解決するために設けた委員会」ということです。
委員会は「特定のトラブル」を対処するために設けたものであるため、トラブルが解決すると解散されます。
ラテン語の「Ad hoc」が、「アドホック」の語源です。
ラテン語の「Ad」の意味は「~について」であり、「hoc」の意味は「これ」になります。
「Ad」と「hoc」を一緒にした「これについて」という意味になり、「その場限りの」ということで使われます。
医療・ITでの「アドホック」の意味とは?
医療での「アドホック」の意味は、一つの「冠動脈疾患の治療法」です。
「冠動脈造影」を行って治療する必要がある狭窄がわかった状態で、PCI(心臓カテーテル手術)をその場で行うことです。
一連のこのような流れを、「アドホック ピーシーアイ」(Ad hoc PCI)」といいます。
PCIを狭窄がわかったときに行うので、再度冠動脈造影を行う手間が省略でき、費用や入院日数を少なくすることができます。
一方、IT業界での「アドホック」の意味は、「アドホックモード」という無線LANの接続法になります。
無線LANの接続法は、「インフラストラクチャーモード」という親機のアクセスポイントを経由して通信するものと、「アドホックモード」という子機の無線LAN同士で通信するものがあります。
また、「アドホックネットワーク」は、アクセスポイントを経由しないで「アドホックモード」で作るネットワークです。
ジャンル別に「アドホック」を使うシーンとは?
ここでは、ジャンル別に「アドホック」を使うシーンについてご紹介します。
ビジネスのジャンル
ビジネスのジャンルで「アドホック」を使った用語としては、「アドホックグループ」や「アドホック委員会」などがあります。
特定の状況・目的のために設けられた検討会議や委員会などを、このようにいうようです。
ITのジャンル
ITのジャンルで「アドホック」を使った用語としては、多くは「アドホックモード」という意味になります。
「アドホックモード」は、端末のパソコンなどに取り付けている無線LANアダプタを使って、無線LANアクセスポイントを使わないで、直接その場で通信することです。
「アドホックネットワーク」は、「アドホックモード」で構成するネットワークのことです。
「インフラストラクチャーモード」は、無線LANアクセスポイントを使った通信方式です。
なお、考えつくままに考えついた操作をどんどん試験して問題が操作にないかをチェックしていく、操作試験の直観的なものをいいます。
マーケティングのジャンル
「アドホック」を使ったマーケティングのジャンルの用語としては、「アドホック分析」や「アドホック調査」があります。
「アドホック分析」というのは、単発的に行われるデータ分析です。
データ分析に必要な調査の設計、対象になる人の選択、調査、分析などの全てのプロセスが1度だけで終わります。
市場調査やビックデータ処理などのときに使われます。
「アドホック調査」は単発の調査です。
オーダー・メイドの調査で、調査についての企画、抽出、実査、分析などの全てのプロセスが1度だけで終わります。
医療用語の「アドホック」とは?
「Ad Hoc PCI」が、医療用語の「アドホック」としてはあります。
「Ad Hoc PCI」というのは、心臓動脈に診断カテーテル検査によって閉塞がわかったときに、血管形成術やステント留置術をそのまま行って治療することです。
1度のカテーテル手技で済むので、患者の負担が軽くなるとされています。
効果が心疾患の医薬品を使っても現れなく、症状が心臓のほとんどの箇所に及んでいる患者のときは、「Ad Hoc PCI」が選ばれることがあります。
「アドホックネットワーク」とは?
「アドホック」(ad hoc)は、「自立分散型無線ネットワーク」ともいわれており、「その場限り」「一時的な」という意味です。
ネットワークに無線で接続したパソコン、タブレットなどの端末のみで構成され、専用基地局やアクセスポイントを使わないネットワークです。
「アドホックネットワーク」は、「マルチホップ通信」という専用基地局を通さないで直接多くの端末同士を接続することができるものの技術を使います。
「マルチホップ通信」は、多くの端末がルーターと同じような役目を自立分散的に担って、通信を数珠つなぎのように行うので、専用基地局がなくても、別の通信エリアを別の端末を中継しながら拡大することができます。
無線接続の「アドホックネットワーク」で使われる方式としては、100m程度と通信半径が広い「IEEE 802.11x」、10m程度と通信半径が狭い「Bluetooth」、モバイル接続に向いている「ZigBee」などがあります。
「アドホックネットワーク」の中では常に端末は移動して、端末同士間のリンクが確実ではないので、技術的な課題として無線周波数の出力や帯域、通信経路の決定などが残っています。
しかし、専用基地局が必要ないので、ネットワークを低コストで築いたり、災害のときに通信したりすることに役に立ちます。
「アドホック」の対義語とは?
ここでは、「アドホック」の対義語についてご紹介します。
「ルーチン」
「ルーチン」の意味は、「いつもと同じように手順が決まった作業をすること」や「パターン化されたいつも行っている行動」などです。
「ルーチンワーク」と、毎日仕事で繰り返している作業をいったりします。
これ以外にも、プライベートで行う「朝起きると歯をまず磨く」「出勤する前にコーヒーをいつものお店で買う」などの行動も「ルーチン」です。
「定型」「定例」
「定型」の意味は、「決められた型」「一定の型」です。
「定型文」や「定型詩」のように使います。
「定例」の意味は、「習慣」「前から決定しているやり方」「定期的に行うことになっているもの」ということです。
「アドホック」の英語表現とは?
「アドホック」の英語表現は、「ad hoc」になります。
「ad hoc」の語源は、「特別の」や「暫定的な」などの意味があるラテン語です。
英語として「ad hoc」を使うときは、「特別に」「特にこのために」「その場しのぎに」というような意味があります。
ラテン語は現在の英語圏ではあまり使われていません。
英語としてラテン語の表現の「ad hoc」も使えないことはありませんが、英文を書いたり、英語で話をしたりするときは使わない方がいいでしょう。