「青年期」と聞いて、あなたは正確に何歳から何歳までの年齢か分かるでしょうか。今回は、「青年期」がどの年齢における期間なのかを皮切りに、特徴や発達課題などを説明していきます。
「青年期」はいつのことを指す?
まずは、青年期はいつのこと指しているのかを見ていきましょう。実は、一口に青年期と言っても、年齢区分には幾つかの種類があります。そのため、明確な定義はないというのが正直なところです。ただ、日本で定められている指標はありますので、それにのっとった期間の定義を、ここでの青年期の位置づけとします。
年齢区分を分けた始まりは心理学者のユング
年齢区分という定義をはじめに作ったのは、夢の心理分析で有名なユングです。ユングは、人の一生を20歳ごとに「少年期」「成人前期」「成年期」「老年期」という四つの期間があると定めています。そして、次の年齢区分へと移り変わるときが人生の危機であると考え、注意を促していました。
この時の青年期にあたる「成年前期」は、20歳から40歳前後となります。
エリクソンによる自我発達の年齢区分で「青年期」が初登場
ユングに次いで発達心理学を発展させていったのが、精神分析家のエリク・H・エリクソンでした、エリクソンは、年齢区分をより細かく分類し、青年期という時期があると位置づけました。青年期は、13~18歳という短い期間を指し示し、オトナになっていくための準備期間という位置づけを定義しています。
日本での定義は厚生労働省の年齢区分で定められる
多くの年齢区分の指標を経て、日本では厚生労働省が年齢区分を定めています。エリクソンの年齢区分で青年期は成人として成熟するまでの時期とありますが、その定義の本質自体は変わりません。
ただ、厚生労働省による青年期は15歳ころ~25歳くらいまでの時期を指しており、エリクソンの年齢区分よりもかなり長めになっています。日本では、海外に比べて成熟に時間を要するという考えからきているそうですが、具体的な年齢ははっきり定められているわけではありません。おおまかに分けられていると考えて差し支えないでしょう。
青年期の特徴とは
ここからは、青年期の特徴について見ていきます。青年期は、大人から子供へと移り変わっていく時期を指していますが、この時期というのは多くの精神的な悩みを抱える時期でもあります。特徴を知っておくことで、自分が置かれている状況や子供が置かれている状況を理解できるようになるはずです。
青年期の大きな特徴は身体的・心理的成熟
青年期の特徴として、身体的な成熟に加え、性別を意識し始める心理的成熟も始まるというものがあります。子供から大人へ肉体的な変化が起こるのに従い、性的な関心が高まったり、異性を意識するようになります。
肉体が変化し、そこに順応しようと精神が急激に変化します。そのため、不安や苛立ちなどが生まれやすく、精神的に不安定になるのも青年期の特徴と言えるでしょう。
「青年期」は「子供から大人への過渡期」である
青年期は、過渡期なのです。子供として生きてきた守られる自分から、大人になって守る立場へと変化をしていきます。そのなかでも、まだ大人になりきれないのが青年期の特徴です。
成人期となる前段階の「青年期」をどのように過ごすかによって、その後の精神形成にも大きな影響を及ぼすと言われています。
青年期の発達課題とは
ここからは、青年期に現れる発達課題についてみていきます。青年期は、特徴のところでも軽く触れましたが、大きな過渡期を迎えています。そこでの発達課題を捉えられるかどうかで、精神形成に大きな影響を及ぼすのです。
青年期は「アイデンティティの確立」が発達課題
青年期の最も大きな発達課題は、アイデンティティの確立にあります。アイデンティティとは、簡単に言えば自己の確立のことです。自分がどのような人間であるのか、どのような人になりたいのかなどを考え、自分の価値を見出す時期なのです。
この時期にしっかりと自分の価値を見出せないと、そのまま無価値な人間だと思い込み、以後の人格形成に大きな影響を及ぼします。自分を卑下してみるようになったり、他社へ積極的にかかわれなくなったりするのです。
まとめ
このように、青年期というのは自我意識や社会意識も発達する非常に大切な時期なのです。自己を意識してアイデンティティの基礎となるものが作られるので、生活環境などの影響や他社からの影響を色濃く受ける時期でもあります。この時期をどう過ごすのか、どう過ごさせてあげるのかは、人生において非常に重要な問題であるといえるでしょう。