万感の思い(ばんかんのおもい)の意味とは?
万感の思い(ばんかんのおもい)は、万感の思いがこみ上げて、万感の思いで、などというように、スピーチなどでも多く使われています。
当然ですが、普段の会話でも耳にすることがあるでしょうが、堅苦しい表現であるため、親しい人同士では使わないようになっています。
しかし、公のシーンにおいては、会社のスピーチなどで多く使われているため、把握しておきましょう。
万感の思いの意味は、心に一瞬で浮かぶいろいろな思いや感情などです。
例えば、多くの生徒が小学校の卒業式などで目に涙を浮かべているのを見かけることがあるでしょう。
生徒たちは、おそらくそれまでの小学校の生活のことを思い出して、いろいろな思いで目に涙を浮かべていると思われます。
休み時間に友達と話をしたのが楽しかったこと、授業が面白くなかったこと、大変な行事が多くあったこと、力を注いで無事に学芸会が終わって良かったことなど、嬉しかったことや嫌なことなどいろいろな思いがこみ上げて、思い出になって目に涙を浮かべているのではないでしょうか。
万感の思いというのは、このようないろいろな感情のことです。
そのため、このシーンを文章として表現すれば、「卒業式で、生徒たちは万感の思いで目に涙を浮かべていた。」 などになります。
万感の思いとは、このように喜びや悲しみというような感情の全てが含まれている思いを表現しています。
万感の思いの使い方とは?
ここでは、万感の思いの使い方についてご紹介します。
人生の節目の卒業式などで使う
万感の思いで表現する気持ちや感情としては、嬉しさや喜びというようなものだけでなく、悲しみや苦しみなどいろいろな感情が含まれています。
そのため、結婚式や卒業式などのように、当日を迎えるまでのいろいろなことを思い出すことが多い人生の節目のシーンで使います。
表現としては少しかしこまったものであるためあまり日常会話では使いませんが、この日を無事に迎えられて万感の思いです、などとイベントのスピーチなどで使うといいでしょう。
一度にいろいろな感情を表現したいシーンで使う
万感の思いという言葉は、一度にいろいろな感情が溢れる様を表現します。
万感の思いという言葉を使うために相応しいシーンとしては、物づくりをしている人や職人などが、訓練や練習の日々を積み重ねて苦労して作った作品の評価が高くなった時などもあります。
自分がそれまで頑張った日々を思い出して、評価が高くなって万感の思いです、などということによって、大変であったが努力が報われて非常に嬉しいという気持ちが一緒に伝わります。
表現としてはかしこまったものであるため、お礼状などにも使えます。
万感の思いを使った例文
ここでは、万感の思いを使った例文についてご紹介します。
- 「さまざまなことがありましたが、卒業式を無事に迎えることができて万感の思いです。」
- 「今まで育ててくれた両親に対して、感謝の手紙を万感の思いを込めて読み上げた。」
- 「息子の結婚式に参列できて、万感の思いである。」
- 「卒業生たちは、万感の思いで旅立った。」
万感の思いの類義語とは?
ここでは、万感の思いの類義語についてご紹介します。
溢れる思い
溢れる思いの意味は、溢れるように感情が湧いて来るということです。
溢れる思いについても、万感の思いと気持が溢れてくるということでは同じ意味で使われる時が多くあります。
しかし、万感の思いの意味はいろいろな感情がありますが、溢れる思いの意味は一種類の感情のみでも、溢れるように感情が出てくれば使います。
溢れる思いは、誰かが非常に好きな時も湧いて来ますが、万感の思いとは違うでしょう。
感無量
感無量の意味は、計り知れないほど感慨が大きいということです。
いろいろな感情が溢れるということでは、いずれも共通しています。
しかし、万感の思いは過去にいろいろ感じてきた感情を表現しますが、感無量は心がその時の感情で満たされ時が多くあります。
例えば、何かの試合で優勝した時の万感の思いの意味は、それまで努力してきた中で感じた過去のいろいろな思いになります。
一方、感無量とは、心が優勝した時の感動のみでも満たされるような感じです。
胸が詰まる
胸と詰まるという言葉に、胸が詰まるはわけて考えることができます。
胸というのは体の一部の胸のことで、詰まるというのはものがある空間にいっぱい隙間なく入っている様子を表現します。
直接的な胸が詰まるの意味としては、胸に摂ったものがつかえるということになりますが、比喩的には、感情が心配事や悲しみ事で昂って、胸が苦しくなる様子を表現します。
例えば、非常に好きな男性が別の女性と婚約したと言うことを聞いた時は、感情があまりの悲しみに昂って、嘆き悲しむでしょう。
胸が詰まるという言葉で、このような様子を表現することができます。
例えば、このようなシーンであれば、非常に好きな男性があの女性と婚約したと聞かされて胸が詰まった、と表現することができます。
この時には、胸が詰まるというのは喜びを表現する言葉ではないということをよく間違います。
基本的に、胸が詰まるを使うのは辛い感情の時だけです。
胸が詰まるを喜びの感情に対して使うことはありません。
そのため、胸が詰まるを使う時は、間違わないように注意しましょう。
もし、喜びの感情を胸とつく言葉で表現したいのであれば、胸がいっぱいになるなどの方が適切でしょう。
胸がいっぱいになるという表現は、喜びや悲しみというような思いを強く感じている時に使います。
万感の思いと同じように、胸が詰まるも、湧き起こる感情を表現することで似ているため、類義語であるといえるでしょう。
しかし、胸が詰まるは苦しみや悲しみなどの辛い感情を表現しますが、万感の思いは悲しみや喜びというような複雑な感情を表現します。
胸が詰まると万感の思いは、このような違いがあります。
万感の思いの英語表現とは?
「thousands of thoughts」が、万感の思いの英語表現としてはあります。
英語表現の「thousands of thoughts」の意味としては、多く考えたこと、多くの思いということがあります。
「thousands」の意味としては、千という数があるため、多くの量を表現します。
一方、「thoughts」は、考えたことや思うことを表現する意味の「thought」の複数形になります。
また、「thousands」を使った例文としては、次のようなものがあります。
「She expressed a thousand feelings in just her words.」(彼女は言葉に万感の思いを込めた。)