「シンパシー(sympathy)」という言葉は、日常生活や映画、ドラマなどでもよく耳にする言葉です。なんとなくの意味は理解していても、正しい使い方はあいまいなのではないでしょうか。ここでは「シンパシー」の語源から、類語である「エンパシー(empathy)」の違いについても解説していきます。
「シンパシー」の語源と本来の意味とは?
まずは、「シンパシー」の語源と本来の意味を解説します。正しい語源を知っておくことで、類語と間違いにくくなります。しっかりチェックしましょう。
ギリシャ語が「シンパシー」の語源
英語の語源はにラテン語が多く、「シンパシー(sympathy)」も例に漏れずギリシャ語が語源となっています。
ギリシャ語の「syn(一緒に)」と「pathos(苦痛)」という2つの言葉が合わさってできた言葉で、「共に苦痛を味わう」という意味から、「同情」「共感」という現在の英語的意味になったといわれています。
「シンパシー(sympathy)」の英語的意味は「思いやり」
上記で紹介したように、「共感」「同情」という意味がベースにある「sympathy」は、時と共に「気の毒に思うこと」となり、今は「思いやり」という意味に変化していきました。
英語圏では、「気の毒」に思う気持ちを「シンパシー」を使って表現しますので、「お悔み」の表現として使われるのが一般的です。これは、日本ではほぼ使われることのない意味といえます。
英語圏における「シンパシー」は相手の状況や考え、思いを共に理解して、相手へ寄り添うときに使われる言葉なのです。
類語「エンパシー(empathy)」との違いとは
「シンパシー」と混同されやすい言葉の一つに、「エンパシー(empathy)」があります。エンパシーは「共感」「共鳴」という意味を持っているので、確かにシンパシーと似ています。
ですが、エンパシーのもっとも大きな特徴として、エンパシーの意味の中には相手を気の毒に思う「同情」の気持ちが含まれていないという点があります。これは、相手に寄り添うシンパシーとはむしろ対極にあるとも思える点です。
エンパシーはシンパシーとは異なり、他人が抱えている感情をそっくりそのまま自分のものと感じるのです。よりそうのではなく、そのまま自分も同じ感情になってしまうのです。つまり、つらい気持ちに同情して寄り添うのではなく、自分も同じようにつらい気持ちになってしまうということです。
この点から、シンパシーとエンパシーには大きな差があるといわれています。
「シンパシー」の使い方の注意点
ここからは、実際に「シンパシー」を会話で使う際に気を付けたい点を解説します。何気なく使っていても、もしかしたらその使い方は誤りかもしれません。使用するシーンをしっかり確認してみましょう。
シンパシーは「相手の状況が悪い」時に使うと覚えておこう
「あなたのその考え、シンパシーを感じる!」とポジティブな印象で使ってしまいがちな「シンパシー」ですが、この言葉を使う時は、相手が悩みや疑問を抱えて悩み、迷っているときに使うのが一般的です。
「シンパシー」は「同情」の要素が強いため、心が落ち込んでいる相手に対して、「共感」や「共鳴」して相手の心情や気持ちに寄り添うときに使います。もし相手がハッピーなときに「共感」を使いたいならば、「エンパシー」を使うほうがよいでしょう。
まとめ
普段何気なく「気持ちがわかる」という意味で使ってしまいがちな「シンパシー」ですが、実は相手へ寄り添うという意味が強い言葉なのです。
誤用されてしまいがちな言葉ですが、日本ではあまり厳格に定められてはいません。ただ、英語圏ではお悔やみの意味も強いシンパシーですので、海外に言った際の多用は控えておくのがいいでしょう。
使い方や使う環境に気を付け、シンパシーとエンパシーを使い分けられるようになっておきましょう。