デファクトスタンダードとは?
「デファクトスタンダード」という言葉は、社会人になってもあまり頻繁に聞かないでしょうが、実際には「デファクトスタンダード」を獲得するための競争は頻繫に身近なところで起きています。
「デファクトスタンダード」の意味は、「法的には決定されていないが、業界の標準である商品や規格」のことです。
法律で決定された規格でないので、「デファクトスタンダード」が誕生するにはマーケットでの自由な競争によって、価格や利便性などからそのサービスや商品が業界の標準として認可されることが必要です。
「デファクトスタンダード」になれば、サービスや商品を買う人が多くなって会社が儲かるようになるので、非常に多くの会社が「デファクトスタンダード」を目指しています。
いくつかの会社が規格を連携して策定する
自由な競争の結果、技術的に勝っている規格が「デファクトスタンダード」になるとは必ずしも限りません。
いかに多くサービスや商品を使うユーザーやメーカーを獲得するかがポイントになります。
例えば、家庭用ビデオのベータ・マックスとVHSの競争がいい例です。
最近は、いくつかの会社が規格を連携して策定する傾向があります。
というのは、マーケットにおける競争の結果が出るまで待っていると、技術革新に遅れるということがあるためです。
過去の事例としては、Blue Ray Disc陣営の規格に次世代の大容量光ディスクの規格が統一されたことがありました。
「デファクトスタンダード」の使い方とは?
「デファクトスタンダード」の使い方の例文としては、次のようなものがあります。
「デファクトスタンダードはちょっと前まではDVDであったが、ブルーレイに現在ではなってきた」
「デファクトスタンダードに自社の規格がなると、今後は大きく自社の経営方針が変わるだろう」
「デファクトスタンダードのアプリであるとみんながいっていたのでダウンロードしたが、あまり利用しない」
次に、「デファクトスタンダード」の身近な例についてご紹介します。
例えば、「デファクトスタンダード」の身近な例としては、英語があります。
世界史で学習したように、世界に大英帝国が進出したことによって爆発的に英語を使う人が多くなりました。
そのため、コミュニケーションを図る言葉として、英語は「デファクトスタンダード」になったというような経緯があります。
英語が現在国際公用語になっているのは、言語的に英語が勝っているということでは決してありません。
基本的に、英語を使う人が多いという「デファクトスタンダード」であるためと考えることができます。
具体的な「デファクトスタンダード」の事例とは?
ここでは、具体的な「デファクトスタンダード」の事例についてご紹介します。
「Windows OS」
「Windows OS」は、パソコンのOSの「デファクトスタンダード」として定着したといえるでしょう。
発売された1985年の当時は、1年ほどWindowsよりも前に登場したMacの方が高いスペックがあると評価されていましたが、Windowsの方が世界的なシェアは拡大しました。
表計算の「エクセル」や文書を作る「ワード」のソフトも、「デファクトスタンダード」といえるでしょう。
「ブルーレイ」
従来は「VHS」「DVD」がテレビ番組の録画の「デファクトスタンダード」でしたが、現在では「ブルーレイ」が「デファクトスタンダード」になっています。
高画質の「DVD」が「VHS」に取って代わりましたが、最近は「DVD」よりも容量が大きく画質が高いため「ブルーレイ」が使われてきています。
これ以外にも、「デファクトスタンダード」としてはキーボードのQWERTY配列などがあります。
「USB端子」
「デファクトスタンダード」としては、USB端子もあります。
「USB-A端子」がスマホやパソコンなどで「デファクトスタンダード」になっていましたが、最近は「USB-C端子」が装備されており、デファクトスタンダードになってきています。
「デファクトスタンダード」のメリットとは?
ここでは、「デファクトスタンダード」のメリットについてご紹介します。
「デファクトスタンダード」になったサービスや商品を提供している会社は、マーケットの変化に関係なく儲けることができます。
というのは、「デファクトスタンダード」になったサービスや商品にはユーザーが付いて、しかもこのサービスや商品に基づいたものなどが開発されるようになるためです。
そのため、自社のサービスや商品を「デファクトスタンダード」にすることを目標にしている会社は多くあります。しかし、「デファクトスタンダード」にすることによって、マーケットを独占するようになるリスクがあるので、マーケットへアプローチするときは注意する必要があるでしょう。
いくつかの会社が連携した「デファクトスタンダード」もある
「デファクトスタンダード」になるために、いくつかの会社が連携するケースもあります。
いいサービスや商品であればマーケットで「デファクトスタンダード」になるというようなことでなく、現在はニーズが多様化しているため、ユーザーとメーカーを巻き込みながら、サービスや商品が「デファクトスタンダード」になります。
マーケットに追いつくために、いくつかの会社が協力・提携して技術開発を効率良く行います。
ユーザーにとって会社の「デファクトスタンダード」争いはデメリットになるか?
それぞれの会社が「デファクトスタンダード」争いを行うことは、最終的にユーザーにとってはデメリットになります。
例えば、デジタルカメラが登場した頃の大容量の小型のメモリーカードがあります。
大容量の小型のメモリーカードとしては、SDメモリーカード、コンパクトフラッシュ、メモリースティックなどというように、記録媒体もデジタルカメラのメーカーによって違っていたため、最終的にユーザーの利便性がなくなりました。
「デファクトスタンダード」の対義語とは?
「デジュールスタンダード」が、「デファクトスタンダード」の対義語になります。
「デジュールスタンダード」の語源の英語は「de jure standard」で、意味は規格が標準化団体や公的機関によって「デファクトスタンダード」であると認められたものです。
「de jure standard」の「de jure」の意味は、「法律上の」ということです。
「デジュールスタンダード」としては乾電池が一例であり、標準であると公的に認められることによってユーザーがどこでも同じ規格品を買えるというメリットがあります。
「デファクトスタンダード」の英語表現とは?
「de facto standard」が、「デファクトスタンダード」の英語表現です。
「de facto」の意味は、「実際には」「事実からの」ということです。