「棚卸し」の意味とは?
「棚卸し」の意味は、「資産を評価するために在庫数を調べること」です。
在庫数を調べる以外に、「棚卸し」の意味としては品質も調べて価額を査定することも含まれます。
「棚卸し」の意味としては、これ以外に「一つずつ欠点を数え上げていう」ということもあります。
「棚卸し」は、ちょっとネガティブな意味合いで使われるときもあることを把握しておきましょう。
「棚卸し」の目的とは?
ここでは、「棚卸し」の目的についてご紹介します。
利益を正しく掴む
「棚卸し」の一つの目的としては、きちんと企業の業績を掴むことが挙げられます。
損益計算書の初めには、売上総利益が表示されます。
売上総利益は、売上高から売上原価を差し引きしたものです。
売上原価をさらに細かく表示すれば、売上総利益は売上高から期首棚卸高と当期仕入れ高を差し引きして期末棚卸高をプラスしたものです。
例えば、1本70円のペンを100本仕入れて、1本100円でこの中の50本を販売し、在庫に50本がなったとします。
このときの売上総利益は、次のようになります。
売上高は、100円に50本を掛けた5000円です。
仕入高は、70円に100本を掛けた7000円です。
在庫高は、70円に50本を掛けた3500円です。
そのため、売上総利益は、5000円から7000円を差し引きして3500円をプラスした1500円になります。
このように、損益決算書の利益が在庫高によって増減します。
利益がでていると考えていたが、実際に「棚卸し」を行った結果考えていた以上に利益が少なかったというようなこともあり得ます。
場合によっては、赤字になることもあります。
在庫管理によって経営判断に役に立つ
在庫は、まだ販売されていないのでお金になっていないものです。
そのため、運転資金が使われていない状態になります。
利益が出ているにも関わらずお金が残っていない一つの要因にもなります。
また、在庫を毎日管理することによって、余計な仕入れを防止し、在庫があるにも関わらず仕入れる、つまりお金を余分に寝かすようなことを無くしましょう。
「棚卸し」が決算の期末だけであれば、在庫の毎日の管理ができなく、売上原価の期中の浪費を掴むのが困難になり、期末に慌てるようなこともあります。
「棚卸し」を適時に行うことによって、古くなった商品や著しく現状の売値相場が低下しているもの、商品価値が壊れて無いものなどを、在庫処分セールなどによって可能な限り早く現金化したり、評価損が計上可能なものを掴んでおいて棚卸の評価方法の届出を決算期末までにしたりしておくことによって、評価損などの節税対策ができます。
具体的な「棚卸し」の方法とは?
「棚卸し」の対象としては、棚卸資産の商品、製品、仕掛品、貯蔵品、材料などが挙げられます。
基本的に、企業が持っている資産の中で数えられものは「棚卸し」を行うようになります。
「棚卸し」するときには、品目、数量を記載する必要がありますが、金額については考慮しないときが多くあります。
「棚卸し」の方法としては、大きく分類すると「タグ方式」と「リスト方式」があります。
「タグ方式」
「タグ方式」というのは、棚卸資産の現品の品目と数量をチェックした後に、棚札に担当者が記載して、漏れなく現物に貼り付けて、現物を数えるものです。
具体的には、現物を初めに数えてから、帳簿上の棚卸資産の数量と比べます。
メリットとしては、先に現物からアプローチするようになるので、棚卸資産の計上漏れが少ないということがあります。
しかし、デメリットとしては、手間が棚札の連番管理などある程度かかることです。
「リスト方式」
「リスト方式」というのは、帳簿の在庫管理表などに記載された数量をベースに、実際に棚卸資産としてある現物の数量をチェックし、帳簿の数量と比べるものです。
「リスト方式」のメリットは、帳簿上の数量をチェックした後に現物にアプローチするので、割合作業が短時間で終わるということです。
一方、デメリットとしては、帳簿上の数値をベースに現物をチェックするので、チェック漏れが起きやすいということが挙げられます。
現物が網羅的に帳簿上で記載されているかのチェックも、追加で行うべきでしょう。
「棚卸し」の頻度とは?
「棚卸し」の頻度としては、年に最低1回は行う必要があります。
というのは、「棚卸し」は期末に作る決算書を正しいものにするために必要なものであるためです。
もし在庫をしっかりと管理したいのであれば、「棚卸し」を半年に1回、あるいは四半期に1回行うなどもおすすめです。
手間が「棚卸し」はかかる作業であるため、頻度については自社の状況を考えて、バランスを考慮して決定すべきでしょう。
「棚卸し」はアウトソーシングがおすすめ
「棚卸し」は健全な経営のために必要なものです。
しかし、「棚卸し」については多くの会社が悩んでいます。
「棚卸し」は費用も時間もかかります。
通常の仕事と棚卸しを一緒に行うのは難しく、社員にどうしても休日出勤などをさせる必要があります。
さらに、「棚卸し」が普段の人員のみで行えないときは、スタッフを新しく手配する必要があります。
必要な作業といっても、短期間に人件費がかかるのは会社にとってはダメージです。
さらに、「棚卸し」はノウハウや経験が蓄積されにくくなります。
時期によって在庫の分類は異なるので、ある時期に行った「棚卸し」の方法が他の時期にも使えるとは限りません。
現場を率先して仕切れる人材が生まれにくいため、現場は「棚卸し」のたびに混乱し、手間が多くかかります。
「徹底して帳簿棚卸しをしておくと、楽に実際の棚卸しがなる」ということもあるでしょう。
しかし、「帳簿棚卸し」は入力作業を間違いなくできるだけのスキルが求められるので、なかなか現場によってはふさわしい担当者が見つかりません。
また、帳簿をいかに正しくつけても、実際の「棚卸し」は必要になります。
このようなことを避けるためには、「物流アウトソーシング」を使うことを考えてみましょう。
アウトソーシングするときは、物流についてのいろいろな仕事を受けている業者があります。
このような業者は、専門的な「棚卸し」などについての知識があり、レベルの高い仕事が期待できます。
さらに、「棚卸し」のための時間が省略できるのは非常にメリットです。
「棚卸し」をアウトソーシングすると、新たな費用がかかります。
しかし、パートやアルバイトを雇って、連日の残業代を社員に払い続ける費用と比較したときは、アウトソーシングの方が安くなるときも多くあります。
社員は、「棚卸し」が必要なくなるため、通常の仕事に注力できます。