時候の挨拶というのは、頭語の「拝啓」などに続く季節感を表す書き出しの言葉です。
時候の挨拶としては、学校関係で出す文書やビジネス文書、目上の方向けのお礼状の「漢語調」と、個人的な知人や親しい友達向けのカジュアルな「口語調」があります。
ここでは、4月の上旬、中旬、下旬にわけて、時候の挨拶の例文や結びの文、健康やコロナについての挨拶文、季節の話題についてご紹介します。
4月の時期
日本では現在新暦が使われていますが、季節の挨拶としては、二十四節気や旧暦が使われることがあります。
ここでは、どの二十四節気が4月なるか、旧暦のいつが4月になるかについてご紹介します。
どの二十四節気が4月なるかは、次のようになります。
「清明(せいめい)」は、4月5日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
この頃になると、清々しい空気が大地も空も溢れているとされています。
「穀雨(こくう)」は、4月20日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
この頃の雨は、穀物を育てるために大地を潤すとされています。
旧暦のいつが4月になるかは、次のようになります。
- 旧暦の3月1日頃が新暦の2022年の4月1日
- 旧暦の4月1日が新暦の2022年の5月1日
- 旧暦の閏2月11日頃が新暦の2023年の4月1日
- 旧暦の4月1日が新暦の2023年の5月20日
- 旧暦の2月23日頃が新暦の2024年の4月1日
- 旧暦の4月1日が新暦の2024年の5月8日
書類、手紙、お礼状、メールで使う挨拶文の書き方、構成
学校関係で出す文書やビジネス文書、お礼状、個人的な手紙などを書くときは、基本的に前文、主文、末文、後付で構成します。
このような基本をベースにして、細かい要素を必要によって変えながら仕上げましょう。
前文は、頭語の「拝啓」など、時候の挨拶、相手の健康や安否を気遣う言葉、自分の近況やお礼などの順番に書きます。
主文は、本文になります。
末文は、結びの挨拶で、相手の繁栄や健康を祈る言葉、結語の「敬具」などの順番に書きます。
後付は、日付、署名、宛名の順番に書きます。
時候の挨拶の「漢語調」「口語調」は相手、シーンによって選ぶ
その時々の季節感を表した言葉が、時候の挨拶になります。
時候の挨拶としては、短く簡潔に表した「春和の候」のような「漢語調」と、話し言葉で柔らかな「穏やかな春らしい気候に心和む季節になりました」のような表現の「口語調」があります。
相手やシーンによって、「漢語調」と「口語調」は使いわけます。
一般的に、学校関係の文書やビジネス文書などでは、「漢語調」のかしこまった表現が使われることが多く、文書の格がアップします。
一方、より身近な「口語調」を使う方が、個人的な文書では多くあります。
また、ビジネスシーンでも、「口語調」を使って柔らかくすることもあります。
いずれにしても、おすすめはポジティブなものです。
ビジネスシーンの「漢語調」の4月の時候の挨拶
一般的に、かしこまった「漢語調」の時候の挨拶をビジネスシーンでは使います。
ここでは、目上の方へのメールや手紙でも使えるビジネスシーンの「漢語調」の4月の時候の挨拶についてご紹介します。
季節感が時候の挨拶は大切であるため、目安の時期ごとにご紹介します。
しかし、少しその年によってずれるときがあるため、季節感を実際に優先しながら選びましょう。
また、「○○の候」は、使うときに「○○のみぎり」「○○の折」に置き換えることもできます。
・「春和(しゅんわ)の候」「春爛漫(はるらんまん)の候」「春陽(しゅんよう)の候」「春暖(しゅんだん)の候」「陽春(ようしゅん)の候」は 4月全般で使える
「春和の候」の意味は、穏やかな春らしい気候に心が和む季節になりましたがということです。
「春爛漫の候」の意味は、春爛漫の頃を迎えましたがということです。
「春陽の候」の意味は、春の陽射しが感じられる季節になりましたがということです。
- 「春暖の候」の意味は、春の暖かさが感じられる頃になりましたがということです。
- 「陽春の候」の意味は、陽気に溢れた春になりましたがということです。
「春和の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「春和の候、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
「春光(しゅんこう)の候」「麗日(れいじつ)の候」「春風(しゅんぷう)の候」「春分(しゅんぶん)の候」「桜花(おうか)の候」は3月下旬~4月初めに使える
- 「春光の候」の意味は、春の陽射しが感じられる頃になりましたがということです。
- 「麗日の候」の意味は、春の麗らかな陽気が続く時期になりましたがということです。
- 「春風の候」の意味は、気持ちいい春風の頃になりましたがということです。
- 「春分の候」の意味は、春分の時期を迎えましたがということです。
「春分」は、3月21日~4月4日頃で、二十四節気の一つです。
「桜花の候」の意味は、桜の花が咲く頃になりましたがということです。
「春光の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「春光の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
「春嵐(しゅんらん)の候」「清明(せいめい)の候」「桜端(おうたん)の候」は4月上旬~4月中旬に使える
- 「春嵐の候」の意味は、春の嵐が吹く時期になりましたがということです。
- 「清明の候」の意味は、すべてのものが命輝く清らかな頃になりましたがということです。
「清明」は、4月5日~4月19日頃で、二十四節気の一つです。
「桜端の候」の意味は、桜の花が散る時期になりましたがということです。
「春嵐の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「春嵐の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
「葉桜(はざくら)の候」「穀雨(こくう)の候」「若草(わかくさ)の候」「惜春(せきしゅん)の候」「麗春(れいしゅん)の候」は4月下旬に使える
- 「葉桜の候」の意味は、桜の花が終わって葉桜の時期になりましたがということです。
- 「穀雨の候」の意味は、植物の成長を雨が促す時期になりましたがということです。
「穀雨」は、4月20日~5月4日頃で、二十四節気の一つです。
- 「若草の候」の意味は、若草の季節になりましたがということです。
- 「惜春の候」の意味は、過ぎ行く春が惜しまれる時期になりましたがということです。
- 「麗春の候」の意味は、麗春(ひなげし)の花が咲く時期になりましたがということです。
「葉桜の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
「葉桜の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
ビジネスシーンの「口語調」の4月の結びの挨拶
趣旨や相手によって、結びの挨拶は変わります。
ここでは、ビジネスシーンの「口語調」の4月の結びの挨拶についてご紹介します。
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 「今後についても相変わらずご厚誼(こうぎ)を賜りますようお願い申し上げます。」
- 「ご高配を引き続き賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「変わらぬご支援ご鞭撻をこれからも賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「ますますの貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。」
- 「末筆ながら、衷心より一層のご隆盛をお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご多祥をお祈り申し上げます。」
4月特有の結びの挨拶
4月特有の結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「花冷えのする折から、十分にご自愛をお願い申し上げます。」
- 「新しい年度を迎え、ますますのご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。」
- 「春の長雨で体の調子が悪くならないようにご留意ください。」
- 「春爛漫の候、十分に健康にはご留意なされ、さらにご活躍されますことをお祈り申し上げます。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
- 「落ち着かない毎日がコロナもあり続いております。十分にご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
- 「コロナ禍中、まだ花冷えもございますが、お体にくれぐれもご留意なされ、ご活躍されますことをお祈り申し上げます。」
個人的な「口語調」の4月の時候の挨拶
個人的な時候の挨拶のときは、書き出しはカジュアルな「口語調」の表現が好まれます。
ここでは、個人的な「口語調」の4月の時候の挨拶についてご紹介します。
「漢語調」の「○○の候」の言葉
「漢語調」の「○○の候」の言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「春爛漫の時期を迎えましたが」
- 「春の陽射しが感じられる頃になりましたが」
- 「春の暖かさが感じられる時期になりましたが」
- 「春分の時期を迎えましたが」
- 「桜の花が散る時期になりましたが」
- 「若草の頃になりましたが」
- 「過ぎ行く春が惜しまれる時期になりましたが」
相手の健康や安否を気遣う言葉
相手の健康や安否を気遣う言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「桜前線も北上し、春の陽気が感じられる時期になりましたが、皆様お変わりございませんでしょうか。」
- 「花冷えの毎日が続きますが、お元気でしょうか。」
- 「花より団子にやはり心が動きます。皆様、お元気でしょうか。」
- 「早いもので満開の桜も葉桜の時期になりました。皆様、お元気にお過ごしでしょうか。」
- 「花の香たちこめるいい季節になりましたが、ご機嫌いかがでしょうか。」
- 「若草が萌える時期になりましたが、その後お変わりございませんでしょうか。」
個人的な「口語調」の4月の結びの挨拶
カジュアルな表現が、個人的に使う結びの挨拶も好まれます。
挨拶の内容は相手によって考えてみましょう。
ここでは、個人的な「口語調」の4月の結びの挨拶についてご紹介します。
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「飛躍の時期を迎え、ますますのご活躍をお祈りしております。」
- 「何かと新しい生活は大変かと存じますので、体調などが悪くならないようご自愛ください。」
- 「年度が変わってお忙しいかと存じますが、お身体をおいといください。」
- 「ゴールデンウィークを楽しくお過ごしされますように。」
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「春暖の候、健やかな毎日をお過ごしください。」
- 「花冷えの日も春とはいえございますので、ご用心ください。」
- 「風邪などを春の長雨でこじらせないよう、お気をつけください。」
- 「時節柄、体の調子が悪くならないように、お身体をおいといください。」
- 「この季節は万物の息吹を感じるようになりましたが、ご家族の皆様のご多幸とご健勝をお祈り申し上げます。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
コロナ関係のときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「時節柄、お目にかかることがなかなかできませんが、皆様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。」
- 「コロナ禍中、影響がお仕事にもあるかと存じます。お体に十分に気をつけてご活躍ください。」
- 「運動不足にテレワークでならないよう、お互いに注意しましょう。」
- 「慌ただしい新しい年度にくわえてコロナ禍もございますので、十分にご自愛くださいませ。」
4月に使える季節の話題
ここでは、4月に使える季節の話題についてご紹介します。
季節の話題を使ってみると、季節感が出るでしょう。
4月の風物詩
4月の風物詩としては、お花見、新学期、端午の節句の準備、エイプリルフール、入社式、花見、入学式、ゴールデンウィーク、山菜採り、お団子、いちご狩りなどがあります。
旬の野菜
旬の野菜としては、独活 (うど)、たけのこ、さやえんどう、蕗(ふき)などがあります。
旬の果物
旬の果物としては、いちご、びわ、甘夏みかんなどがあります。
旬の海産物
旬の海産物としては、蛤(はまぐり)、鰆(さわら)、さよりなどがあります。