時候の挨拶というのは、頭語の「拝啓」などに続く季節感を表す書き出しの言葉です。
時候の挨拶としては、学校関係で出す文書やビジネス文書、目上の方向けのお礼状の「漢語調」と、個人的な知人や親しい友達向けのカジュアルな「口語調」があります。
ここでは、9月の上旬、中旬、下旬にわけて、時候の挨拶の例文や結びの文、健康やコロナについての挨拶文、季節の話題についてご紹介します。
9月の時期
日本では現在新暦が使われていますが、季節の挨拶としては、二十四節気や旧暦が使われることがあります。
ここでは、どの二十四節気が9月なるか、旧暦のいつが9月になるかについてご紹介します。
どの二十四節気が9月なるかは、次のようになります。
白露(はくろ)は、9月8日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
秋の気配がこの頃から感じられるようになるとされています。
秋分(しゅうぶん)は、9月23日頃(その年によって違う)で、二十四節気の一つです。
この日は、お彼岸の中日でもあり、ほとんど昼と夜の長さが同じになります。
旧暦のいつが9月になるかは、次のようになります。
- 旧暦の8月6日頃が新暦の2022年の9月1日
- 旧暦の9月1日が新暦の2022年の9月26日
- 旧暦の7月17日頃が新暦の2023年の9月1日
- 旧暦の9月1日が新暦の2023年の10月15日
- 旧暦の7月29日頃が新暦の2024年の9月1日
- 旧暦の9月1日が新暦の2024年の10月3日
書類、手紙、お礼状、メールで使う挨拶文の書き方、構成
学校関係で出す文書やビジネス文書、お礼状、個人的な手紙などを書くときは、基本的に前文、主文、末文、後付で構成します。
このような基本をベースにして、細かい要素を必要によって変えながら仕上げましょう。
前文は、頭語の「拝啓」など、時候の挨拶、相手の健康や安否を気遣う言葉、自分の近況やお礼などの順番に書きます。
主文は、本文になります。
末文は、結びの挨拶で、相手の繁栄や健康を祈る言葉、結語の「敬具」などの順番に書きます。
後付は、日付、署名、宛名の順番に書きます。
時候の挨拶の「漢語調」「口語調」は相手、シーンによって選ぶ
その時々の季節感を表した言葉が、時候の挨拶になります。
時候の挨拶としては、短く簡潔に表した「盛夏の候」のような「漢語調」と、話し言葉で柔らかな「夏の盛りになりました」のような表現の「口語調」があります。
相手やシーンによって、「漢語調」と「口語調」は使いわけます。
一般的に、学校関係の文書やビジネス文書などでは、「漢語調」のかしこまった表現が使われることが多く、文書の格がアップします。
一方、より身近な「口語調」を使う方が、個人的な文書では多くあります。
また、ビジネスシーンでも、「口語調」を使って柔らかくすることもあります。
いずれにしても、おすすめはポジティブなものです。
ビジネスシーンの「漢語調」の9月の時候の挨拶
一般的に、かしこまった「漢語調」の時候の挨拶をビジネスシーンでは使います。
ここでは、目上の方へのメールや手紙でも使えるビジネスシーンの「漢語調」の9月の時候の挨拶についてご紹介します。
季節感が時候の挨拶は大切であるため、目安の時期ごとにご紹介します。
しかし、少しその年によってずれるときがあるため、季節感を実際に優先しながら選びましょう。
また、「○○の候」は、使うときに「○○のみぎり」「○○の折」に置き換えることもできます。
「秋風(あきかぜ)の候」「秋涼(しゅうりょう)の候」「秋晴(あきばれ)の候」は9月全般に使える
- 「秋涼の候」の意味は、秋の訪れと同時に涼しくなってまいりましたがということです。
- 「秋風の候」の意味は、秋風が吹く頃になりましたがということです。
- 「秋晴の候」の意味は、気持ちのいい秋晴れの季節を迎えましたがということです。
- 「秋涼の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「秋涼の候、貴社におかれましてはますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。」
「重陽(ちょうよう)の候」「処暑(しょしょ)の候」「初秋(しょしゅう)の候」などは9月上旬に使える
- 「重陽の候」の意味は、重陽の節句の時期になりましたがということです。
- 「重陽の節句」は、菊を使って9月9日に長寿祈願をする行事で、五節句の一つです。
- 「処暑の候」の意味は、暑さがおさまる頃になりましたがということです。
- 「処暑」は、8月23日頃~9月6日頃で、二十四節気の一つです。
- 「初秋の候」の意味は、初秋の時季になりましたがということです。
初秋は、二十四節気の8月7日頃~22日頃の「立秋」と8月23日頃~9月6日頃の「処暑」の期間をいうため、使うのは9月6日頃までにしましょう。
「重陽の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「重陽の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」
「仲秋(ちゅうしゅう)の候」「白露(はくろ)の候」「名月(めいげつ)の候」は9月中旬~10月上旬に使える
「仲秋の候」の意味は、仲秋の時季になりましたがということです。
仲秋は、二十四節気の9月7日頃~9月22日頃の「白露」と9月23日頃~10月7日頃の「秋分」の期間をいいます。
「白露の候」の意味は、朝露がおりる頃になりましたがということです。
「白露」は、9月7日頃~9月23日頃で、二十四節気の一つです。
「名月の候」の意味は、中秋の名月の頃になりましたがということです。
「中秋の名月」は、旧暦の9月15日ですが、使うときはその年の日付を確認してください。
「仲秋の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「仲秋の候、○○様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
「秋雨(しゅうう)の候」「清秋(せいしゅう)の候」「秋冷(しゅうれい)の候」は9月下旬~10月中旬に使える
- 「秋雨の候」の意味は、秋の長雨が降る時季になりましたがということです。
- 「清秋の候」の意味は、秋の清々しい気配が感じられる季節になりましたがということです。
- 「秋冷の候」の意味は、秋も深まり肌寒くなってまいりましたがということです。
「秋雨の候」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「秋雨の候、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。」
ビジネスシーンの「口語調」の9月の結びの挨拶
趣旨や相手によって、結びの挨拶は変わります。
ここでは、ビジネスシーンの「口語調」の9月の結びの挨拶についてご紹介します。
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶
今後もよろしくお願いしますというときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「今後ともご指導のほどよろしくお願い申し上げます。」
- 「ご高配を引き続き賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
- 「今後についても相変わらずご厚誼(こうぎ)を賜りますようお願い申し上げます。」
- 「変わらぬご支援ご鞭撻をこれからも賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。」
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶
相手の健康や繁栄を祈るときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「ますますの貴社のご発展を心よりお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます。」
- 「末筆ながら、衷心より一層のご隆盛をお祈り申し上げます。」
- 「心より皆様のご多祥をお祈り申し上げます。」
9月特有の結びの挨拶
9月特有の結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「9月といっても厳しい残暑の折、十分にご自愛をお願い申し上げます。」
- 「風も心地いい季節、ますますご活躍ください。」
- 「実りの秋、ますますの貴社のご発展をお祈り申し上げます。」
- 「季節の変わり目ですので、体調を崩されませんようにご留意ください。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
- 「先が何かと見通しにくい状況が続いております。時節柄、十分にお身体にご留意なされ、さらにご活躍されますことをお祈り申し上げます。」
- 「コロナ禍中で落ち着かない毎日が続いております。十分にご自愛くださいますようお願い申し上げます。」
個人的な「口語調」の9月の時候の挨拶
個人的な時候の挨拶のときは、書き出しはカジュアルな「口語調」の表現が好まれます。
ここでは、個人的な「口語調」の9月の時候の挨拶についてご紹介します。
「漢語調」の「○○の候」の言葉
「漢語調」の「○○の候」の言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「秋風が吹く時期になりましたが」
- 「重陽の節句の時期になりましたが」
- 「秋になって涼しくなってまいりましたが」
- 「秋の清々しい気配が感じられる季節になりましたが」
- 「秋の長雨の時季になりましたが」
相手の健康や安否を気遣う言葉
相手の健康や安否を気遣う言葉としては、次のようなものなどがあります。
- 「心が秋の七草に和む季節になりました。ご機嫌いかがでしょうか。」
- 「秋の訪れが虫の音に感じられる季節になりました。その後お変わりございませんでしょうか。」
- 「穏やかに二百十日も過ぎて心地いい秋になりました。お元気でご活躍のことと存じます。」
- 「秋空もさわやかないい季節になりました。皆様お変わりなくお過ごしのことと存じます。」
- 「秋空にうろこ雲が映える頃になりました。皆様お変わりございませんでしょうか。」
- 「日毎に朝夕涼しくなってまいりました。お健やかに皆様お過ごしでしょうか。」
- 「暑さ寒さも彼岸までと申しますが、お健やかに皆様お過ごしでしょうか。」
- 「次第に秋色が濃くなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。」
- 「さわやかな秋晴れの季節を迎えましたが、お元気でお過ごしでしょうか。」
個人的な「口語調」の9月の結びの挨拶
カジュアルな表現が、個人的に使う結びの挨拶も好まれます。
挨拶の内容は相手によって考えてみましょう。
ここでは、個人的な「口語調」の9月の結びの挨拶についてご紹介します。
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶
相手の嗜好、趣味に合わせたときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「お得意のテニスの腕が鳴る季節になりましたね。」
- 「お庭も秋めいてくることと存じます。お健やかに、虫の音をききながらお過ごしください。」
- 「食欲の秋ですね。おすすめのレシピがあれば教えてください。」
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶
相手の体調を気遣うときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「朝夕はだんだんしぎやすくなってきましたが、お身体には十分ご留意ください。」
- 「秋の色が日ごとに深まってきました。夏の疲れがでませんように。」
- 「心より皆様の息災をお祈り申し上げます。」
- 「秋冷の候、お風邪などお召しになれらませんように。」
コロナ関係のときの結びの挨拶
コロナ関係のときの結びの挨拶としては、次のようなものなどがあります。
- 「コロナ禍中、夏の疲れが出る頃です。お体に十分に気をつけてご活躍ください。」
- 「時節柄、お目にかかることがなかなかできませんが、皆様のご多幸とご健勝を心よりお祈り申し上げます。」
- 「オンラインでのおしゃべりも、時節柄、大歓迎です。元気でお互いに頑張りましょう。」
- 「運動不足にテレワークでならないよう、お互いに注意しましょう。」
9月に使える季節の話題
ここでは、9月に使える季節の話題についてご紹介します。
季節の話題を使ってみると、季節感が出るでしょう。
9月の風物詩
9月の風物詩としては、新学期、台風、防災のチェック、お彼岸、夏用の家具などの片付け、おはぎ、敬老の日、虫の声、お墓参り、菊酒、台風対策、味覚狩り、お団子、秋の七草、フルーツ狩りなどがあります。
旬の野菜
旬の野菜としては、あおとうがらし、あしたば、いんげん、おくら、かぼちゃ、さつまいも、里芋、椎茸、しめじ、ズッキーニ、つるむらさき、なす、松茸、みょうがなどがあります。
旬の果物
旬の果物としては、いちじく、かぼす、くり、シークワーサー、すだち、梨、ぶどう・マスカットマンゴーなどがあります。
旬の海産物
旬の海産物としては、あわび、スルメイカ、いくら、くるまえび、毛蟹、昆布、いぼだい・えぼだい、かつお、かんぱち、さんま、しらす、太刀魚などがあります。