重々承知の意味とは?
重々承知は、「よくわかっています」「十分に把握しています」という意味です。
重々は、「十分に」「かさねがさね」という意味で、重ね重ねという言葉を簡略にしたものです。
承知は、「要求や依頼などを聞き入れること」「事情などがわかっていること」「相手のことなどがわかって許すこと」という意味です。
そのため、重々承知の意味は、「十分に相手のことなどがわかっている気持ち」を表現します。
承知のみでも意味は十分に通じますが、重々承知と表現することによって、承知していることをより強く伝えることができます。
重々承知の使い方とは?
ここでは、重々承知の使い方についてご紹介します。
重々承知は尊敬語、丁寧語、謙譲語ではない
重々承知という言葉そのものは、尊敬語、丁寧語、謙譲語のいずれにも該当しません。
そのため、重々承知という言葉は、目上や目下に関係なく使っても問題はないでしょう。
重々承知しているがを目下には使う
重々承知という言葉そのものは敬語と違うため、目下の部下などに対して使うこともできます。
目下に使う時は、重々承知しているがを使います。
例えば、使い方としては「有給休暇を君が取得したいことは重々承知しているが、現在有給休暇を取得されると会社としても困る」などがあります。
重々承知しておりますが、重々承知していますがを目上の方には使う
目上の上長や社外の人には、重々承知しておりますが、重々承知していますがを使いましょう。
例えば、使い方としては「厳しい経営状態であることは重々承知していますが、従業員の給与を下げるのは如何なものでしょうか」などがあります。
重々承知しておりますがと重々承知していますがでは、重々承知しておりますがの方が表現としては丁寧になるため、相手によって使い分けましょう。
目上や目下に対して関係なく使えるため、後に続く言葉は注意して選ぶ必要があります。
重々承知を使う時に注意すること
「重々承知していたのですが、~でした」という意味の使い方の「十分にわかっていたつもりですが、ミスをしてしまいました」は、間違いではありません。
しかし、「お客様がアレルギーのあることは重々承知していましたが、アレルギーがそれほど酷いとは考えてもいませんでした」というような使い方であれば、相手からすると「アレルギーのあることは重々承知していた」のに「それほど酷いと考えていなかった」というのは矛盾していると見られます。
「重々承知していたのですが、~でした」を使う時は、「お客様がアレルギーのあることは重々承知していましたが、自分のチェック不足でした」と、素直に自分の理解が不足していたことを謝りましょう。
十分に理解した上の時は重々承知の上という言葉を使う
十分に理解した上で何かを頼んだり、提案したりする時は、重々承知の上という言葉を使いましょう。
例えば、ミスする可能性があることを理解した上で、何かを依頼する時は「ミスする可能性があることを重々承知の上で、依頼させていただきます」という表現になります。
重々承知の類義語とは?
ここでは、重々承知の類義語についてご紹介します。
十分知っている
十分は、重々の類義語で、「条件や容量などを不足なく満たしている様子」です。
また、承知の類義語に知っているはなるため、十分知っているの意味はほとんど重々承知と意味が同じになります。
しかし、目上の相手やビジネスシーンの時に使うのは それほど適していません。
そのため、日常生活において使うようにしましょう。
十分知っているを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「そのことについては、彼の方が十分知っているはずです。」
- 「同じことを彼は体験しているため、十分知っているでしょう。」
重々自覚している
自分の状況や立場を理解している時に、重々自覚しているは使います。
また、使うのは相手が自覚している時でも可能です。
「自分の能力や状態などをはっきりわきまえること、知ること」が、自覚の意味です。
承知を使うのは相手のことを知った時ですが、自覚を使うのは自分のことを知った時であるため、使い分けるようにしましょう。
重々自覚しているを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「私のチェックが足りないことは重々自覚しています。」
- 「彼も今回のことは重々自覚しているでしょうから、これ以上は一切いわないようにしよう。」
十分理解している、よく理解している
重々承知をビジネスシーンで使う時は、理解しているというような意味合いが知っているよりも強くなります。
ビジネスシーンでも、十分理解しているは使うことができます。
十分理解している、よく理解しているを使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「弊社も、今回のことについては十分理解しています。」
- 「彼はまだ1年目であるにも関わらず、会社のことをよく理解している。」
間違った重々承知の使い方とは?
ここでは、間違った重々承知の使い方の具体的な例文についてご紹介します。
「課長のアドバイスは重々承知していましたが、また間違いをしてしまいました。」
この例文の意味は、「前もってもらった課長のアドバイスは十分理解していたのに間違いをした」ということになり、 「わかっていたが間違った」と言い訳になってしまいます。
また、「あなたがいうことはすでにわかっている」と失礼な表現になるため注意しましょう。
重々承知の英語表現とは?
ここでは、重々承知の英語表現についてご紹介します。
「fully understand」
「fully understand」は、「完全に理解している」という意味になります。
深い理解を相手に対して示したい時に、使うのが相応しい表現です。
「fully understand」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「I fully understand that you are hurry,but could you please wait until tomorrow?」
(急いでいることは重々承知していますが、明日まで待っていただけないでしょうか?)
「be very aware of」
「be very aware of」は、「十分認識している」という意味になります。
「be aware of~」を訳すと、「知っている」「~に気が付いている」になります。
「very」を「be aware of~」の前に付けることによって、重々の意味合いをプラスすることができるでしょう。
「be very aware of」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「I am very aware of the her situation.」(彼女の状態は重々承知しています。)