「片腹痛い(かたはらいたい)」の意味とは? 使い方や類義語などを解説




片腹痛い(かたはらいたい)の意味とは?

片腹痛い(かたはらいたい)というのは、笑止千万、ちゃんちゃらおかしい、相手の身のほどを知らない態度がおかしくてたまらない、という意味です。

片腹痛いという言葉は、実際には誤った使い方が定着したものです。

もともとの片腹痛いは傍ら痛しということで、傍らで見ているのは恥ずかしいくらい、傍らみていて気の毒なくらい、という意味になります。

語源は傍らという字を片腹と間違ったことで、もともとお腹という意味はありません。

この語源を把握しておけば、意味としてお腹が痛いくらい笑うということで間違って使うのは避けられるでしょう。

片腹痛いの使い方とは?

ここでは、片腹痛いの使い方についてご紹介します。

滑稽で苦々しい時に片腹痛いは使う

片腹痛いは、相手の行動が滑稽で苦々しく思う時に使います。

例えば、科学に長けた学者と、全く科学の心得がない人がいたとしましょう。

学者からすると、科学について全く心得がない人の行いは、非常に身の程知らずで不愉快に見えるでしょう。

片腹痛いは、このような行いを表現します。

片腹痛いを使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「医学を医者のわたしに対して説こうなど、片腹痛いわ。」

この例文の意味は、医学を医者のわたしに対して説こうなど、身のほど知らずでおかしい、ということになります。

お腹を痛めるくらい笑うの意味の使い方は間違っている

片側のお腹が痛くなるくらい笑うという意味で使われることが、よくある片腹痛いの間違いとして挙げられます。

片腹痛いの片腹は、もともとは傍らという表現であるため、片側のお腹が痛いという意味で使うのは間違っています。

面白い相手の話を聞いて、その話は片腹痛いよというと、相手が誤解するため注意しましょう。

片腹痛いですわ、片腹痛いわ

片腹痛いの使い方としては、片腹痛いですわ、片腹痛いわ、があります。

いずれも、身のほど知らずな相手の行いが、おかしくてたまらないことを意味する言葉です。

片腹痛いですわ、片腹痛いわ、を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「わずか1ヶ月間勉強した程度でわかったと思うなんて、片腹痛いですわ。」
  • 「そのくらいの実力で偉そうにするなんて、片腹痛いわ。」

片腹痛いを使った例文

片腹痛いを使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「心底この町を嫌がっている彼が町長に立候補するなど、片腹痛い。」
  • 「上手くやっているつもりだろうが、わたしからすると本当に片腹痛い。」
  • 「わたしをそのような小さな武器で倒そうというのは、片腹痛い。」
  • 「天下をとろうとたくらむわたしを、彼は片腹痛いの一言で一蹴した。」

片腹痛いは与謝野晶子も使った

片腹痛いは、傍らいたしの誤った使い方が日本の中世以降に定着したものです。

一般的に、日本の中世というのは、平安時代末期の1160年代の平氏政権の成立から、戦国時代末期の安土桃山時代までになります。

そのため、傍らいたしの誤った使い方はここ最近のものではなく、何百年という歴史があるものになります。

例えば、与謝野晶子(1878年~1942年)も、次のように片腹痛いという言葉をその訳書の中で使っています。

紫式部の「源氏物語 若菜(上)」(与謝野晶子訳)

「体裁が悪うございますよ。短い几帳で身体をお隠しになってお付きしていらっしゃればいいのに、風が吹いていますからお座敷の外から人がのぞけば、あなたはお医者のような恰好でおそばに出ているのですから恥ずかしい。こんなふうにしておいでになってはね、などと明石は片腹痛がっていた。」

この源氏物語の現代語訳の元になっているのは、次のような紫式部の「源氏物語 若菜 上」の文章です。

「あな、見苦しや。短き御几帳引き寄せてこそ、さぶらひたまはめ。風など騒がしくて、おのづからほころびの隙もあらむに。医師などやうのさまして。いと盛り過ぎたまへ」など、なまかたはらいたく思ひたまへり。

紫式部の「源氏物語 若菜(上)」(与謝野晶子訳)

「大将は簾が上がって中の見えるのを片腹痛く思ったが、自身が直しに寄って行くのも軽率らしく思われることであったから、注意を与えるために咳払いをすると、立っていた人は静かに奥へはいった。」

この源氏物語の現代語訳の元になっているのは、次のような紫式部の「源氏物語 若菜 上」の文章です。

「大将、いとかたはらいたけれど、はひ寄らむもなかなかいと軽々しければ、ただ心を得させて、うちしはぶきたまへるにぞ、やをらひき入りたまふ。」

与謝野晶子が、傍らいたしを片腹痛いと訳した意図ははっきりしません。

現在の片腹痛いの意味の笑止千万、ちゃんちゃらおかしいという使い方ではないため、時代によってこのあたりの使い分けも違っているのでしょう。

片腹痛いの類義語とは?

ここでは、片腹痛いの類義語についてご紹介します。

笑止千万

片腹痛いの類義語としては、笑止千万があります。

笑止千万の意味は、とてもおかしくて、ばかばかしいことです。

おかしいということで、片腹痛いとは似ているため、類義語になるでしょう。

笑止千万を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「笑止千万。そのようなばかばかしい言い合いは止めなさい。」
  • 「自分の方が本気で上であると考えているなんて、笑止千万だ。」

ちゃんちゃらおかしい

片腹痛いの類義語としては、ちゃんちゃらおかしい、もあります。

ちゃんちゃらおかしいの意味は滑稽で身のほど知らずな様で、思わずばかげた相手の言動に笑ってしまう時に使われます。

ちゃんちゃらおかしいを使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「わずか数日間でわかった気になるなんて、ちゃんちゃらおかしいよ。」
  • 「裏切っておきながらフレンドシップを語るなんて、ちゃんちゃらおかしい。」

片腹痛いの英語表現とは?  

「ridiculous」が、片腹痛いの英語表現になります。

「ridiculous」の意味は、滑稽な、おかしい、ばかげた、ということで、相手の行いや物を批判して見下す時に使います。

見下す意味が、愚かという意味の「foolish」や「stupid」よりも強くなるため、使う時は注意しましょう。

「ridiculous」を使った例文としては、次のようなものがあります。

  • 「What a ridiculous story.」(なんて滑稽な話だ。)
  • 「It is ridiculous to imagine you teaching me anything.」(あなたが私に教えるなんて片腹痛い。)
  • 「The idea that he is going to make a speech is laughable.」(彼が演説をするなんて片腹痛い。)




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RUN-WAY編集部

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