あなたは「カタルシス」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。なんとなく耳に覚えがあっても、いざ意味と言われると答えられない人も多いようです。今回は「カタルシス」の意味に加えて、カタルシスをビジネスシーンで使う際の用法を解説していきます。
「カタルシス」の本来の意味とは?
まずは、カタルシスの本来の意味について見ていきましょう。語源を理解しつつ、英語表記と日本での使われ方を確認していきます。現在の使い方と共通するところも多いですので、合わせてチェックしていくと覚えやすくなりますよ。
「カタルシス」は英語で「catharsis」
「カタルシス」の語源はギリシャ語です。ギリシャの古代医学で血液などを体外へ排出するのをカタルシスと呼んだことが始まりと言われており、医療関係者のみの使う言葉でした。
その後、医学用語として「精神の浄化」を意味する言葉となっていき、不安や怒りなどの心の汚れや罪の意識などを取り除いて、精神を正しい状態に戻すことをカタルシスと呼んでいました。
さらにその後、ギリシャの哲学者であるアリストテレスが、「悲劇によって観客が恐れや憐れみといった感情を持つことで、精神が浄化されること」という演劇用語として使ったのが、民衆に伝わった始まりとされています。
現代における「カタルシス」の正しい使い方とは?
カタルシスの本来の使われ方や意味がわかったところで、現在の日本でのカタルシスの正しい使い方を確認していきましょう。
カタルシスの使い方その1 「カタルシス効果」
「カタルシス効果」(cathartic effect)とは、現代医学における精神分析の用語です。不安なことや苦悩、イライラなどを内に溜め込まず、外へ放出することにより心が平穏になることを言います。
外へ放出する際は、言葉にして話を聞いてもらったり、文章にして紙に書いたりします。胸のつかえとなっていたことを話すと、気持ちが楽になります。カウンセリングでよく使われる手法で、「カタルシス効果」と呼びます。
カウンセリング以外にもマーケティングで使われることもある
カタルシス効果は、マーケティング業界で使われることもあります。
顧客の抑圧されている感情に働きかけ、売りたい商品がその抑圧されている感情を解放してくれると働きかけるのです。
ネガティヴマーケティングと言われる炎上商法もこのカタルシス効果にあたりますが、あまり好まれません。どちらかといえば、ネガティヴな感情をポジティブに変える商品を提供することにより、人の購買意欲を煽るのです。
カタルシスの使い方その2 「カタルシスがない」
カタルシスのなかに「満足感」という意味合いがありますので、「カタルシスがない」という言葉には「不完全燃焼」「物足りない」という意味が付与されます。加えて、「やりきれない」状態の時も同じようにカタルシスがないと表現します。
例えば、「カタルシスがない小説」といえば、「満足感のたりない小説」か、「やりきれない小説」という意味になります。どちらの意味なのかは、その時の文脈によって変わります。誤読しないよう、意味をしっかり確かめるようにしましょう。
カタルシスの使い方その3 「カタルシスを感じる」「カタルシスを得る」
使い方その2と逆の状態として、カタルシスを得る、カタルシスを感じる場合は、モヤが晴れてスッキリした状態になったり、リフレッシュできたりしたときに使います。
あまり一般的に多用する言葉ではありませんが、このように使用することで正しい意味を表すことができます。
まとめ
あまり普段の生活で使うことが少ないカタルシスですが、由来や意味を知ることによって、いざ使われた時や、自分が使う際に誤用しないで済みます。
多少文学的表現ではありますが、ビジネスシーンでは使われることも多いので、一般常識としてぜひ覚えておくようにしましょう。