「煮詰まる」の意味とは? 類義語や「行き詰まる」との違いなどを解説




「煮詰まる」の意味とは?

「煮詰まる」は、「結論が出るような状態になったこと」という意味です。

例えば、「議論が煮詰まる」は、議論が会議などで佳境に入って、もうすぐ結論が出るようなときに表現します。

議論が壁にぶつかったときや先へ進まなくなったときなどは、「アイデアが煮詰まる」などと前に進まないという意味で使うのは、実際には間違いであるため注意しましょう。

料理で使う「煮詰める」が、「煮詰まる」の由来です。

「煮詰める」は、煮物料理を作るときに、煮汁が少なくなってしっかり食材が吸い込んだ状態をいいます。

ここから派生して、「煮詰まる」はしっかりと検討や議論などが行われて結論が出る一歩手前になった状態のことを表現するようになりました。

「煮詰まる」を使った例文

ここでは、「煮詰まる」を使った例文についてご紹介します。

  • 「会議を始めてから2時間近く経って、やっと煮詰まってきた感じである。」
  • 「せっかく案件が煮詰まったため、話を蒸し返さないで欲しい。」
  • 「話が煮詰まったため、結論をそろそろ出そうと思います。」

「煮詰まる」と「行き詰まる」の違いとは?

ここでは、「煮詰まる」と「行き詰まる」の違いについてご紹介します。

「煮詰まる」

「煮詰まる」の意味としては、次のようなものがあります。

  • 煮て水分が無くなる
  • 考えや議論などが出つくして結論を出す状態になる

「行き詰まる」は、「詰まる」という語尾になっているため、「行き詰まり」の類義語と考えている人がいるかもしれませんが、類義語ではないため注意しましょう。

「行き詰まる」は議論が会議などで出つくして全く結論が見出せない状態をいいますが、この逆に「煮詰まる」は結論がようやく見えてきた状態、つまり「行き詰まる」とは逆の状態を表現する言葉です。

「行き詰まる」

「行き詰まる」の意味としては、次のようなものがあります。

  • 行き止まりになる、行ってその先が詰まる
  • 物事が難しくなってその先に進めなくなる

「行き詰まる」は、それほど間違った使い方をされることは多くありません。

「行き詰まる」という言葉は、物理的な障害による行き詰まり、行き止まりから転じたもので、何らかの障壁や障害のために先に進めない状態です。

いずれも終わりが「詰まる」で語感が同じような言葉ですが、その意味は全く違っています。

「煮詰まる」の間違った使い方が多い理由

「おでん(関東煮)」は、鍋料理の一つですが、味が染み込み過ぎたり、汁が煮過ぎて蒸発したりすれば、美味しいとは決していえなくなります。

「煮詰まる」はこのようなネガティブな状態をイメージするため、「行き詰まる」と「煮詰まる」を間違った使い方をする人が多くいるようです。

しかし、「煮詰める」が「煮詰まる」のもとの言葉です。

この「煮詰める」の意味は、水分がなくなるまで意図して煮ることです。

不味くなった「おでん(関東煮)」のように、汁をうっかり間違って蒸発させた状態とは全く違っています。

「煮詰まる」は、水分が無くなるまで煮た料理が出来上がった状態、つまり目標に達成した状態であり、料理上の汁が蒸発した状態ではありません。

「煮詰まる」は目標に達成した状態であるため、「煮詰まる」の意味は結論が出るという目標への到達になります。

「煮詰まる」の誤った使い方

ビジネスシーンでは「煮詰まる」という言葉をよく耳にします。

ここでは、「煮詰まる」の誤った使い方についてご紹介します。

  • 「この議論は煮詰まったため後日結論は出しましょう。」
  • 「今回の打ち合わせは十分に煮詰まって、全員が黙り込んでいたようだ。」
  • 「この計画は厳しい予算であるし煮詰まったな。」

「煮詰まる」は、このようにネガティブな意味で使われています。

例えば、「意見も出尽くして煮詰まった」の状態を詳しく考えれば、意見を全員が出したことはいいが、しっくりくるものはなく、いい意見が他にないかと要求されている状態です。

いい意見がなかなか出なく、全員が最終的に黙り込んでしまうときもあります。

このときの正解は、「意見が出尽くして行き詰まった」ということです。

もし、状態がネガティブな感じでなく、全員が有意義な意見が出て固まっていれば「意見も出尽くして煮詰まったため結論を出そう」というのが正しい表現になります。

このように、ビジネスシーンでは「煮詰まる」の誤った使い方が多くあります。

「煮詰まる」の類義語とは?

ここでは、「煮詰まる」の類義語についてご紹介します。

「終局に向かう」

「終局に向かう」の意味は、最終的な段階に話し合いや議論がなってきているということです。

「終局」というのは、将棋や囲碁で打ち終わることをいう言葉です。

ここから転じて、最終段階に物事がさしかかることを「終局に向かう」といいます。

会議では、しっかりと議論を行って最終的な結論になる状態です。

「煮詰まる」のニュアンスは結論が出る前ということですが、「終局に向かう」のニュアンスは終わりに近くなっているということがあります。

「終局に向かう」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「世の中は大変であるが、だんだん終局に向かうと期待している。」
  • 「去年から継続していた水害対策がやっと終局に向かうようである。」

「まとまる」

「まとまる」の意味は、バラバラになっていたものが一つの揃ったものになることです。

例えば、会議の初めには意見がそれぞれバラバラであったが、話し合いを行なって方向性が合って意見が一つに落ち着くことを「議論がまとまる」「意見がまとまる」などと表現します。

結論が出るすぐ前を意味する「煮詰まる」と同じようなものですが、「まとまる」のニュアンスとしては、初めはバラバラであったということが含まれています。

「まとまる」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「意見がまとまるまでに今回は時間がかかりそうだ。」
  • 「何回も話し合って話がやっとまとまった。」

「煮詰まる」の対義語とは?

「煮詰まる」の対義語としては、「行き詰まる」があります。

「行き詰まる」の意味は、行く先の道が無いため前進できないことです。

例えば、「会議が行き詰まる」は、意見が会議で出尽くして先に進めなくなった状態を表現します。

「煮詰まる」の本来の意味は結論が出るすぐ前の状態ですが、「行き詰まる」と意味が同じとして、「煮詰まる」を議論が進まない状態で使う人が多くなっています。

そのため、「行き詰まる」と「煮詰まる」は意味が同じであるとして浸透していますが、もともとは意味が反対の言葉です。

「行き詰まる」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「今回の会議は意見も出尽くして、完全に行き詰まった。」
  • 「どう頑張っても疲れて行き詰まるため、今日は残業しないで帰宅します。」




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RUN-WAY編集部

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