「心象(しんしょう)」とは?
「心象(しんしょう)」は、心に浮かぶ形、姿です。
自分が見たり聞いたりしたというような体験がベースになって、心の中に現れる形や姿などを表現します。
心に浮かぶものは考えや言葉というようなものではなく、感覚的なものや映像をいいます。
「心象」の意味は、「心象」を構成している「心」と「象」の意味を把握することによってより理解することができます。
「心」の意味は精神、内心、記憶で、「象」の意味は形、姿です。
なお、心理学では「心象」ではなく「心像」を使います。
「心象」と「心像」の違いとは?
「心象」は、「心像」と漢字が似ているためによく間違われます。
しかし、「心象」と「心像」は少し意味が違っています。
「心像」は読み方が「しんぞう」で、意味は過去の体験や記憶から心の中に具体的に思い浮かぶイメージで、具体性が「心象」よりも強い意味合いがあります。
「心像」は心理学で使われることが多くあり、「聴覚心像」や「視覚心像」などというように使われます。
なお、辞書には「聴覚心象」や「視覚心象」の表現がないため、間違えないように注意しましょう。
「心象が悪い」とは?
「心象が悪い」というのは、感じが非常に悪くて、感情を害することです。
このような出来事や感じの良くない人に使う言葉です。
「悪い」とあるように、ほとんどいいシーンで使われることはありません。
人は無意識のうちに、身の回りの状況を「不愉快」か「心地いい」かにわけています。
「不愉快」なのは、横柄な態度であったり、ぶっきらぼうであったりする人です。
一方、「心地いい」のは、挨拶が明るくできたり、笑顔が多かったりする人です。
「心象が悪い」というのは、「不愉快」なイメージを与える物や人をいいます。
「心象が悪い」の使い方とは?
「心象が悪い」は間違った表現で、「心証が悪い」が正しい表現です。
「心証が悪い」を使った例文としては、次のようなものなどがあります。
- 「面接のときの心証が悪かったため、不採用になった。」
- 「あまりにも彼の言動が乱暴であったため、心証が悪いものになった。」
- 「これ以上クライアントの心証が悪くならないように、謝罪を丁寧にお願いします。」
「心証が悪い」は、ネガティブなイメージを持つ言葉です。
頻繫にビジネスシーンでも使われます。
「心証が悪い」と「心象が悪い」の違いとは?
ここでは、「心証が悪い」と「心象が悪い」の違いについてご紹介します。
「心証が悪い」
「心証が悪い」の意味としては、次のようなものがあります。
1つ目の意味は、他の人がある人の言動によって不快に感じることで、他の人がある人のふるまいによって受ける良くない感情です。
2つ目の意味は、理由なくその人の人となりが気に入らないことで、特に理由がなくても性格的に合わないなどでその人の存在そのものが好ましくないと考えることです。
3つ目の意味は、訴訟の審議中に裁判官が状況証拠から好ましい確信が得られないことという法律用語で、審議を慎重に進める中で被告に対して裁判官が不利に考えることです。
いずれの意味にも共通しているものは、言動から良くない感じを受けることです。
「心証が悪い」は、「心証を害する」とも言い替えられます。
基本的に、「心証が悪い」は他の人にある人の言動が与える感じが良くない様に使われます。
「心象が悪い」
「心象が悪い」の意味としては、次のようなものがあります。
1つ目の意味は、心の中にある物について思い浮かべる形や姿が良くない様子ということで、心でのある物事や物についての感じ方が好ましくないことです。
2つ目の意味は、他の人に対してイメージが良くない様子ということで、ある人から直接受ける感じが良くないことです。
3つ目の意味は、起こりそうもないことを偏見などによって悪く考えることで、本当は見えないことを悪く想像する様子です。
いずれの意味にも共通しているものは、感覚・記憶によって想像するものが良くないということです。
「心象が悪い」は、「イメージが悪い」とも言い替えられます。
基本的に、心の中に人の感覚や記憶などに基づいて描き出される形や姿が良くない様子に使われます。
「心証が悪い」と「心象が悪い」の違い
「心証が悪い」の意味は、他の人にある人の言動が与える感じが良くない様子ということです。
一方、「心象が悪い」の意味は、心の中に人の感覚や記憶などに基づいて描き出される形や姿が良くない様子ということです。
「心象が悪い」の類義語とは?
ここでは、「心象が悪い」の類義語についてご紹介します。
「心証を害する」
「心証を害する」の意味は、他の人のあるものに対する印象を悪くすることです。
「心証を損ねる」
「心証を損ねる」の意味は、他の人のあるものに対する印象を悪くすることです。
「不興を買う」
「不興を買う」の意味は、相手が自分のせいで機嫌を損ねる、相手を不機嫌にさせるということです。
目上の方に対して使うことが多くあります。
「心証」は、否定的な言葉の「悪い」「害する」や「損ねる」などとセットで使います。
なお、「不興を買う」は、目上の方の機嫌を損ねることをいいます。
ご機嫌をむやみにとる必要はありませんが、最低限の目上の方に対するマナーは心得ておきましょう。
「心象」の英語表現とは?
ここでは、「心象」の英語表現についてご紹介します。
「image」
「image」が「心象」の英語表現になります。
「image」の意味は、心に浮かんだ映像です。
「image」は、「an」などの冠詞を付けて使いましょう。
「image」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「My image of Hokkaido is that it has a lot of snow.」(私の北海道のイメージは、雪が多く積もっていることです。)
「a mental picture」
「a mental picture」も、「心象」の英語表現になります。
「mental」の意味は精神的なや心ので、「picture」の意味は映像や絵です。
「picture」そのものに「心象」という意味がありますが、「mental」をプラスする方が日本語の「心象」により近い意味合いになります。
「a mental picture」を使った例文としては、次のようなものがあります。
- 「He described his mental picture of his assailant.」(彼は、敵対者の心象について説明した。)