「社会主義」と「共産主義」の違いとは? それぞれの意味を解説




「社会主義」とは?

「社会主義」というのは、経済活動を国が管理して、社会が平等になるようにしようとする思想です。

「社会主義」のときは、個人で生産手段を所有しなく、社会に全て共有されます。

その上で、生産活動が国のリーダーによって計画的に行われます。

「社会主義」では、個人に対して仕事が国の計画によって割り当てられます。

そのため、教師に本当はなりたいときでも、企業で働けと国からいわれると企業で働くようになります。

東西冷戦のときは、「社会主義」の国が大きな「資本主義」と対立する勢力でした。

しかし、現在は「社会主義」の国が中華人民共和国、ラオス人民民主共和国、ベトナム社会主義共和国、キューバ共和国、朝鮮民主主義人民共和国だけになりました。

このような国も市場経済を多く導入しているため、体裁としては「資本主義」に近いものになっています。

マルクスは、「社会主義」を能力に応じて各人は働き、労働に応じて受け取る状態と表現し、「共産主義」の前段階と位置づけました。

「共産主義」とは?

「共産主義」というのは、より「社会主義」が発展し、全ての面で平等な理想の共同社会を目指す思想です。

理想の共同社会というのは、より「社会主義」の国が豊かになったことで、完全に階級が無くなって、人々が共同で財産を所有する状態です。

そのため、争いは最終的に全て無くなり、政府さえも必要ないとされてきました。

しかし、「共産主義」の国がこれまでの人類史において存在したことはありません。

「社会主義」と「共産主義」の違いとは?

「社会主義」と「共産主義」は、いずれも生産物や生産資本を共有することで社会が平等になることを実現するものです。

「社会主義」は「資本主義」の貧富の違いを無くすために生まれたもので、「共産主義」は「社会主義」の理想形として体系化したものです。

「社会主義」の体制で獲得した利益や生産物の管理は国が行って、各人の働きによって国が分配します。

しかし、「共産主義」のときは利益を全員で共有して分配しないとしており、受け取ることが必要によってできます。

「共産主義」は、「社会主義」を実現する方法として体系化されたものです。

しかし、旧ソビエト連邦が1991年12月に崩壊して「共産主義」の最大の国が無くなったことによって、はっきりと「社会主義」との違いが無くなりました。

そのため、現在は「社会主義」と「共産主義」はほとんど同じものとして扱われています。

「社会主義」の国とは?

「社会主義」の国というのは、国家理念として「社会主義」を標榜する国です。

以前最大の規模であったソビエト連邦が無くなりましたが、「社会主義」の国は現在でもいくつかあります。

ここでは、「社会主義」の国についてご紹介します。

中華人民共和国

中華人民共和国は、中国の正式な国名です。

国家として1949年10月1日に成立してから、事実上中国共産党の一党支配が継続しています。

中華人民共和国は、1970年代半ばまで農業がメインの「社会主義」の経済体制でした。

しかし、改革開放政策によって1978年から市場原理が取り入れられたことによって、「社会主義」の市場経済になりました。

そのため、大幅に経済は成長し、世界第2位の経済大国にまで2010年からはなっています。

しかし、国内の貧富の差は国力の増大とともに拡大しており、軋轢が諸外国とも生じるなど、国内外でいろいろな問題を現在は抱えています。

キューバ共和国

キューバ共和国が、キューバの正式な国名です。

カリブ海の大アンティル諸島に、キューバ共和国はあります。

キューバ革命が1959年に起きたことによって、「社会主義」のソビエト連邦の影響下にある共和制国家として生まれました。

キューバ共産党による一党独裁体制が、1961年から継続しています。

キューバ共和国は、サトウキビ栽培がメインの農業国ですが、ソビエト連邦が無くなってからは、主な経済が中国・ロシアなどからの支援や在外キューバ人の送金でサポートされています。

以前は貧富の差が少なく、治安も問題ありませんでしたが、犯罪が経済的な苦境から近年は多くなる傾向にあります。

ラオス人民民主共和国

ラオス人民民主共和国が、ラオスの正式な国名です。

東南アジアのインドネシア半島に、ラオス人民民主共和国はあります。

それまでの王政が1975年に廃止され、「社会主義」の国として成立しました。

ラオス人民革命党による一党独裁体制が、政治では敷かれています。

経済面については、「社会主義」による計画経済が1975年から実施されていましたが、市場経済化が1986年からは推し進められました。

しかし、あまり成果は良くなく、世界で最も貧しい国の一つに国連から指定されるなどの苦境が継続しています。

ベトナム社会主義共和国

ベトナム社会主義共和国が、ベトナムの正式な国名です。

東南アジアのインドネシア半島の東部に、ベトナム社会主義共和国はあります。

南の「資本主義」の陣営と北の「共産主義」の陣営に国土をわけたベトナム戦争が終わって、統一国家として1976年に成立しました。

ベトナム共産党による一党支配が、政治体制としては継続しています。

経済面においては、「ドイモイ」といわれる開放路線で1986年に自由化が推し進められた結果、順調な成長が現在に至るまで継続しています。

しかし、「社会主義」の体制であるにも関わらず、貧富の違いが拡大するようになっています。

朝鮮民主主義人民共和国

朝鮮民主主義人民共和国が、北朝鮮の正式な国名です。

国家として日本は認めていないため、北朝鮮と一般的に表記されます。

ソビエト連邦の占領を第二次大戦の末期に受けたため、北朝鮮労働党が朝鮮半島の北東部の「共産主義」の勢力を糾合して結成され、「社会主義」の国として1948年9月に成立されました。

北朝鮮労働党による一党支配が政治体制は継続しており、金日成、金正日、金正恩の3世代が国家の最高指導者の地位に世襲することで就いています。

経済については詳細な実態がわかりませんが、コロナ禍での中国貿易の一時停止や国連などによる経済制裁なども近年はあり、苦境になっているとの考え方が有力です。




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RUN-WAY編集部

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