「シナジー」の意味とは?
「シナジー」の意味は、「相乗効果」です。
「相乗」というのは、複数の要因が同時または累積して作用し、大きな力が総和以上に生じることです。
ビジネス用語としての「シナジー」の言葉は、主として相互にそれぞれの部門が連携して利益をプラスアルファで生み出すことや、複数の企業が協力して生じる相乗効果の意味で使われます。
もともと「シナジー」というのは、全体の効果に貢献するために実施される共同作用という生物学の言葉でしたが、20世紀後半からプラスアルファを総和にもたらす、例えば、「1+1」が「3」になるような作用の意味の経営学の言葉として使われるようになりました。
現在は、一般的な言葉として、「共同効果」や「相乗効果」という意味でも使われています。
ポジティブな「シナジーを期待する」「シナジーを生み出す」「シナジーが得られる」などの意味合いで使われます。
ビジネスにおいては、「シナジー」は特にM&A(企業合併・買収)のときの目的として使われます。
企業は相乗効果や補完的な関係が相互に得られることを考えて、M&A(企業合併・買収)を行います。
M&Aは、意味が「合併」と「買収」ということで、企業の「合併」や「買収」として使われます。
また、企業の中でも、最大限に技術や販売チャネル、人材などの「シナジー」が獲得できるように経営を管理します。
「シナジー」の語源は、「相乗作用」という意味の英語の「synergy」です。
「synergy effect」が、「相乗効果」という意味で使われます。
なお、「effect」の意味は「効果」ということです。
カタカナ語の「シナジー」と英語の「synergy」は、いずれも同じ意味になります。
ビジネスでは、いくつかの要素が組み合わさることによって、効果をそれぞれの総和以上に獲得できることをいうときは「synergy effect」を使います。
ビジネスでの「シナジー効果」とは?
ここでは、ビジネスでの「シナジー効果」についてご紹介します。
費用低減
事業を提携したり、M&A(企業の買収と合併)をしたりすることによって、仕入れを共通にして仕入れの量が多くなると費用低減ができます。
これ以外に、重複した店舗を統合することによって販売費用を低減する、管理部門を一緒にすることによって部門の運営費を低減するというようなことも、シナジー効果の一種でしょう。
ビジネスでの「シナジー効果」による費用低減の具体例としては、次のようなものがあります。
2016年に始まった電力の自由化に続いて、ガスの自由化が2017年に始まったことによって、いろいろな企業が参入して、お得な電気とガスをセットで販売するところも多くなってきました。
この中でも、有名な事例としては、関東圏で営業している東京電力、日本瓦斯、静岡県で営業しているTOKAIホールディングスの提携が挙げられます。
電気とガスで扱う商品が違いますが、使用している人は同じであるため、セットで販売すると販売費用を低減することができます。
これ以外にも、従来のエリア以外にも新しいエリアを拡大することによって、新しいサービスも行えるようになります。
販売チャネルの共通化
販売チャネルというのは、商品がメーカーからユーザーに渡るルートです。
いくつかの企業の経営が統合されると、販売チャネルは単純に計算しても拡大されるようになります。
しかも、販売チャネルが多くなるのみでなく、サービスが相互に利用できるため、ユーザーが獲得できる数も多くなるという「シナジー効果」が期待できます。
ビジネスでの「シナジー効果」による販売チャネルの共通化の具体例としては、次のようなものがあります。
ソフトバンクは、日本テレコムを2004年に買収して、販売チャネルを法人顧客に拡大することができ、「シナジー効果」を獲得することができました。
そして、ボーダフォンの日本法人を、この約2年後の2006年に買収しました。
ネット回線・固定電話の販売チャネルを共有したことによって、「シナジー効果」を大きく発揮することができました。
そのため、業績がアップし、規模の大きな通信会社になりました。
「シナジー」の種類とは?
ここでは、代表的な「シナジー」の種類についてご紹介します。
操業シナジー
操業シナジーというのは、共同で生産設備を利用したり、共同で原料を仕入れたりするなどによって、従来は1社では困難であった費用低減を行って業績をアップさせることで、「生産シナジー」ともいわれています。
マネジメント・シナジー(経営管理シナジー)
マネジメント・シナジーというのは、新しいビジネスにおける管理や業務などの部門を統合することによって、既存のビジネスのノウハウを活用して効率をアップすることです。
別の企業であれば企業同士のノウハウの共有、あるいは同じ企業の中であれば他のジャンルでも管理・経営部門の共有による経済的相乗効果ということになります。
投資シナジー
投資シナジーは、企業間で、共同開発したり、分業で製品を生産したり、部品を共通にしたりするなどによって、相互補完的にカバーすることで業績のアップを目指すことです。
マーケティング・シナジー(販売シナジー)
マーケティング・シナジーというのは、販売チャンネルをより多く持つために、企業同士を統合したり、既存のビジネスと関係がある新しいビジネスに進出したりして、同じ販売チャネルでいくつかの商品を販売することです。
また、マーケティング・シナジー効果というのは、同じ業種間や異なった業種間のコラボ商品などのように、売上をネームバリューでアップしたり、新しいユーザーを意外性で獲得したりできるなどの販売促進効果のことです。
一般的に、「シナジー効果」は一つのみを期待するよりも、複数のものを期待する企業戦略が多くあります。
業績をアップするためには、多面的な企業戦略によってそれぞれのジャンルで「シナジー効果」を期待する方が効果的であるためです。
「シナジー」の類義語とは?
「シナジー」の類義語としては、「共同作用」や「相乗効果」以外にも「協力作用」「相乗作用」などがあります。
ビジネスシーンにおいては、「シナジー」が普及しているので、「シナジー」が日本語よりも優先して使われます。
しかし、普通の話題においては、広く「シナジー」の意味が普及していないため、日本語の「相乗作用」などの言葉が使われるといえます。
「シナジー」の対義語とは?
「アナジー」や「負のシナジー」が、「シナジー」の対義語になります。
「アナジー」というのは、ビジネスにおける企業間や事業間の相乗のマイナス効果という意味で、「anergy」が語源のカタカナ語です。