「シナジー効果」の意味とは?
「シナジー効果」は、必ずといってもいいくらい経営者であれば耳にするでしょう。
経営者のみでなく、管理職などでも大切なビジネス用語であるため、しっかりと必要性や意味を把握しておく必要があります。
相乗作用による効果が、「シナジー効果」の意味です。
ビジネスシーンにおいては、会社同士のビジネスの協業や提携、あるいはグループ会社内の会社のビジネスの協働、会社内でのビジネス同士の協働によって獲得できる相乗効果をいいます。
「シナジー効果」としては、サービスの向上や新しい顧客の獲得、共通する仕事をまとめることによる費用低減などが挙げられます。
会社によるM&Aや経営の多角化戦略とも非常に関係しており、例えば、製造と販売をまとめるなどの垂直型M&Aは、会社同士のデメリットをお互いに補って、期待できる「シナジー効果」を狙って行う経営戦略です。
「シナジー効果」が要求される理由とは?
会社がM&Aや経営の多角化戦略のために「シナジー効果」を要求する一つの理由としては、会社の価値をアップすることが挙げられます。
株価が、会社の価値を評価する基準としてあります。
ビジネスの課題が経済のグローバル化によって複雑化・高度化する中において、会社の将来の方向性を見つけて、将来の新しい収益になるビジネスを始めることは、日本の株式マーケットにおいてはいい材料と見られています。
積極的にM&Aや経営の多角化戦略を行う会社は、株価が高くなるようです。
そして、会社が「シナジー効果」を要求する別の理由としては、会社の競争力のアップが挙げられます。
市場ニーズやユーザーが多様化する中において、一つのビジネスを会社が継続することが困難になってきています。
また、経営資源の集中と選択を行なってきたマーケットを奪われるリスクが高くなっています。
そのため、会社は自社が持っている競争力をアップするためにも、積極的に「シナジー効果」があるM&Aや経営の多角化戦略に取り組むようになります。
「シナジー効果」は1プラス1が2ではなくて、3以上の効果が期待できます。
また、「シナジー効果」は強固で安定的な財務基盤を構築することにもなるので、持続的な会社の成長も期待できます。
「シナジー効果」の主な種類とは?
ここでは、「シナジー効果」の主な種類についてご紹介します。
「財務シナジー」
「節税効果」と「余剰資金活用」に、「財務シナジー」はわけられます。
「節税効果」は、会社のM&Aでは債務の繰越欠損金などを受け継ぐことで節税効果がある程度期待できることです。
「余剰資金活用」は、会社のM&Aでは買収や合併による余剰資金を利用することです。
「事業シナジー」
「費用低減」「人材獲得」「スケールメリット」に、「事業シナジー」はわけられます。
「費用低減」は、それぞれの会社のビジネスで重複しているところの削減や見直し、あるいは重複している投資を削減することです。
「人材獲得」は、会社のM&Aでは個性的で優れた人材が獲得できるので、活性化が人事面でも図れます。
「スケールメリット」は、事業体として単独と複合体を比べると、生産量的に複合体の方が大きくなるので、一つの製品にかかる費用が少なくなり、最終的にトータルの利益も多くなることです。
M&Aの具体的な「シナジー効果」とは?
しっかりと「シナジー効果」を把握しておかなければ、M&Aの十分に練った戦略を立案することはできません。
M&Aを「シナジー効果」を獲得するために検討している経営者の方は、ぜひ参考にしてください。
ここでは、M&Aの具体的な「シナジー効果」についてご紹介します。
「売り上げシナジー」
売上金額がM&Aをした後にM&Aをする前の被買収会社・買収会社のトータル額よりも大きくなることが、「売り上げシナジー」です。
そのため、「売り上げシナジー」は、M&Aによる売上金額が1プラス1が2以上になることを狙うものです。
4種類のアンゾフの「シナジー効果」の中においては、「売り上げシナジー」は「販売シナジー」に分類されます。
具体的な「売り上げシナジー」としては、M&Aをする前に使っていた被買収会社の知名度あるいはブランドを使って自社の製品のジャンルを多くする戦略や、川下への進出という自社の売り上げを多くするためにオリジナルの販売チャネルを買収する、ものなどがあります。
「売り上げシナジー」は、割合獲得しやすい難易度になります。
そのため、M&Aを「売り上げシナジー」を期待して行うときは、狙った通りにいきやすいでしょう。
「研究開発シナジー」
M&Aによって被買収会社・買収会社が得意としている研究ジャンルを融合して新しい製品を開発することが、「研究開発シナジー」です。
4種類のアンゾフの「シナジー効果」の中においては、「研究開発シナジー」は「投資シナジー」に分類されます。
具体的な「研究開発シナジー」としては、研究開発でのノウハウの共有・獲得ができる、自社のノウハウと共有したノウハウを一緒に活用して新しい製品を開発することができる、ことなどがあります。
「研究開発シナジー」は、割合難しい難易度になります。
というのは、M&Aをする前には、「シナジー効果」としてどのようなものが獲得できるかという戦略を明確に考える必要があるためです。
また、「研究開発シナジー」を被買収会社や買収会社が獲得できるような体制であるかを判断することも必要でしょう。
「コストシナジー」
会社の規模をM&Aで大きくすることによってスケールメリットを獲得して、費用を低減することが、「コストシナジー」です。
4種類のアンゾフの「シナジー効果」の中においては、「コストシナジー」は「生産シナジー」に分類されます。
具体的な「コストシナジー」としては、会社を大きな規模にすることによって仕入れを大量に行って費用を低減する戦略、川上に進出して費用を低減する戦略、被買収会社と買収会社の物流をまとめて物流費用を低減する戦略が挙げられます。
「コストシナジー」は、割合低い難易度になります。
というのは、川上に進出すると獲得できる「シナジー効果」であるためです。
「財務シナジー」
資本調達力をM&Aによって増強したり、資金調達費用を低減したりする効果を獲得することが、「財務シナジー」です。
「財務シナジー」は、先にご紹介した「シナジー効果」の中では効果が最も獲得しにくいと考えられます。
というのは、財務状況が被買収会社・買収会社ともに良くなければ「財務シナジー」が獲得できないためです。
M&Aを「財務シナジー」を主に獲得するために行うのは非常にまれです。