「とりとめのない」の意味とは? 使い方や類義語などを解説




とりとめのないの意味とは?

とりとめのないは、しまりがない、まとまりのない、という意味です。

文章や人の話、議論などがバラバラで道筋がなかったり、目的や結論が明確でなかったりする状態をいいます。

とりとめのないの表現は、芥川龍之介の有名な小説の『羅生門』にも次のように出てきます。

「申(さる)の刻(こく)下(さ)がりからふり出した雨は、いまだに上るけしきがない。そこで、下人は、何をおいても差当り明日あすの暮しをどうにかしようとして――云わばどうにもならない事を、どうにかしようとして、とりとめもない考えをたどりながら、さっきから朱雀大路にふる雨の音を、聞くともなく聞いていたのである。」

また、芥川龍之介の小説の『偸盗(ちゅうとう)』でも次のように出てきます。

「しかしとりとめのない考えに沈んでいる太郎には、車の金具の、まばゆく日に光ったのが、わずかに目にはいっただけである。彼は、しばらく足をとめて、車を通りこさせてから、また片目を地に伏せて、黙々と歩きはじめた。」

取り止めととりとめを表記するときもありますが、一般的に取り止めはとりやめと読んで、意味は中止ということであるため注意しましょう。

取り留めるが、取り留めの動詞形になります。

取り留めるの意味はおさえとどめるということがあり、使い方としては一命を取り留めるなどがあります。

取り留めるの意味のひきとめる、おさえとどまるということから転じてはっきりさせる、しっかり定めるという意味になり、まとまりのないという意味にとりとめのないで繋がります。

なお、取り止めるが取り止めの動詞ですが、取り止む(とりとどむ)の意味はおさえとどめるということになり、取り留めると同じ意味になります。

とりとめのないの使い方とは?

ここでは、とりとめのないの使い方についてご紹介します。

とりとめのない文章

文章に対して、とりとめのないはよく使われます。

とりとめのない文章は、まとまりのない文章のことです

記載されている主旨がはっきりとわからない文章やばらばらの書式でまとまりが見た目にもない様にも、とりとめのない文章は使えます。

また、とりとめのないが持っている意味の目的のない様ということでいうと、とりとめのない文章は目的が明確でない文章にもなります。

とりとめのない文章を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「輪郭を持たせることが、とりとめのない文章は困難である。」
  • 「部下のとりとめのない文章に対して、どのようにアドバイスすればいいか悩んでいる。」

とりとめがない

先にとりとめのない文章という表現をご紹介しましたが、文章の内容についてとりとめがないという表現をするときがあります。

とりとめがないも同じような意味ですが、あなたの話はとりとめがないというと少し否定的なイメージが伝わります。

とりとめのない話の意味合いのようにちょっとした雑談ということではないため、注意する必要があります。

とりとめのない会話

とりとめのない会話の意味は、簡単にいえば、単なるおしゃべりということです。

特に大切ではない会話について使われるときが多い表現で、仕事の息抜きや主婦の世間話のときの雑談というような表現と近い意味合いがあります。

とりとめのない会話を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「会うと必ずといっていいくらい、とりとめのない会話をする仲である。」
  • 「時間をとりとめのない会話に使っているときではない。」

とりとめのない人、とりとめのない日常

とりとめのないは、とりとめのない人、とりとめのない日常というように使われます。

とりとめのない人は、まとまりが話になく、よくポイントがわからない人、話がわかりにくい人という意味で使われることが多くある表現です。

一方、とりとめのない日常は、特にすることがなく、大したスケジュールもない日々という意味で使われ、いつも通りの生活、穏やかないつもの日々という意味合いでも使われます。

とりとめのない人、とりとめのない日常を使った例文としては、次のようなものなどがあります。

  • 「仕事をとりとめのない人と一緒にすると非常に疲れる。」
  • 「幸せは、とりとめのない日常にこそあるものだ。」

とりとめのないの類義語とは?

ここでは、とりとめのないの類義語についてご紹介します。

たわいない

とりとめのないの類義語としては、たわいないがあります。

たわいないの意味は、大切ではないということです。

たわいないを漢字で他愛ないと表記するは間違いで、ひらがなで表記する必要があります。

たわいもないの形で、たわいないは使うときが多くあります。

よしなしごと

よしなしごとは、形容詞でつまらないという意味です。

よしなしごとは、竹取物語などで使われていますが、ほとんど現代では使われない古語です。

取るに足らない

とりとめのないの類義語としては、取るに足らないがあります。

取るに足らないの意味は、話題にする価値もないということです。

支離滅裂

支離滅裂の意味の筋道が文章や話に立てられていないということでは、とりとめのないの類義語になります。

めちゃくちゃな状態が、支離滅裂です。

漠然と

とりとめのないの意味のまとまりがないということでは、漠然とはとりとめのないの類義語になります。

漠然との意味は、はっきりしなくてぼんやりとしている様ということです。

例えば、漠然とした考えと、とりとめのない考えはいい換えられます。

とりとめのないの対義語とは?

ここでは、とりとめのないの対義語についてご紹介します。

大切、重要、有意義

大切ではないの意味のとりとめのないの対義語としては、大切、重要、有意義があります。

とりとめのない話は、大切な話、重要な話、有意義な話になります。

理路整然、筋の通った、首尾一貫

統一性がないの意味のとりとめのないの対義語としては、理路整然、筋の通った、首尾一貫があります。

とりとめのないの英語表現とは?

「discursive」が、とりとめのないの英語表現になります。

「discursive」の意味は、散漫な、とりとめのないということがあります。

また、意味がまとまりがなくポイントを得ないということでは、「pointless」(無意味な)の英語表現を使うこともあります。




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RUN-WAY編集部

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