「謹んで」の意味とは?
「かしこまった様子」「うやうやしく物事を行う様子」が、「謹んで」の意味です。
「かしこまった」は緊張している、小さくなっていることを表現し、「うやうやしく」は非常に丁寧で礼儀正しいことを表現する言葉です。
つまり、「謹んで」の意味合いとしては、相手を尊敬しながら何かを丁寧に行っていることが含まれています。
「謹んで」の使い方とは?
ここでは、「謹んで」の使い方についてご紹介します。
「謹んでお悔やみ申し上げます」
「謹んで」を使うのは、最もお悔やみのときが多いでしょう。
お悔やみするときは、よく「謹んでお悔やみ申しあげます」を使います。
お葬式のときなどに使う言葉で、意味としては「謙虚に申し上げる」ということが含まれています。
「お悔やみ申し上げます」でも非常に丁寧ですが、相手に対して「謹んで」を使うと謙虚な姿勢で敬意を示すことができます。
これ以外にも、「謹んでご冥福をお祈りいたします」「謹んで哀悼の意を表します」などがあります。
「謹んで」は直接遺族に対して言うとき以外に、弔電を打つときに使えます。
しかし、表現がちょっと堅いということもあり、弔電を打つときに使うことが多くあります。
口頭のときは、「心よりお悔やみ申し上げます」「心からお悔やみ申し上げます」を使う方が「謹んで」よりもいいでしょう。
「謹んでお詫び申し上げます」
ビジネスにおいては、トラブルやミスが大きくなるときが多くあります。
このようなときは、「お詫び申し上げます」「申し訳ございません」などでも問題ありませんが、「謹んでお詫び申し上げます」の方がより丁寧な表現になります。
謝罪するときは「謹んでお詫び申し上げます」と言うと、非常に反省していることが示せます。
「謹んでお詫び申し上げます」という表現は、不祥事が会社であったときの記者会見でもよく使われます。
「謹んでお受けいたします」
何か顧客や取引先から頼まれたときは、「謹んでお受けいたします」と表現することができます。
「ご依頼いただいた件お受けします」「ご依頼の件承りました」よりも、謙虚で丁寧な姿勢が表現できます。
ビジネスにおいては、辞令・昇進・内定を知らされたときに多く使います。
「ご採用いただいた旨、謹んでお受けいたします」と、採用されたときに言えます。
相手に対して、「謹んで」を使うことによっていいイメージが与えられます。
「謹んでご報告いたします」
「謹んで」は、報告以外にも、辞退、参加、用件を受けるときなども使えます。
報告するときは、「謹んでご報告させていただきます」「謹んでご報告いたします」というように使います。
「謹んで」は、自分にとって何かいい報告であったり、賞をもらったりしたときに付けます。
例えば、「謹んで出席させていただきます」は結婚式に招待されたときの返信にも使います。
「謹んで」のビジネスシーンにおける使い方とは?
「謹んで」は、普段の生活の中だけでなく、ビジネスシーンでも登場する敬語表現です。
例えば、一般的に、会社が多く人に対して、何かを告知したり、報告したりするときに「謹んでご報告いたします」などの表現を使います。
謝罪するときは「謹んでお詫び申し上げます」、不幸があったときは「謹んでお悔やみ申し上げます」など、挨拶文の冒頭に使われます。
これ以外にも、何かを拝命されたときや目上の方からの依頼を受けるときは、「謹んでお受けいたします」という表現を使います。
「慎んで」と「謹んで」の違いとは?
「慎んで」も「謹んで」も、いずれも読み方は「つつしんで」になります。
しかし、「慎んで」と「謹んで」は意味が違っています。
「慎んで」は、動詞の「慎む」で使われるときが多く、次のような意味になります。
- 抑えながら行う
- 控えて行きすぎないようにする
「慎んで」の意味は自分に対する行動制限・注意意識で、「謹んで」の意味は相手に対する敬意の表現です。
「慎んで」の例文としては、次のようなものがあります。
「先日は酔って記憶がなくなったため、今日はお酒を飲むのは慎みます」
「迷惑が他の人にかからないように、言動を慎みます」
このように、自分の行動に対する注意で、全く相手に対する敬意は含まれていません。
文書などに書くときは、使い方に注意して間違って使わないようにしましょう。
「謹んで」の類義語とは?
ここでは、「謹んで」の類義語についてご紹介します。
「恐れながら」
「恐れながら」は、よく時代劇などで耳にします。
例えば、「お恐れながら申し上げます」などと、奉行に対して白洲で訴えている場面があります。
意味合いとしては、へりくだりの方が敬意よりも強く表れた表現です。
「恐れながら」の意味は「謹んで」に近いものですが、ビジネスにおいて主として使われるときが多くあり、「恐れながらお悔やみを申し上げます」「恐れながら新年のご挨拶を申し上げます」などというように使われるときはそれほどありません。
「恐縮ながら」
「恐縮ながら」は、熟語で「恐れながら」を言い換えたものです。
「恐縮ながら」の例文としては、次のようなものがあります。
「恐縮ながら欠席させていただきます」
「恐縮ながら辞退させていただきます」
お詫びの気持ちを示してから「恐縮ながら」と続けることによってかしこまった表現になりますが、敬意を「謹んで」のように表現するものとは違っています。
「かしこみ」
「かしこみ」は、意味合いが「謹んで」に近いものです。
「かしこみ」はよく祝詞の中で耳にする言葉で、畏れを相手に対して多く感じ、何らかの行動を敬意を持って行うときに使います。
しかし、祝詞では神に対する言葉であるので、人に対して使うのは差し控える必要があります。
意味が「謹んで」と似ていても適切でない類義語
意味が「謹んで」と似ているような言葉はありますが、実際に言い換えると表現が適切なものはありません。
辞書的には「謹んで」の類義語はありますが、実際に適切ものは見当たらないので、そのまま「謹んで」は使う方がいいでしょう。
「謹んで」の英語表現とは?
「謹んで」は敬語ですが、敬語が英語にはないと考える方もいるでしょう。
しかし、丁寧な表現が英語にもあり、「please」が英語表現です。
「please」の定型文としては、次のようなものがあります。
「Please accept my sincere apologies.」(謹んでお詫び申し上げます。)
「Please accept my sincere condolences.」(謹んでお悔やみ申し上げます。)
はっきりと「謹んで」の意味を出したいときは、次のように「respectfully」を使うのもいいでしょう。
「I respectfully announce that 〜」(〜と謹んで発表いたします。)
「Respectfully I would say 〜」(謹んで申し上げることは〜)