有料職業紹介事業とは?
有料職業紹介事業というのは、転職したい人が希望するような求人を紹介してくれるサービスで、人材紹介、転職エージェント、人材バンクなどといわれています。
一般的な職種の営業や事務というようなものの紹介以外に、専門職のエンジニアやクリエイターなどの紹介に特化しているときもあります。
しかし、職業安定法の規定によって、建設業務・職業港湾運送業務の紹介は禁止されています。
転職したい人は、基本的に無料で有料職業紹介事業が利用できます。
というのは、法律で有料職業紹介事業は手数料を転職したい人から受け取ることが禁止されているためです。
しかし、映画、放送番組、劇場、寄席などにおいて、演芸、音楽、その他の芸能をサービスする芸能家、モデル、調理師、配ぜん人、家政婦(夫)などの職種の一部については、手数料を一定の上限をオーバーしない範囲で受け取ることができます。
有料職業紹介事業といわれているのは、手数料が人材を紹介してもらった会社には発生するためです。
会社は、人材を有料職業紹介事業で紹介してもらうと、手数料として人材が受け取る予定の年収の約1割~3割を支払います。
なお、有料職業紹介事業を行うときは、許可を厚生労働省からもらう必要があります。
許可をもらっている事業者は、許可番号が必ず割り振られています。
許可番号は、事業者のホームページに書かれているときが多いためチェックしてみましょう。
有料職業紹介事業を利用するときの流れとは?
ここでは、有料職業紹介事業を利用するときの流れについてご紹介します。
登録
まず、転職したい人が人材バンクや転職エージェントなどの有料職業紹介事業に登録します。
ほとんどの場合は、事業者のホームページから登録できます。
面談
転職したい人が望む職種や条件などについて、有料職業紹介事業のコンサルタントが面談してヒアリングします。
面談は、有料職業紹介事業の事務所で行われるときが多くありますが、転職したい人の都合に応じて会議スペースやカフェで行なったり、電話などで行なったりすることもあります。
求人の紹介
面談をベースに、コンサルタントが会社の要求する人材の条件と転職したい人の希望をすり合わせます。
両者がマッチしていれば、その会社の求人を転職したい人に紹介します。
応募
転職したい人がコンサルタントの紹介してくれた会社に応募したいときは、必要書類の履歴書などを準備して会社に提出します。
紹介されると必ず応募する必要があるということではありません。
また、有料職業紹介事業が紹介してくれたということでも、有利に選考が進むこともないため注意しましょう。
応募するときは、職務経歴書・履歴書の書き方や面接の方法などをコンサルタントがサポートをしてくれることもあります。
書類選考、面接
書類選考、面接が、普通の転職活動と同様にあります。
コンサルタントが、面接のスケジュールの調整を行ってくれることもあります。
採用
転職したい人は、選考によって応募先の会社に採用されて、入社したいときは雇用契約を結びます。
このときに、応募先の会社から紹介手数料が有料職業紹介事業に支払われます。
有料職業紹介事業の設立は資本金がどの程度必要か?
では、有料職業紹介事業を設立するときの資本金はどの程度必要なのでしょうか?
有料職業紹介事業をスタートするためには、有料職業紹介許認可を取る必要があります。
このときには、500万円が必要になります。
もうちょっと詳しく説明すれば、事業所数が一つのときは、有料職業紹介事業のトータルの資産額から負債額を差し引きした金額が500万円以上最低でも必要になります。
この条件にプラスして、有料職業紹介事業が150万円以上の現預金あるいは預貯金を持っていることが必要です。
このときは、預貯金の名義がビジネスをスタートしようとする人自身の名義になっていることが必要です。
また、有料職業紹介事業を設立するときは、会社をすでに持っているときもあるでしょう。
例えば、コンサルタント会社を経営している人が、有料職業紹介事業を第2のビジネスとしてスタートするというような場合です。
このような場合は、金融機関への借入額に注意しましょう。
当然ですが、金融機関から有料職業紹介事業を設立するための資金を借入するのは問題ありません。
しかし、基本的に借入は負債になるため、持っている資産より負債額が大きくならないように注意する必要があります。
有料職業紹介事業を設立する方法とは?
ここでは、有料職業紹介事業を設立する方法についてご紹介します。
有料職業紹介事業を設立するためには、許可条件をクリアしたうえで許認可を取るための講習を受ける必要があります。
この講習を受けないと許認可を取ることができないため、講習会にまず申し込む必要があります。
有料職業紹介事業の許認可を取る方法
有料職業紹介事業の講習会の申し込みは、厚生労働省の指定団体の一般社団法人 日本人材紹介事業協会のホームページからできます。
講習は自分が住んでいるところで受ける必要があるということではないため、急いでいるときは別のところで受けることもできます。
講習会の申し込みをすると、許認可の申請ができるため、流れとしては講習会を申し込みしてから有料職業紹介事業を設立した後で許認可の申請というようになります。
許認可の申請手続きについては、申請してから2ヶ月間~3ヶ月間許可証が発行するまでにかかります。
なお、申請書の記入内容が間違っていると受け付けてしてくれなく、時間がその分ロスになります。
また、税理士の中には有料職業紹介事業の許認可申請の支援をしてくれるところもあるため、手続きをスムーズに行いたいときは、このようなプロに頼むのもおすすめです。
有料職業紹介事業の設立に必要な条件
有料職業紹介事業を設立するためには、次のような条件をクリアする必要があります。
- 貸借対照表で500万円以上直近の純資産額があること
- 自分の名義の現金預金額が事業資金として150万円+60万円×(設立事業所数-1)以上あること
- 有料職業紹介事業を行う旨の記載が会社登記簿謄本にあること
- 職業紹介責任者講習をすでに受講あるいは申し込みが終わっていること
- 欠格事由に該当する人が役員・職業紹介責任者の中にいないこと
なお、欠格事由とは次のようなものです。
- 5年が禁固刑などに処せられて経っていない場合、あるいは労働法関係、出入国管理法、刑法、暴力行為等処罰に関する法律などで違反があり5年が罰金刑に処せられてから経っていない
- 職業紹介事業許可の取消から5年が経っていない
- 成年被後見人、破産者、被保佐人のいずれかに該当し、復権していない者
- 役員・職業紹介責任者のいずれかに未成年者が該当し、法定代理人が先にご紹介したいずれかに該当する者である