孤高際立つ エルガーのチェロ協奏曲【ヴァイオリニスト/月元ハルカさん】

月元悠

こんにちは、ヴァイオリニストのハルカです♪

今回からエルガーについてご紹介していきたいと思います!
以前、コラムでもお伝えした通り筆者はチェロが一番好きな楽器ですが、チェロが大好きになるきっかけとなった曲からご紹介していきます!

エドワード・エルガー(1857-1934)

イングランドの作曲家、指揮者、音楽教師、ヴァイオリニストであった。(多才能!)なんと、亡くなる10年前からは国王の音楽師範を務めました。有名な「愛の挨拶」や「威風堂々」もエルガー作曲のものです。

エルガー / チェロ協奏曲 ホ短調 作品86


1918年に作曲されました。協奏曲としては珍しい4楽章構成です!

第1楽章 Adagio-Moderato

重音を用いた劇的なチェロの独奏が冒頭からはじまります。全楽章を通して見られる主題となる旋律が1楽章に出てきますが、エルガーが病床にいたときの心情が反映されているようです。

第2楽章 Lento-Allegro molto

1楽章の冒頭の重音がピチカート(弦を弾く奏法)によって奏でられます。このピチカートがたくさん用いられていることは実験的な試みだったとも言われているようです。迷いが見え隠れする憂鬱そうな雰囲気です。

第3楽章 Adagio

悲壮感に包まれている歌曲形式のアダージョです。たった60小節ですがとても美しく、穏やかな楽章となっています。

第4楽章 Allegro-Moderato-Allegro,ma non troppo

軽快な主題が目立地ますが、全体の要素を包括したような楽章にもなっています。全楽章のフレーズが見え隠れするのでそれを探すのも鑑賞中の楽しみのひとつではないでしょうか?この楽章の冒頭でチェロが主題を弾ききりオーケストラに渡すような瞬間と、最後に1楽章の冒頭の再現で壮大なフィナーレに向かうのが個人的に好きなところです!

いかがだったでしょうか?ドヴォルザークのチェロ協奏曲とはまた対照的ですよね。エルガーが病床にいたことや、第一次世界大戦などが彼の心に影響を及ぼさなかったわけがありません。
寂しさを拭いきれないまま終わりを迎えているようにも聴こえますが、それでも何かの希望を見出しているような気持ちが曲の中に込められているように感じられ、孤独と表現するよりは“孤高”という感じがします。
次回もエルガーについてです。
お楽しみに!

<プロフィール>
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。


月元悠