シューベルト唯一の変則クインテット!《ます》【ヴァイオリニスト/月元ハルカさん】

月元悠




こんにちは、ヴァイオリニストのハルカです!今回はシューベルトの《ます》をご紹介したいと思います。《ます》ってなに?増す?升?と思われた方もいらっしゃると思いますが、魚の“鱒”です!鱒寿司の鱒です!水の中で浮かんでは沈む鱒をこの作品内で表現しています。

フランツ・ペーター・シューベルト(1797-1828)

音楽愛好家の父の影響でシューベルトは幼い頃から音楽に親しみ、才能を発揮しました。古典派(モーツァルトやベートーベンの時代)の形式を踏まえた上で、新しくロマン派を開拓した、音楽史の中でも偉大な人物です。

ピアノ五重奏曲《ます》 イ長調


ピアノ、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの構成で、これまでご紹介してきたピアノ五重奏(ピアノと弦楽四重奏)とは異なるスタイルで演奏されています。ヴァイオリンがひとつなくなりコントラバスが加わりました。低音部を担うコントラバスが加わることにより、チェロが中音部を演奏することになり活躍の幅が広がるというチェロにとってもオイシイ曲なのです!

第1楽章 Allegro Vivace

はじめにピアノが奏でる軽やかに奏でる三連符の「ラ〜ラドミラドミラ」が特徴的で、ピアノと他弦楽器が代わりがわりに演奏します。ピアノとヴァイオリンが早いパッセージを追いかけっこのように奏でるフレーズも高揚感があります。

第2楽章 Andante

低音楽器がゆったりと奏ではじめた後、ヴァイオリンが繊細に歌い上げます。重厚な土台が低音楽器によって作られていることがわかりますね。

第3楽章 Scherzo-Presto

明るい雰囲気に一転します。ピアノの呼びかけにヴァイオリンが応えるようなフレーズで始まります。

第4楽章 Andantino-Allegretto

有名な鱒の旋律が6回の変奏を経て奏でられます。長調だけでなく4回目の変奏では突然短調になるのも意外性があって面白いですね。この曲はシューベルトが作曲していた歌曲《ます》の旋律の変奏曲なのです。

第5楽章 Allegro-Giusto

静かに、何かが始まるような予感を持ちながら静かに始まります。4楽章のますのメロディが回想されます。

ちなみにシューベルトが作曲した歌曲《ます》はこちらです


いかがだったでしょうか?シューベルトは生涯でピアノ五重奏曲はこの1曲しか書いていません。もっと聴いてみたくなりますが、残念です・・・次回もお楽しみに!

 

<プロフィール>
月元 ハルカ
長崎県出身。3歳よりヴァイオリンをはじめる。田代典子、木野雅之各氏に師事。これまでに、エドゥアルド・オクーン氏、豊嶋泰嗣氏、大山平一郎氏、ロバート・ダヴィドヴィチ氏、ハビブ・カヤレイ氏、加藤知子氏、小栗まち絵氏のマスタークラスを受講。また、ながさき音楽祭、球磨川音楽祭、霧島国際音楽祭、NAGANO国際音楽祭に参加、マスタークラス修了。各地で演奏活動を行う。西南学院大学 国際文化学部 卒業。現在、福岡教育大学 大学院 音楽科 修士課程修了。各地で演奏活動を行う傍ら、後進の指導を行う。クラシックをより身近に感じてもらうためのコラムサイト『COSMUSICA』(cosmusica.net)にて、連載「映画で学ぶクラシック」執筆中。






月元悠